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今年は、企業と個人を分断する年にしよう

 新年あけましておめでとうございます。

 本年も眼光紙背をよろしくお願いします。

 さて、文体を「だ、である調」に戻して、新年早々の記事は昨年のニュースから考えていきたいと思う。

 東京メトロに勤務していた男性が痴漢により解雇されたことを不服として訴えていた裁判で、東京地裁は「処分は重すぎる」として解雇は無効であると認めたというのだ。(*1)

 これはちょっとすごいなと思う。

 だって、本来であれば痴漢は犯罪であり、かつ円滑な車両運行にとっても支障がでる「敵」である。東京メトロとしては、当然そのような人間は鉄道会社の社員としてふさわしくないとして解雇したはずだ。にも関わらず、その社員の解雇を無効にするという判決が出てしまう。

 諭旨解雇の内容はハッキリしないが、多分退職金の有無や自己都合か否かと言う点で不満があったのだろうと思うし、このまま判決が確定しても普通解雇という形にはなると思うのだが、それでも「痴漢で解雇が重い」という判断が裁判所でされたことには首を捻らざるをえない。というか、女性であれば痴漢が勤務している鉄道会社の電車になど乗りたくないだろうし。

 この判決は多分「温情判決」の範囲なのだと思う。

 罪という点では罰金刑という形で完了しているにもかかわらず、解雇という今後の生活を左右するようなことは、その罪に比して、結果が重すぎるということなのだろう。

 しかし、僕にはそれはあまりに「正社員優遇」であるように思えてしまうのだ。

 本来、会社にとって不的確な人間を排除することは、会社の権利であるはずだ。しかし、大半の人が企業に就職して、お金を稼ぐことによって生活しているという実態があるから、会社による排除には一定のルールが決められている。

 しかし、その帰結として「正社員を守るために非正規労働者をバッファとして利用する」という労働格差が法的に決められてしまうことになった。これは「整理解雇の四要件」という内容で、正社員よりも先に非正規労働者を解雇して、正社員を守る義務が会社に課されているのである。

 鉄道会社に痴漢が勤務することが許されることも、非正規が真っ先に首を切られてしまうことも、その原因は正社員を会社に努めさせることが「社会福祉」として機能しているからだ。

   さて、このニュースをあえて今年最初に持ってきた理由は、僕の今年の目標として「会社と個人を切り離すための言説をしていこう」という決意があるからだ。

 つまり、このニュースのように個人と会社が結びつき、個人を会社から引き離すことが「重い」と思われる事自体に、今の日本の行き詰まりの原因があると、僕は考えているのである。

 個人と会社が結びつき、会社から離れた個人が生きていけないとすれば、それはまっとうな社会福祉が存在しないことに等しい。そうした社会においては、会社が、個人に全てを与え、そのことと引き換えに個人を支配する「王」となる。個人が生きるために王に選ばれることが必要であれば、個人は決して王に逆らえないのだ。

 今回の判決は社会的には「温情」として理解されるものだが、その事自体が個人と王の関係性を法的に肯定することであり、いわば企業による個人の支配を認めることに等しいのではないかと、そう僕は考えているのである。

 僕は2016年を、企業という王様と人現個人の関係性を切るための年にしたいと思う。

 そして社会福祉を企業に担わせず、本来、国民を守る義務を負っている国が、ちゃんと再分配を担う社会にしたいと願っている。

*1:痴漢で解雇「重過ぎ」(共同通信 47NEWS)

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