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「インフルエンザに麻黄湯」は体質や飲む時期によって逆効果の可能性も。 - 山浦卓 薬剤師・医学博士

【特別企画・ブログで一問一答】

「薬やサプリメントについて」、「健康や病気について」寄せられた質問・相談に、山浦がズバっと回答します。

■Q. 麻黄を含む漢方薬について教えてください。

漢方でいうところの「実証タイプ」の家内がインフルエンザになり、麻黄が欲しくて薬局へ行ったら麻黄湯より葛根湯の方が麻黄の含有量が多かったので後者を選択しましたが、良かったでしょうか?
H.K.さん(40代・男性)

■A. 麻黄の含有量はあまり関係ありません。

今回は某政令指定都市で開業している耳鼻科のお医者さんからご質問を頂きました。

さてご質問にありました麻黄湯は近年、インフルエンザに効果的との情報が巷間にあるようですが、そもそも桂枝湯、葛根湯と並んで三兄弟みたいなもので、一般的には麻黄湯=実証、桂枝湯=虚証、葛根湯=中間証といったカタチで使い分けられます。

どれも寒邪(寒気みたいなもの)を追い出す働きがあるので、風邪の初期に用います。冷たい風にさらされたり底冷えのする場所に長居したりしてゾクゾクしたり、ブルっと震えがくるような感覚のある時や、または関節に痛みや違和感を感じた時にサッと飲みます。

特に発熱傾向がある場合は、これらの薬が発汗を促して体温を下げるんですね。また薬の選択条件は、麻黄の量よりも体質とタイミングの方が重要です。

比較的体力のある方は実証タイプなので麻黄湯、普段から顔色がすぐれず線の細いタイプは虚証タイプなので桂枝湯、その中間よりも上が葛根湯。

※ただし実証虚証などの判定は体格や印象だけでは必ずしも決まりません。漢方相談専門の先生に相談して下さい。

■飲むタイミングによっては別の漢方薬を併用。

今回は相談主が一定以上の専門知識をお持ちの現役医師で、奥様を実証タイプと診断されての選択でしたので大事に至りませんでしたが、例えば患者が虚証タイプであるにも関わらず、素人が安易に麻黄湯を用いるとむしろ余計にカラダを消耗させて症状をこじらせてしまう恐れもありますのでご注意を。

体力が中等以上で用いられるケースの多い葛根湯は、患者がよほど虚弱なタイプかまたは既に消耗しきっているような状態でさえなければ無難な選択。ずいぶん昔から「風邪の初期には葛根湯」が根付いた理由はそのあたりにありそうです。実際に使い勝手が良い。

なお、以上の薬は汗を出し切るまで継続。汗をかききったならば中止して、瓊玉膏や補中益気湯などの補気薬に変更します。経験的にいえば、最初から主薬と補気薬を併用すると治りが早いので私はよく実践していますよ。

その他、銀翹散という薬もインフルエンザに有用で、よく用いられる処方です。

病院からインフルエンザの治療薬として出されるタミフルやリレンザと、これらの漢方薬を併用して重症化を防ぐという選択は大いにアリでしょうね。

あとはいつもお伝えしていることですが、インフルエンザも風邪も治すためには先ず休息が肝要です。消化が良くてカラダを冷やさない食事と安静を心がけましょう。

漢方も含めて「薬」は全て治癒の補佐役に過ぎませんから。…… あ、これはまさに釈迦に説法でした(^^ゞ

《参考記事》
■青い風邪に葛根湯、赤い風邪に銀翹散。初期風邪の漢方薬は使い分ける。(山浦卓)
https://045310.com/blog/gingyousan-kakkontou/
■しょこたんも愛用、プロ御用達の喉の漢方薬・響声破笛丸が製造中止の報も心配無用。(山浦卓)
https://045310.com/blog/kyouseihatekiganryou/
■市販の漢方薬と漢方薬局で調合される漢方薬は同じ?違う?(山浦卓)
http://sharescafe.net/46261660-20150915.html
■年間損失500億円。「残薬」解消の糸口を薬剤師が客観的に考えてみた。(山浦卓)
http://sharescafe.net/47148790-20151209.html
■医療費40兆円突破の元凶、医療機関へのフリーアクセスを抑制する方法。(山浦卓) http://sharescafe.net/46517054-20151009.html

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