- 2016年01月10日 12:00
介護保険制度の見直し。親が元気なら無関心でいい?
ファイナンシャル・プランナー 深野康彦 構成=高橋晴美
厚生労働省は介護保険の一部サービスについて利用者負担を見直す検討に入る。見直されるのは、「ケアプランの作成費」である。
要介護や要支援の認定を受けた人は家事支援やデイサービスといった介護保険のサービスを利用できる。利用に際しては、どのサービスを、どのような頻度で利用するかなどを検討し、ケアプランを作成、自治体に届ける必要がある。プラン作成はケアマネージャーに依頼するのが普通であり、その費用として利用者1人当たり平均月1万3800円程度かかっているという。
この費用について、現行の制度では利用者の負担はなく、全額を介護保険が賄っているが、利用者に費用の1割(人によっては2割)負担を求めることを検討するという。
1割を利用者の自己負担にすれば、介護保険の費用を約400億円抑制できるという試算もある。25年度には介護費用が20兆円近くに膨らむ見込みで、費用を抑制するための制度改定は急務である。今度もさまざまな検討が行われそうだが、すでに昨年、制度が大きく変更されたことはご存じだろうか。
最も大きい変更点は利用者負担の割合である。これまで介護保険のサービスを利用した場合の利用者負担は原則的に費用の1割だった。しかし昨年8月からは、合計所得金額が160万円以上(単身で年金収入のみの場合は年金が280万円以上、夫婦の場合は359万円以上)の人は、自己負担が2割に増えている。
たとえば1カ月に15万円分のサービスを利用している人の場合、1割負担では1万5000円で済んだが、2割負担では3万円となり、大きな負担増といえる。
ただし、介護保険には「高額介護サービス費」という制度があり、自己負担額の上限が決まっている。一般的な所得(同一世帯内に65歳以上の方が1人の場合は383万円未満、2人以上の場合は合計で520万円未満)の人なら1カ月の上限は3万7200円で、これを超えた分は払い戻しが受けられる。つまり、30万円利用して2割負担なら6万円だが、高額介護サービス費によって3万7200円に抑えられるというわけである。
さらに現役並みの所得(単身で年収383万円以上)がある人は自己負担の上限額が4万4400円に引き上げられている。介護保険では収入に応じて相応の負担を求める方針を打ち出しており、それが色濃く反映されているのだ。
もうひとつ知っておきたいのが、特別養護老人ホームへの入所条件である。有料老人ホームなどに比べて利用料も安く、要介護度が高い人でもケアが受けられるなどのメリットがあるが、入所待ちは50万人を超えている。そこで昨年4月から、新規入所は要介護3(排泄・入浴・衣服の着脱など日常生活全般に部分介助ないし全介助が必要な状態)以上の人に限定された。要介護1、2で入所できるのは、知的障害や精神障害などもあって地域で安定した生活を続けるのが困難など、一定の事情がある場合に限られる。
親の介護は突然、わが事になるケースが少なくない。
状態によっては、介護保険ではカバーできない内容のサービスを自費利用するなど、さらに負担が増すケースもある。親の介護費用は親の年金や資産から出すのが基本だが、それができない場合もある。親の介護が自身のライフプランに影響することもあるので、介護保険の制度改正には無関心ではいられない。
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