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世界経済の成長エンジンは中国からインド・インドネシアに変わるのか?

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日本経済新聞(1月10日朝刊)にアジア主要国の総人口に占める生産年齢(15~64歳)の比率の将来予測がグラフで掲載されています。それを見ると、これからの成長を考える上で、興味深い事実が見えてきます。

年初からのマーケットの波乱要因とされている中国の経済成長の鈍化は、中国の生産年齢比率が2010年をピークに下がっていることが原因の1つという指摘があります。確かに、生産年齢人口比率が10%下がれば、人口が変わらないとすれば、1人あたり生産性が10%アップしなければ、経済成長しないということになります。人口減少フェーズに入れば、生産年齢人口自体が減少します。

日本は中国に先行して、生産年齢比率の低下が始まっています。人口減少と相まって、経済成長率が低位に留まっている大きな要因になっていることがわかります。

労働力増加率が人口増加率よりも高くなる時期を「人口ボーナス」と呼び、経済成長率を高める要因として機能します。

中国、日本だけではなく、韓国と台湾でもこの人口ボーナス期が終わってしまいました。世界銀行の分析によれば2010~2040年の間に、中国で9000万人、日本で2000万人、韓国で750万人、台湾で600万人の生産年齢人口が減少するとされています。

一方、グラフを見るとインド、インドネシア、フィリピンといった国では人口ボーナスがしばらく続くことがわかります。インドは世界人口第2位、インドネシアは世界人口台4位です。インドでは同じ30年間で生産年齢人口は3億2000万人程度増え、インドネシアも5000万人増えるという予測になっています。フィリピンも人口が1億人を超えて、人口増加と生産年齢人口比率の上昇という人口ボーナス期にあることがわかります。

生産年齢人口が増えれば、それだけで経済成長するわけではありません。経済は1人あたりの生産性と生産する人の数の「掛け算」で決まりますから、生産年齢人口が増えても、1人あたり生産性が上昇しなければ、成長率を加速させることはできません。そのために必要なのは、技術を身に着けさせるための教育です。

一方、生産年齢人口比率が下がっている日本のような国では、高齢者や女性などの労働力を活用することが経済成長を維持していくためのポイントになります。雇用方法の多様化や、高齢者や女性が働きやすい労働環境の整備を行うことで、仕事をしたい人が自分の能力を発揮できる社会を実現することに近づきます。

投資という観点からすれば、人口ボーナス期にある国への投資は、経済成長を後押しする可能性があるという点で魅力的と言えます。生産年齢人口というのは、投資対象国のマクロ経済を知るための重要なデータと言えるのです。

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※このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年1月10日の記事から転載したものです。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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