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生活を一変させる2016年のテクノロジー機器

 2016年、今ほど、未来に手が届きそうな感覚を抱いたことはかつてなかった。

 今年、SF(空想科学)は現実の科学になるだろう。そこではVR(仮想現実)で余暇を楽しんだり、食器洗浄機が自分で洗剤を補充したりする。また、パパラッチのようにつきまとうドローン(小型無人機)に対処する準備もしなければならない。

 最もヒットしそうな高い電子機器やブレークスルー、アイデアの先を見据えると、2つのテーマが浮かび上がる。その一つが「解放」だ。スマートフォン(スマホ)充電器やケーブルテレビの契約などといった足かせが、今後はますます減っていく。もう一つは「インテリジェンス(知能)」だ。処理能力と帯域幅が増大するにつれ、機器やサービス、メッセージアプリでさえ一段と賢くなるのだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、これからお目見えするガジェットと、それに備えてできることを以下に紹介する。

仮想現実が現実へ


 2016年のカレンダーには「仮想現実がついに現実になる」とあちこちに記されている。まず、長く待たれていたオキュラスのVRヘッドセット「リフト」が春にも登場し、それに続いて
宏達国際電子(HTC)が「Vive(バイブ)」、ソニーが「プレイステーション(PS)VR」を投入する予定。

 オキュラスの技術を採用した韓国サムスン電子の「ギアVR」など、スマホにつなげる手ごろな価格のヘッドセットと異なり、このヘッドセットに搭載された最先端のセンサーやイメージング技術はこの目的のために磨かれたもの。テレポート装置のようなリアルな体験を約束する。

 このVRを魅力的にするのはゲームやファンタジーの世界だ。ただ、360度を見回せるビデオやアプリへの投資のおかげで、それほど現実から懸け離れていない世界に行くこともできるだろう。例えば、チケットが売り切れたコンサートの最前列、あるいはそれがなければ出そびれたはずの会議への出席といったようなところだ。

 準備の手引き:サムスン電子の新型「ギャラクシー」を持っていれば、100ドル(約1万2000円)のギアVRを手に入れると良い。「iPhone(アイフォーン)」やアンドロイド端末であれば、グーグルの段ボール製VRゴーグル「グーグル・カードボード」(20ドル)を試してみよう。回転椅子に座ってクルっと回れば、けがすることなしに360度を見回す体験ができる。吐き気止めが欲しくなるかもしれないが。

賢いメッセージアプリ


 2016年のメッセージアプリは単にテキストや絵文字を友人に送る手段にとどまらず、全てを知るロボットの助けを借りるための手段にもなる。

 フェイスブックのアプリ「メッセンジャー」を使い、サンフランシスコ周辺で行われた公開実験(ベータテスト)では、アプリに「M」と話しかけるだけでレストランの予約をしたり、友人へのプレゼントを購入したり、母親の誕生日を教えてくれたりした。米グーグルも同様のアプリを準備しているといわれている。

 ロボット以外でも、メッセージアプリはさらなる機能を備える方向に進化するだろう。中国で人気のメッセージアプリのように、友人への支払いや勘定、予約、ゲーム、メッセージ翻訳などができるようになる可能性がある。

 準備の手引き:メッセージアプリは人が使えば使うほど良くなる。友人や家族を集め、同じアプリを使わせるようにしよう。あらゆる端末に対応していれば最高だ。

より安全で賢いドローン


 ドローンが撮影した空からの眺めを嫌いな人はいないだろう。ただ、誰もがドローン操縦にたけているとは言えない。そのうち、私たちはドローンをヘリコプターというよりカメラとして捉えるようになるだろう。未熟な操縦者による誤操作や無謀な操縦を補正する技術は進化している。

 米リリーは防水モデルのドローンの投入を計画している。この製品はいったん空に放たれるとカヤックをこいだりスキーをしたりする間ずっと持ち主を追いかけ回し、夕暮れのビーチで自撮りをしてくれたりもする。ウェアラブルカメラの米ゴープロも「カルマ(Karma)」と呼ばれるドローン投入を計画しているが、その操作性について同社は固く口を閉ざしている。

 準備の手引き:操縦訓練をする心構えができてないなら、現在のモデルは買わない方がいい。また、製品が配送されるにしても大幅に遅れてしまう可能性があるため、クラウドファンディングサイトに登場する、やけに宣伝の派手なドローンにも注意が必要。そして、飛行可能区域や行政上の登録方法など、ドローンオーナーとしての権利と義務を知ることも重要だ。

