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デクシアの取り付け騒ぎでEFSFのパワーアップの議論が待ったなしに

ベルギーの中堅金融機関、デクシアから預金がどんどん引き出され始め、取り付け騒ぎの様相を呈してきています。

このためベルギーとフランスの政府はデクシアを「良い銀行」と「悪い銀行」の2つに分離し、病魔に侵された部分がデクシアの健全な部分へも飛び火しないように隔離する事を検討に入っています。

このことの持つ意味は何でしょうか?

それは「ギリシャをEUから叩きだすべきか、叩きだすべきではないか?」というような単純な議論はもうナンセンスだという事です。

既にギリシャをEUから叩きだせばリーマンショックみたいな連鎖反応が起こるという事が現実の兆候として至現してしまっているからです。

断固とした危機の阻止を図る時期が来ました。

欧州はこのチャレンジを受けて立つことが出来るのでしょうか?

幸い、欧州各国の結束はきわめて固いです

先週ギリシャ救済プランの根幹を成すEFSFの拡大に関してドイツの連邦議会は圧倒的多数でOKを出しました。

EFSFとは欧州金融安定ファシリティの略で、ギリシャをはじめとするヨーロッパ周辺国を救済するため、欧州連合メンバー各国が資金を持ち寄り、一種の救済ファンドとして運営することを指します。

EFSFは2010年5月に第一回目のギリシャ救済が決まった時、設置されましたが、ユーロ危機が深刻化したので規模を拡大する必要が出ました。

これは欧州17カ国全てのそれぞれの議会で承認を取り付ける必要があります。

但し、これがスロベニアなどのごく小さい国の場合、なんとか欧州憲法を迂回してごまかすことができます。

しかしドイツのような大きな国で否決されると万事休すになるわけです。

だから今回、ドイツ議会で圧倒的多数でOKされたのは大きな前進でした。

言い換えれば欧州債務危機解決への取り組みは次のステージへと駒を進めたのです。

それでは具体的に次のステージとは何をさすのでしょうか?

それはEFSFのパワーアップをどう実現するか?という問題です。
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その具体的な手法を見る前に現在のEFSFがどう運営されているかを少し説明します。

現在、EFSFがやっていることはギリシャのように困っている国に単純にお金を貸しているだけです。つまり融資ということです。

融資である以上、レバレッジはつかっていません。

レバレッジとはてこの原理で自分の資金以上に借りたお金で投資するという意味です。FXやCFDは少ない証拠金で自分の持ち金の何倍ものポジションを建てることができるので、これはレバレッジを使っている良い例です。

するとEFSFもFXやCFDのようにレバレッジを使えればより大きな金額で困っている国を支えることができるわけです。

たとえばEFSFがその資金を融資にまわすのではなく、その資金でギリシャ国債などの債券を買えばレバレッジを使ったことになります。ちょうどFXやCFDが証券会社の提供する信用というものを利用しているのと同じで、EFSFがレバレッジをかけるということは民間金融機関がその信用を提供するということに他なりません

つまりEFSFのパワーアップのためには政府部門だけでなく民間の協力も不可欠になるわけです

ただギリシャやイタリアの国債を買うことによってそれらの国が将来国債を発行しやすくするということはEFSFのポートフォリオはゴミみたいな債券ばかりになってしまうことになります。

するとそういうファンドには誰もお金を喜んで貸しません。これがEFSFのパワーアップを図るときのむずかしさなのです。

そこでEFSFをパワーアップする際の問題点をまとめると、先ず民間金融機関が尻込みしないか?という問題があります。

また若しEFSFの格付けが下がるとEFSFはみずからも債券を発行してお金を調達し、その調達したお金でギリシャ国債などを買うので、ファンディング・サイド、つまりお金を借りる方の金利が高くなり、安全に投資できなくなるという問題が出るわけです。

EFSFが出す債券を買う機関投資家の立場からすればEFSFは特別目的会社なのでずっこけたとき民間金融機関はちゃんとお金を返してもらえかもしれないという不安を持ちます。これを難しい言葉でいえばリコースの術を持たないということです。

