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英語参考書の常識を変える『MY JOURNAL 英語で日記を書こう』 バイリンガルニュース・Mamiさん、インタビュー - WEDGE Infinity 編集部

人気ポッドキャスト「バイリンガルニュース」のMamiさんが、「英語参考書界にイノベーションをもたらす」になるという思いで、『MY JOURNAL 英語で日記を書こう』(ポプラ社)を上梓した。この本に込めた思いについて聞いた。

「バイリンガルニュース」。日本人とアメリカ人のハーフであるMichaelと、日本人で一度も留学経験もないのに英語がペラペラというMamiが、英語(Michael)と日本語(Mami)で、ニュースを取り上げて、バイリンガル形式で会話をするというポッドキャスト番組。2013年5月にスタートして、リスナーは十数万人にのぼり、iTunesのポッドキャスト総合ランキングで常に上位にある。

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「バイリンガルニュース」

 一人のリスナーとして感じる面白さは、まず、ニュースセレクトの巧さにある。既出の報道をそのまま流すのではなく、ソース(情報源、発信源)にあたって、それを発信している。だから情報としての信頼性も高い。

 最近のバイリンガルニュースの例を挙げると、「子どもが欲しい男性はパンツを履かずに寝たほうがいい」という論文、「インド洋で人類史上初めてマントルまで掘削するプロジェクトが開始」という研究チームのリリース、「ロシア・プーチン大統領が右手を動かさずに歩くのはKGB時代の名残」という医療雑誌での報告……など。

 次に、2人のバイリンガル方式による会話。社会問題を知ったかぶりすることなく、分からないことは「分からない」とはっきりと言い、だからこそ「考えて行けばいいじゃん」というスタイル。横並びで、主観や自主規制にがんじがらめになった日本のメディアから失われている新鮮さ、ニュースの本当の面白さがバイリンガルニュースからは伝わってくる。

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『MY JOURNAL 英語で日記を書こう』

 そのMamiさんが初めて書籍を出した。『MY JOURNAL 英語で日記を書こう』。英語で日記を書くための参考書ではなく、本の中に英語で日記を書き込んでいく。最初の数十ページは状況ごとに必要となるフレーズや、英語で日記を書くときのアドバイスに割かれ、後半はポップなイラスト付きの日記ページという構成になっている。

今までに見たことのない英語参考書

編集部(以下、——)ジャンルとしては、英語参考書、あるいは日記に分類されるべきなのか、よく分からない珍しい本ですね。

Mami そういう意味で、「どこの棚に置けばいいか分からない」と書店さんを戸惑わせてしまうこともあるみたいなんです。でも、それでも私たち(ポプラ社の担当編集者矢島緑さん)はこういう本を、英語を勉強したい人に届けたいと思いました。英語の参考書といえば、分厚くて、文法順にテキストがたくさんあって……というのが一般的なイメージだと思います。英語をマスターするには、その難しい参考書をクリアしなければならないと。根性論みたいな。でも、それって違うんじゃない? 楽しく英語を身に付けてもいいじゃん。「私なんて極力辛いことから避けてきたけど、英語、身に付いたよ」ということを伝えたかったんです。

——いわゆる参考書にある文法用語もないし、シチュエーションごとのフレーズ集も、こんなに簡単でいいの? と思ってしまいます。

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Mami 1986年東京都生まれ。上智大学比較文化学部卒業。帰国子女ではなく、留学もしていない、東京育ちのバイリンガル

Mami そうなんです。それが英語を勉強したことがある人のイメージです。英語の参考書ってもっと難しいものじゃないの? と。暗記中心の大学受験で「辛い勉強をした」という負のイメージも影響していると思います。

 ただ、「簡単だよね」と思っても、いざ、ここにあるフレーズを会話や文章にして使ってみようとすると、出て来ないですよね?

——確かに……。英語でスラスラ喋ったり、書いたりすることはできません。

Mami 自分のものになってないんですよ。日記形式にしたのは、アウトプットするためなんです。英語を勉強していても、普通は外国人と喋ったり、メールでやりとりしたりすることは多くありません。だから、英語で日記を書いていくことでアウトプットする場となります。それと継続ですね。少しずつでも毎日、英語を使うことが大事です。ここにあるフレーズが自由に使えるようになれば、英会話はできちゃいます。

 私はよく、ブリトニー・スピアーズに英語を教えてもらったと言っています。小・中学生のころ、彼女の曲が好きで毎日聞いていました。英語を習得するには努力は必要だと思います。でも、それは楽しみにながらすればいい。楽しくなくさせているのは、さっきも言った「根性論」、それと「減点主義」のせいでしょうね。覚えていなかったらダメみたいな。以前、子どもの英語教育の現場で「b」の棒の長さが足りないから間違いと、やっているのを見て、そりゃ嫌になるよ、と思いました。日本では「楽しいと勉強じゃない」という意識ってありますよね。「苦行」みたいなことのほうが尊ばれる。

——会社でも、仕事をたくさんした人のほうが評価されます。例えば、「残業代」は出るのに、仕事を効率良く早く終わらせた人にはインセンティブがなく、逆にもっと仕事が振られるという……。

Mami 私がいたドイツ系の企業では、部下の残業が多かったり、有給が消化されていなかったりした場合、上司が減点されるという仕組みになっていました。日本の会社のような仕組みを続けていると、目先の結果にとらわれすぎて、長期的に社員がハッピーなのか? という観点が抜けているから、結局は優秀な人材が去っていくことになるのではないでしょうか。

 「減点主義」ということでは、バイリンガルニュースでも取り上げましたが、イーロン・マスクが私設の学校を創りました。そこでは、最初にさっさと答えを教えてしまうのではなく、時間をかけて答えの導き方を考えさせるといったことをしているそうです。

 私もMichaelも「思考停止の人になりたくない」と、よく言っています。「思考停止の人」というのは、自分で考えて答えを出したわけでもないことを、自分の答えにできる人や、「前例主義」にとらわれているような人です。今、日本の色々なところで「イノベーションが必要」と言われていますが、前例や慣例を取り払うことができなければ、イノベーションは起きないはずです。

——そういう意味では『MY JOURNAL 英語で日記を書こう』もそうですね。「英語は難しいもの」「苦痛を伴う勉強が必要」という固定観念を変えようと。

Mami 可愛いくて、お洒落な英語参考書があってもいいですよね(笑)。イーロン・マスクがすごいなと思うのはお金のためじゃなくて、(電気自動車の普及、宇宙ロケットで火星に行くなどして)本気で人類存続のためにしていることです。この本でも、バイリンガルニュースでも、多くの日本の人たちが知らないことを伝えていきたいという思いがあるんです。メインストリームに合わせようとするのではなく、Michaelがよく言っているように「何を言っても自由」という姿勢で、これからも情報を発信していきます。

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