新年は新たなUSBポートで


 あなたの知っている、そして恐らく嫌っているUSBポートが変化に向かっている。2015年にも米アップルの新型「MacBook(マックブック)」のようなノート型パソコン(PC)、グーグルの「ネクサス6P」といった新型スマホなどに小型化・高速化された「USBタイプC」ポートが採用された。今年はモニターやハードディスクドライブ(HDD)など、その他すべてのインターフェースにもこれが採用されるだろう。

 USBタイプCが素晴らしいのは、USBタイプCが双方向に電源を供給できることだ。例えば、ノート型PCのポートを使えば外付けHDDに接続すると同時に双方に電源供給ができる。これで配線の数が少なくなるし、充電も早くなる。残念なのは、今までため込んできたUSBコードがガレージの隅に追いやられることだ。

 準備の手引き:USBタイプCが使える端末に目を光らせておこう。アップルに追随し、デルとヒューレット・パッカード(HP)はタイプCのポートを搭載したPCを投入したばかりだ。また、従来のUSBをタイプCに接続するアダプターを手に入れたければ、8ドルほどでアマゾンから購入できる。そうすれば古い周辺機器を生かすこともできる。

すべてを音声で操作


 いや、あなたが偏執症になったわけではない。ガジェットは本当にあなたの言葉に耳を傾けているのだ。2016年には、音声で操作する電子機器の正確性と知性が飛躍的な進化を遂げるだろう。テレビやサウンドシステム、家電製品など、複雑な入力操作が必要だがキーボードに向いているとはいえない端末にとって、話すということがより自然な交流方法になる。

 マイクロソフトが基本ソフト(OS)「ウィンドウズ10」にバーチャルアシスタントシステム「コルタナ」を搭載し、自動車やテレビには「Siri(シリ)」や「グーグル・ナウ」が搭載されるなど、音声操作は2015年に華々しいライトを浴びた。

 今年はより多くのコンピューター、より広範なガジェットに音声操作機能が取り入れられることだろう。例えば、IBMの人工知能「ワトソン」を使って質問に答える恐竜の形をした知育玩具「コグニトイズ・ダイノ」や家庭向けロボット「ジーボ(Jibo)」のように。

 準備の手引き:これだと思う音声操作のプラットフォームを見つけたら、それを使い続けよう。音声システムはあなたを知れば知るほど能力を高めるし、アマゾン、アップル、グーグル、マイクロソフトの各機能が常に互換性が高いとは限らないからだ。一部のシステムではまだ聞き慣れない専門用語を学ぶ必要もある。さもなければ何度も叫ばなければならない羽目に陥るだろう。

中国製スマホが米国デビュー


 中国製スマホは世界に広く普及しているが、アップルとサムスンから離れられない米国の消費者にはほとんど知られていない。2016年には低価格だけでなく、モバイル文化の繁栄から生み出た機能が搭載された中国ブランドがお目見えするだろう。

 スマホ生産で世界3位の華為技術(ファーウェイ)は449ドルの端末「ネクサス6P」を投入し、旗艦機種の「Mate(メート)8」を米国で販売する計画を明らかにした。「中国のスティーブ・ジョブズ」として知られる人物が打ち出したブランド「楽視網(LeTV)」も、米国市場への大々的な参入を目指している。気になるのは、非常に評価の高い新興企業、小米科技(シャオミ)だ。同社は今のところ米国への参入計画に関心を示していない。

 準備の手引き:新しいアンドロイド端末を買うべきか悩んでいるなら、待った方がいい。少なくとも、端末への縛りがある通信サービス契約にサインしてはならない。

見通しの良くなったカメラ


 スマホ向けであれオートフォーカス・カメラ向けであれ、画質を改善させてより深い奥行きを捉えることで、まるで3次元(3D)写真のように「見せる」レンズやセンサーが数多く生み出されている。

 すでにノート型PCやタブレット端末の一部にも、インテルの3Dカメラ技術「リアルセンス」のようなマルチセンサーカメラが搭載されており、部屋の寸法を測ったり、ログイン時の顔認識に使われたりしている。

 今年の夏には「ライトL16(Light L16)」と呼ばれるスリムカメラが華々しくデビューする。このカメラには焦点距離の異なる、レンズとセンサーから成る16個のモジュールが内蔵されており、52メガピクセルという膨大な解像度で被写体を捉えることができる。

 準備の手引き:高価な一眼レフカメラを新たに購入するのは少し待った方がいい。この新しいマルチレンズ技術を用いれば、大きさも重さほんのわずかな端末ですぐに一段上の撮影ができるようになるだろう。