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そこでEFSFが単体でレバレッジをかける方法を模索するより欧州中央銀行(ECB)を通じたレバレッジの方法がいろいろべんりだという考えも、ひとつの選択肢として出てきているわけです。

ただEFSFがECBの力を借りてレバレッジをかけるという方法は必ずしもECBから受け入れられるとは決まっていません。

そこでEFSFだけでレバレッジをなんとか実現する方法も模索されているわけです。

EFSFにレバレッジをかける方法としては次の3つが検討されています。

先ずEFSFを銀行にする、次にEFSFをノンバンクにする、最後にEFSFを保険会社として使うというやり方です。

いまのところこれらはいずれもブレイン・ストーミングの段階だといって良いでしょう。

ただ今後、何度もこの議論は出てくると思うので、簡単にこの3つの考え方について解説します。

先ずEFSFを銀行として使う方法です。

このアプローチではEFSFに銀行免許を与え、EFSF債を発行し、市場からお金を調達し、そのお金で周辺国の国債を買うという方法です。

その際、買い上げた国債を担保に差し出し、さらにお金を借りることでレバレッジを効かせることが出来ます。

しかしこの案には欧州中央銀行、ドイツ、オランダの各国が反対しています

2番目の方法はEFSFをノンバンクとして利用する方法です。

ここでも基本的な作業はEFSFを銀行として使う場合と同じ手続きを取ります。

ただ違う点としてはドイツ政府から直接保証を受けるという方法で、信用面でのハンデキャップを克服するという点です。

この方法の問題点はノンバンクの発行する債券は国債ではないので債券格付けが低くなるという点です。機関投資家の買い手も少なくなります。

最後の方法はEFSFを保険会社として使う方法です。

これは周辺国が国債を発行する際に損の10%から20%をEFSFが補てんすると約束するというやり方です。

これだと最初の10%から20%の損は民間金融機関が被らなくてよいので、それだけ周辺国国債の魅力を増し、金利低下をもたらすと考えられています。

ただ周辺国の損が膨らみ、EFSFだけでは損を受け止めきれなくなると、補てんのツケがドイツに回ってきて、ドイツのAAAが危険にさらされる可能性があります。

以上の3つのアプローチは未だ議論をこれから詰めてゆかなければいけない段階です。

ただファンドという構造上、どうしてもスキームが複雑になり、その分、脆弱性を内包しやすいです

その点、EFSFではなく、単純にユーロ圏共同債を出した方がすっきりするという考え方もあるわけです。

でも現在の欧州憲法ではユーロ圏共同債を出してよいという規則は無いし、各国の財政事情の足並みはバラバラです。

このような取り乱した状況で本当に共同債が出せるのでしょうか?

実はその実例があります。

それはアメリカの南北戦争後にアメリカが共同債を出した例です。

これを考案したのは米国の初代財務長官、アレキサンダー・ハミルトンです。

アメリカの各州は南北戦争の戦費を調達するために皆、思い思いに州債を発行しました。

しかし戦争による疲弊でどの州も財政が破綻し、投資家にお金が返せなくなったのです。

そこでハミルトンは各州の紙切れ同然になった債券を連邦政府、つまりアメリカ合衆国が肩代わりし、さらに償却積立金と呼ばれるファンドを設立し、若し政府証券が額面価格を割った場合はその積立金で政府証券を買い支え価格の安定を図るということを打ち出しました。

さて、デクシアの問題に戻りたいと思います。

下のグラフは欧州の銀行の総資産に占める預金の割合です。
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若しギリシャがデフォルトした場合、欧州に金融不安が走ると思うのですが、その場合、小口預金は比較的安定した貸付原資になります。

ところがフランスの場合、預金の比率が極端に少ないです。その分、フランスの銀行は短期市場から資金を引っ張ってきているのです。

その意味ではちょうどリーマンや日本の商工ファンドなどと同じような体質になっているのです。

ストレステストに合格した筈のデクシアがこうも簡単に取り付け騒ぎを起こしてしまった原因はギリシャ国債などのソブリン債が「無リスク証券」という認識で銀行のポートフォリオに組み込まれていたため、そのリスクがきちんと経営者や行政に認識されていなかったことに一因があります。

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