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政界展望2016「カギを握るのは菅と橋下」

PRESIDENT 2016年2月1日号

着々と進む準備どうなる衆参同日選

2016年の政界は、日本の将来を決める激動のときを迎える。首相就任3年を超えた安倍晋三首相が悲願の憲法改正を果たすため、いよいよ衆参同日選挙という「大博打」の準備に入ったからだ。しかし、対する野党も共通政策づくりなどで応戦態勢を整えている。勝てば憲法改正、負ければ野党転落・党分裂という天下分け目の戦で、首相は勝ち鬨をあげることができるのか。眼前にそびえる「2つの壁」のカギを握るのは、菅義偉官房長官と橋下徹前大阪市長だ。

「俺は次の参院選までは首相官邸にいる」。いまや安倍政権の大番頭として君臨する菅氏は、口癖のようにこう漏らしてきた。そして、最近では「党務をやってみたい」と語り、全国の選挙区事情を分析することに余念がない。もちろん、「党務」とは自民党幹事長ポストを意味する。

しかし、キーマンである菅氏の起用法こそが1つ目の「壁」になっているのだ。その理由は、17年4月の消費税率10%への引き上げと同時に導入されることが決まった、「軽減税率制度」をめぐる谷垣禎一幹事長ら党執行部との確執にある。財政規律を重視する観点から対象範囲の限定にこだわった谷垣氏らに対し、菅氏は公明党が主張する対象拡大プランを丸呑みするように恫喝。最後は「首相裁定」を強引に引き出して、執行部を屈服させた経緯がある。

菅氏を幹事長に据えれば、恩を感じる公明党との良好な関係を維持し、組織力をフル活用して衆参ダブル選で勝利する可能性もゼロではない。だが、菅氏に嫌悪感を抱く自民党内の怒りが爆発し、党内政局が激化して首相が引きずり下ろされる恐れも捨てきれない。

首相は稲田朋美政調会長を育成したい意向で、政権の要である官房長官を経験させるシナリオを描く。政権安定に貢献してきたとはいえ、菅氏をいつまでも官房長官の椅子に座らせておけない事情もあるのだ。党幹部への起用で政局がスタートするか、それとも稲田氏への後継指名を諦めるか。菅氏の進路は政権の浮沈を握る。

もう1人のキーマンである橋下徹前大阪市長は、首相が憲法改正に欠かせないと見る人物だ。08年の大阪府知事就任後、8年間にわたって「橋下劇場」を巻き起こした手腕を首相は高く評価し、憲法改正に向けた国民的論議での発信力を期待する。

政界引退を表明後、国政進出への可能性は煙に巻く橋下氏だが、首相サイドは「衆参ダブル選ならば出馬してくるだろう」と見る。昨年12月19日にも首相と橋下氏は会談。首相が国政進出に期待感を示したのは、「ゴーサイン」の表れだ。

首相がダブル選を狙うのは、参院選が自らの自民党総裁任期である18年9月までの間に今夏の1回しかないためだ。改憲のチャンスはわずか1度だけ。衆院は自公両党で憲法改正の発議に必要な3分の2の勢力を確保するが、参院は両党を足しても29議席足りない。おおさか維新は現有6議席(改選1)と少数だが、橋下氏が出馬すれば相乗効果で改憲勢力が伸長し、発議に近づく可能性は高まると踏む。

とはいえ、野党の選挙協力準備は進む。共産党が安全保障関連法廃止を旗印にした連立政権「国民連合政府」構想を提唱し、民主党や社民党などとの選挙区調整に乗り出しているのだ。野党が候補者の一本化を進めれば、バラバラに散っていた票は1人に集まり、与党候補が野党結集の「壁」の前に苦戦を強いられるのは自明といえる。

事実上の与党と野党の一騎打ちになる選挙区は増えると見られるが、橋下氏のおおさか維新はその選挙区での候補者擁立に動くのか否か。「第三の候補」が出れば野党の集票は計算通りにいかないが、擁立を見送れば結果的には野党候補を利する形になる。

政権交代のリスクを抱えて思いに耽る首相。「憲法改正の最大のチャンス」「ワクワクする選挙になる」と今夏の選挙を表現する橋下氏は、その救いの神となるのか、それとも疫病神となるのか。日本の将来を左右する答えは刻々と迫っている。

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