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東京カレンダー 躍進の理由/代表取締役社長 菅野祐介氏インタビュー

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2016年が幕を開けた。

広報・PRは、昨年、メディアリレーションズの次なる一手として、企業自らコンテンツを作り、発信していく時代へと突入。今年、その傾向はますます強くなると言われている。しかし、すでに世の中にはコンテンツが溢れており、多くの人に見てもらうのは至難の技だ。

そんな中、昨年2月のリニューアル後、わずか10カ月で月間1,000万PVを達成し、1500%超の成長を遂げたサイトがある。

今年で創刊15周年を迎える雑誌「東京カレンダー」のWEBサイト、「東京カレンダーWEB」だ。

サイトのコンテンツを一新し、店検索や店紹介といった定番機能にとどまらず、「東京女子図鑑」に代表される連載小説を次々に公開し、急成長。予想もしなかったやり方で、業界をアッと言わせた。

東京という、特定エリアに特化したWEBサイトが、結果的に全国の読者を夢中にさせている。その成功の秘密はどこにあるのか。

「イザワの目」新春インタビュー班は、これまで多くを語らなかった、東京カレンダー株式会社の代表取締役社長 菅野祐介氏を直撃。今の時代に成功する、コンテンツマーケティングの極意を聞いた。

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リアル・エンタメの追求

-「東京カレンダーWEB」は、昨年2月にリニューアルしてから、すさまじい成長ぶりです。

菅野祐介社長(以下、菅野):ありがとうございます。予測してやってきたことの方向性が間違っていなかった、ひとつの証明だと感じています。

-どのような方向性で制作しているのですか?

菅野:一言で言うと、「リアル・エンターテインメント」の追求です。東京という街を舞台に繰り広げられる、生々しいエンターテインメントを一次メディアとしてしっかり伝えていきたいと考えています。「東京カレンダーWEB」の基盤は、もちろん、雑誌「東京カレンダー」にあります。2001年の創刊以来、15年もの間、グルメ、しかも外食という外で体験を楽しむジャンルをコアコンピタンスとして、東京の隅から隅まで徹底的に歩きまわってきた「東京カレンダー」のスタッフたちだからこそ作れるコンテンツです。取材で見つけてきた宝石を、紙なのかWEBなのか、どういう形で出すのが一番いいのかを考えて、形にしています。当社の編集部には、WEBしかできない、誌面しかできない、という担当者はいません。

-雑誌「東京カレンダー」は全国で発売されていますよね。でもよく考えてみると、「東京」の話題しか取り上げていないという...。

菅野:そのとおりです。雑誌「東京カレンダー」は全国誌ですが、実は「東京」というエリアにローカライズされたメディアです。ですから、自然と「東京カレンダーWEB」もそうなります。インターネットだから、雑誌よりもさらにエリアを問わずに見られる情報源なのに、「東京」に特化しています。でも、それこそが成長の秘訣だと思っています。

-東京に情報を特化してしまうと、ターゲットが限られてしまう気がします。コンテンツの作り手として、怖くないですか?

菅野:もちろん、発信する情報を絞り込んでいくことは、運営側としては怖いですが、これだけインターネットが普及した今、「広く浅く」の情報は逆に求められないと思っています。コンテンツの作り手は、どうしても、幅広いターゲットにリーチしたいと思いがちですが、そうすると平均的な無味無臭のコンテンツになってしまう。「東京カレンダー」はその逆を張っています。徹底的に情報を深く掘り下げ、特定層にアプローチしていくことで、情報の価値を上げ、拡散してもらおうという考え方です。

例えばイタリアンのおいしい店を紹介する場合、「東京カレンダー」では、対象の一皿だけを紹介するのではなく、「あの広尾の交差点を曲がったところの2つ目の信号を少し右手に入ったところにある、ツタに覆われた小さな看板のお店。あの一種独特な雰囲気の店の○○がおいしいよ」というレベルの情報まで掘り下げて発信します。

-描写が細かいですよね。目に浮かぶというか。

菅野:そのコンテンツに、ライフスタイルを想起できるか、ということを大切にしています。ライフスタイルというものは、抽象的なものではなく、具体的なものです。細かなローカル情報までを盛り込むのは、その一皿にたどり着くまでのストーリーというか、その一皿を真ん中に置いた時の、周辺の人生模様を表現していくということにチャレンジしていきたいと考えているからです。極端な話、おいしいだけのお店はもういらないんです。その一皿を誰と食べるのか、どういう夜に食べに行くのか、そこに至るまで電車で行くのかタクシーで行くのか、そのお店を出た後、2軒目も行くのか、などの「ストーリー性」を大切にしたいと思っています。

ですから、どうしても、ローカライズした表現や深く掘り下げたコンテンツになります。それゆえに、全国津々浦々にリーチすることはないですが、逆にユーザーには「これは自分のコンテンツだ」という「マイコンテンツ感」を持ってもらうことができます。それが共感を生み、ひいては拡散につながります。漫然とリーチを狙った情報よりも、一人一人に最適化したコンテンツこそが、パワーを持つ時代になってきていると思います。

-ユーザーが「他人ゴト」ではなく、「自分ゴト」として捉えることができるコンテンツということですね。場合によっては、あたかも自分が体験しているような気持ちになりますね。

菅野:今の時代、プロダクト訴求が本当に難しくなってきていますよね。もっと体験型のコンテンツが求められていると思います。「東京カレンダー」は、まさにそこにはまっているんじゃないでしょうか。「東京カレンダー」に抽象的なコンテンツはありません。その気になれば実際に体験できるものをコンテンツとして提供しています。

-表現方法もリアルだし、提供している情報の中身もリアル。そういった「リアル」なコンテンツを発信していることが、体験欲求や疑似体験を生み、ユーザーにウケているのでしょうね。

菅野:そうですね。「東京カレンダー」の名前の由来は、みなさまの手帳のカレンダーをすてきな思い出で埋め尽くしたい、その人の人生を艶やかにしたい、という思いからきています。創刊から15年経って、ある意味で原点回帰した結果、みなさまのカレンダーを埋めるリアルなコンテンツと、それを彩るストーリーを提供したいと考え抜いて、今に至るということですね。

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