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ドイツの奇跡の復興とEUのおいたち (2/4)

マーシャル・プラン、ECSC、NATOなどの枠組みでドイツは再び勝手に戦争を始める事は不可能になりました。また猛烈な勢いで経済復興してもそれが昔のように領土拡大の野心につながらないような仕組みが出来ました。安心して、不釣り合いな生産力をドイツに許すことができました。これらのことはひとまわり大きい、欧州全体でバランスをとり、問題解決するというアメリカの価値観を強く反映したものとなったのです。

欧州の復興初期は「ヨーロッパの奇跡」と呼ばれています。そこでは戦災で壊された工場や住宅が修理されました。資本ストックの蓄積がなされました。復員兵が社会復帰しました。また戦争中に開発されたさまざまな技術が平和利用されました。さらにアメリカから大量生産や人事管理のノウハウなどが導入されました。みんな食うや食わずでしたから労働争議は少なく、労使関係は良好でした。

なお、鉄のカーテンの向こう側ではソ連の復興も急ピッチだったことを付け加えておきます。

つまりイデオロギーや経済の枠組みに関係なく、キャッチアップ局面では比較的簡単に経済成長ができるのです。それはなぜでしょうか?

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極端な資本財の不足から鉄鋼は生産すれば生産しただけどんどん消費されました。だから需給関係をあまり気にせず、兎に角、生産高を伸ばすことだけを心配していれば良いのです。また長年、十分な投資がされてなかったので、新しく資本投入さえすれば、素晴らしいリターンが期待できました。急成長している国では景気循環の悪影響は少ないし、画一的な製品、画一的な経営でも十分でした。だから資本主義国でも共産主義や社会主義のような命令型経済でも結果は余り変わらないのです。

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これは1950年から1960年までの10年間の年率平均の労働者一人当たりの生産の伸び率を示したグラフです。ドイツやイタリアの伸びの高さに注目してください。アメリカを遥かに超えています。興味深いのはイギリスもヨーロッパに位置しながら生産性の伸びが低い点です。イギリスはヨーロッパの各国と手を合わせて復興するよりも、昔の大英帝国のネットワークを頼りに経済運営をする途を選びました。それが生産性の伸びの低さに現れているのです。

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欧州の経済成長は1951年から1973年までが一番高く、その後、伸び率が鈍化しました。

欧州の経済成長率が1960年代後半あたりから陰りを見せ始めたのにはいろいろな理由があります。先ず安い労働力の供給が終わった事、技術導入が一巡したこと、重複(ちょうふく)するムダな投資でリターンが下がった事、産業政策の硬直化、賃金格差の減少で熟練工を目指す若者が減った事、高額所得者に対する重い課税で起業やリスク・テーキングの気風を削いだことなどが指摘出来ます。1961年にベルリンの壁が建設されると東ドイツから西ドイツへの人口の流入が無くなったので、労働力の供給は減り、賃金プレッシャーが出ました。

こうしたトレンドに追い打ちをかける出来事がありました。それは第二次大戦後ずっと続いていたブレトン・ウッズ体制が崩れた事です。

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ブレトン・ウッズというのはアメリカのニューハンプシャー州の町の名前で、ここにあるマウント・ワシントン・ホテルに1944年に44カ国、700名以上の代表があつまり世界銀行と国際通貨基金(IMF)を設立することを決めたのです。それと1929年のウォール街の大暴落以降、世界各国が競って自国の通貨を切り下げ、所謂、コンペティティブ・デバリュエーションと呼ばれる政策を敷いたことで、為替市場の変動が大きくなり、企業は輸出市場できちんと利益を上げる事ができなくなった結果、企業経営が内向きになるという弊害が出ました。そこで醜い為替を巡る争いをやめ、固定レートにすることでもう一度世界貿易をやり直そうという試みだったのです。この試みは当初成功します。数多くの経済学者が、比較的安定的な為替レートの下では企業の輸出意欲が高まるという研究を出しています。これはたとえば戦後の日本が固定相場の下で経済復興に成功した例や、最近では中国の人民元の管理相場など、枚挙にいとまがありません。ヨーロッパも実は固定相場の中で産業の復興を実現したのです。

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