豊富になるストリーム配信チャンネル


 テレビの変質は始まったばかりだ。現在は一部のネットワーク大手や地方放送局など、ケーブルテレビのセットトップボックスを通じてしか見られないチャンネルの多くが、2016年にはストリーム配信に姿を変えるかもしれない。クレジットカードの明細にはさまざまな購入代金の引き落としがずらりと並ぶため、ケーブルを切断することで大きな節約になることは期待できない。アプリは進化し、見たい番組を簡単に見つけてくれるばかりか、家庭の大きなスクリーンで新たなインタラクティブ(双方向性)な体験ができるようになるだろう。

 準備の手引き:最近の大抵のアプリを使えるストリーミングボックスかスマートTVを購入しよう。依然として「Roku(ロク)」が一歩リードしているが、iPhoneの生みの親がメディア会社へと重心を移してきたため、新たに投入された「アップルTV」も良い選択肢だ。手ごろな価格の家庭用ブロードバンドか最新のWi-Fi(ワイファイ)ルーターを使えば、ストリーミング配信の視聴ストレスが確実に少なくなるだろう。

どこでもワイヤレス充電


 ワイヤレス充電はテクノロジー業界の選挙公約のようなもので、よく話題に上るが決して完全には提供されていない。とはいえ、今年はあらゆるガジェットを壁のコンセントに差す必要が本当になくなるかもしれない。

 まず、主要な2つの陣営が協力し合って一つの技術に統合されることで、醜い規格争いが解決に向かう。次に、その果実でジュースを絞ってくれるカウンターが増えてくる。すでにスターバックスにはワイヤレス充電器が備えられたテーブルが導入されているし、イケアは同様の機能を備えた家具の出荷を開始した。ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車、アウディも自動車に同じ機能を持たせているか、近く持たせる運びだ。

 ワイヤレス充電対応端末が増えるにつれ、充電速度も今より速まるだろう。

 準備の手引き:空港やコーヒーショップなどでワイヤレス充電ができるスポットに目を付けておこう。購入する側は様子見するのがベストだ。現在売られているワイヤレス充電器は決して買ってはいけない。

独立したウエアラブル


近くにスマホがなければ、2015年のスマートウオッチにできることは歩数を数えたり時刻を教えたりするくらいだった。しかし、2016年のスマートウオッチはセルラーや全地球測位システム(GPS)などの内蔵型ワイヤレス装置を組み込み、スマホから独り立ちし始める。家にスマホを置いておきたいが、ルートを記録したり連絡を逃したくないフィットネス愛好家にとって、それは大変革をもたらす可能性があるのだ。韓国のLGエレクトロニクスとサムスンは最近、セルラー方式の通信機能を備えたスマートウオッチを投入したが、他の人気モデルも無線通信機能を高めるべきだ。

 準備の手引き:数カ月はスマートウオッチの購入を我慢しよう。ただ、新たなモデルがリリースされれば、電池寿命に注意を払おう。こうした無線装置は電池寿命に大きな影響を与える可能性があるからだ。

進化するコードレス・ヘッドホン


 近距離通信規格「ブルートゥース」に対応したヘッドホンに新鮮味はないが、今年は1セット購入すべき年だ。ワイヤレス技術の向上は、音の不安定や接続切れに悩まなくてよくなることを意味する。独ブラギ社の「ダッシュ(Dash)」や米アルファ・オーディオトロニクスの「スカイバッズ(Skybuds)」など、2016年には本物のワイヤレスヘッドホンがいくつか登場することが期待できる。これらには2つのイヤーピースをつなぐコードさえ必要ないのだ。スマホからヘッドホン用の差し込み口がなくなるという話題まで出ているが、これはさらに薄型のデザインを追求するための「犠牲」だ。

 準備の手引き:練習用としてボーズの「サウンドリンク」やジェイバード「X2」など、ブルートゥースに対応した満足のいくヘッドホンを購入するのもよい。そして、少なくとも1月の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」までは待ったほうがいい。

便利な「モノのインターネット」


 最後に、製品に自動補充機能を組み込むアマゾンの「ダッシュ・リプレニッシュメント・サービス(DRS)」といったプログラムのおかげで、家電をインターネットに接続する理由ができた。これはウオーターサーバーやプリンター、洗濯機などの家電にセンサーを付け、水やインクなどの残量が少なくなった時点で自動的に注文してくれるサービスだ。2016年には家事を支援して心配事を減らすため、ガレージのドアから換気口に至る日常的な品々がいかにインターネットに接続できるかについて、信頼できるアイデアを耳にすることだろう。

 準備の手引き:アマゾンのDRSのようなサービスと相性のいい製品を選ぼう。DRSは2016年初めに最初のサービス開始が予定されている。また、グーグルの「ワークス・ウィズ・ネスト」のように、一般的な言葉を話す接続機器を探しだそう。

By GEOFFREY A. FOWLER and JOANNA STERN

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