記事

ドイツのメルケル首相がドイツならびにユーロ圏全体の銀行資本の増強を提唱

いよいよヨーロッパのリーダー達がギリシャ財政危機問題に端を発したユーロ危機に腕まくりして取り組む姿勢を明快に出し始めています。

昨日、ドイツのメルケル首相はドイツの民間銀行の資本再構築(recapitalization)を実行する用意があると宣言しました。資本再構築とはギリシャ国債などで実現損が発生した際、銀行の自己資本の一部が吹き飛ぶので、その場合でも銀行経営がおかしくならないようにするため今から自己資本を充填しておくことを指します。

メルケル首相はドイツの民間銀行だけでなくユーロ圏全体の民間銀行が同様の資本充填により万が一に備えての守りを固める必要性を説きました。

このイニシアチブは17日と18日に開催される欧州連合首脳会談のアジェンダにもなっています。

銀行資本の増強は株式の投資家からすれば「諸刃の剣」です。なぜなら資本の注入はエクイティ・ダイリューション(株主資本の希釈化)を招くからです。そういう言い方が難しすぎれば発行済み株式数が増えてしまうので一株当り利益(EPS)が下がってしまうと言いかえればわかりやすいかもしれません。

ただ現状では投資家の懸念はハッキリ言ってEPSが減ることではありません。銀行経営の屋台骨自体が大丈夫なのか?ということこそが懸念の対象なのです。だからどんなショックが襲っても銀行が潰れない、あるいは潰さないという確約を投資家は一番欲していると思うのです。

ドイツには現在既に銀行救済基金は存在しますがこれはドイツの銀行監督当局の判断によってしか発動できないし、あくまでも国内的な安全弁です。

いま欧州のリーダーが恐れているのは欧州のどこかの国で(たとえばデクシアのように)ひとつの銀行が取り付け騒ぎになった場合、それが瞬時にして伝染(コンテージョン)を引き起こすことです。これを防止するためには汎ヨーロッパ的な解決策を今から考えておくことが肝心です。

さて、上のような議論はとても抽象的で金融関係者でなければなかなか実感が湧かない議論かも知れません。そこで普通の読者にもわかるように平易な言い方に直せば「いざという時に備えて、国民の血税を投入して銀行を救う段取りを今から決めておこう」ということに他ならないのです。

これは納税者の立場からすると自分達の富を丸々太った銀行家達に移転することを意味します。

「それは納得できない!」

そう感じる読者も多いでしょう。

正直言って僕もそのような意見に賛成せざるを得ません。

いまの欧州の銀行はぶよぶよに太っている肥大化した組織が多いし、リスク管理はいい加減だし、価値を生んでいません。

そういう銀行はどんどんリストラを進めてスリム化すべし。

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    7月24日(土)ムネオ日記

    鈴木宗男

    07月24日 17:20

  2. 2

    バッハ会長“長過ぎスピーチ”で…テレビが映さなかった「たまらずゴロ寝」選手続々

    SmartFLASH

    07月24日 09:20

  3. 3

    東京五輪の開会式は滞りなく挙行 世界に恥を晒すことをどうにか避けられた日本

    早川忠孝

    07月24日 16:07

  4. 4

    退職金や老後資金を吸い上げる「ラップ口座」の実態

    内藤忍

    07月24日 11:33

  5. 5

    天皇陛下の開会宣言に着席したまま…菅首相に「不敬にも程がある」と非難の声

    SmartFLASH

    07月24日 08:58

  6. 6

    天皇陛下と同列?五輪開会式でのバッハ会長の振る舞いに違和感続出

    女性自身

    07月24日 11:55

  7. 7

    自民党で相次ぐ世襲の新人候補者 3つの弊害を指摘

    山内康一

    07月24日 09:24

  8. 8

    前例を覆した開会宣言 政府の緊急事態宣言よりも感じる「重み」

    階猛

    07月24日 10:39

  9. 9

    中間層や無党派層の動きが読めない横浜市長選 日本の政治状況が急展開か

    早川忠孝

    07月24日 18:23

  10. 10

    五輪開催を巡り立民と国民民主の立場に差異 国民の共感を得られぬ立民の主張

    早川忠孝

    07月24日 18:37

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。