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2015年、賭博関連産業の総括

さて、いよいよ本年も終わりに差し掛かりました。2015年は賭博業界、およびその関連業界にとっては激動の一年となりました。

我々、賭博業界では昨年、厚生労働省研究班より「ギャンブル依存症の疑いがある人が、国内に536万人いる」とする研究結果の発表が行われ大きな衝撃を受けたワケですが、2015年前半はそのようなギャンブル依存問題の高まりを受けて政策的な対策検討が行われた年であったと言えます。

今年4月には下村文部科学大臣(当時)が、衆議院文部科学委員会においてギャンブル依存に関する学校教育での取り扱い検討に取り組むことを明言しました。

文科省がとうとうギャンブル依存教育の検討着手
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8794366.html

また、この7月にはギャンブル依存対策を考える超党派の国会議員による勉強会が発足。学校教育以外の分野での対策検討に論議が広がりました。

ギャンブル依存症対策へ 超党派勉強会が発足
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-30/2015073004_03_1.html

さらに今年9月にはかねてより懸案となっていた我が国の「心のケア」を担う専門国家資格、公認心理師法が成立し、依存症を含む様々な心の病に対する専門家の育成態勢が国によって整備されることとなりました。

9月公認心理師法案が委員会通過、今期成立の見通し
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8954595.html

このように本年は、昨年起こった社会的な問題提起を受けて、ギャンブル依存問題に関連する様々な施策検討が政策レベルで進んだ一年であったと言えましょう。一方で、今年は我々賭博関連業界において様々な不祥事が噴出し、社会的注目を浴びた一年でもありました。

その中で最も大きく社会を騒がせたのが、スポーツ振興くじ(通称:totoくじ)の運営主体でもある独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)による国立競技場の建て替えを巡る一連の騒動です。本建替え事業は表面上は2020年に向けたオリンピック関連事業でありますが、その本質部分はtotoくじによって生まれた収益を巡る文教族による利権再配分問題に端を発したものであります。このあたりの構図は、私自身が中心となって社会に対して問うてきた事案でもあり、大きな反響も頂きました。

毎年55億円の流用で「焼け太る」国立競技場計画
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8908869.html

国立競技場問題の後に更に世を騒がせたのが、野球賭博問題であります。読売巨人軍に所属する3選手の賭博関与に端を発した問題でありましたが、それがちょうど同時期に起こった山口組の分裂騒動などとも連動し、「反社会的組織の関与」と「職業倫理」の2軸から大きな論議となりました。

私自身も本問題の勃発によって問題構図の解説者としてメディアに引っ張り回されたりと「巻き込まれた」感が満載な事案でありますが、本問題は未だ継続的に調査が続いているものであり、来年に更に大きな「炎上」を引き起こす火種がアチラコチラに垣間見えている状況。2016年も引き続き注視が必要な事案となっています。

賭博に揺れたプロ野球、熊崎コミッショナー「目を光らせる」
http://www.sankei.com/sports/news/151228/spo1512280009-n1.html

そして、今年の最後に大きくメディアで報道され社会問題化したのが「パチンコ釘問題」です。本問題自体は今年の冒頭から業界内では完全に炎上状態にあったワケですが、それが大手メディアに取り上げられ社会的認知が行われたのが今月に入ってからのこと。それを受けてパチンコ関連の業界団体が年末ギリギリの12月25日に緊急の記者会見を行い、共同声明を発表するなど対応に追われています。

「パチンコ釘問題」を世界で最も判り易く説明してみる
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/9111725.html

当然ながら本問題も来年に論議が引き継がれる事案であり、年初から予定されている国会内で質疑準備が行われる様相も垣間見られており、引き続き高い社会的関心が注がれる案件となるでしょう。

また、野球賭博、およびパチンコ釘問題などの大きなニュースに報道がかき消された形にはなりましたが、今月報じられた帯広ばんえい競馬の騎手および厩務員等の9人が法律で禁じられている馬券購入を行っていたという事案は、我々業界人にとっては非常に衝撃的なニュースでありました。

これらは構図としてはプロ野球選手が野球賭博に関与するのと同じ八百長の可能性も疑われる非常に大きな問題でもありますが、一方で公営競技関係者が自身の係わる競技において投票券購入をしてはならないことは法に明確に定められた違反事項でもあり、「賭博人」として最低の行いであると言えます。

ばんえい競馬騎手らが馬券購入の疑い 宿舎など家宅捜索
http://www.asahi.com/articles/ASHDC32GSHDCIIPE001.html

 …と、諸所のニュースを並べてみると、今年の賭博関連業界は例年と比べて本当に年初から話題に事欠かない一年であったな、と思いを巡らさざるを得ません。

そして、何より私として最も衝撃的なのは、その他業界ではこれほどまでに激動の一年であったにも関わらず、我々カジノ業界は「驚くほど無風」であったこと。「五輪に向けて、すわカジノ合法化だ!」などという号令が一部業界人からしきりと発されていたものの、委員会審議すらビタイチ行われることなく国会で吹き荒れる安保風に法案がむなしく晒されているだけという、「カラ騒ぎ」も甚だしい一年でありました。

来年は7月参院選が確定している選挙の年であり、正直言えばカジノ合法化論においては全く良好な環境であるとは言えないワケですが、立場上、どんなに環境が悪くても先頭を切って突き進むしかないという非常に微妙な状況でもあり、引き続き皆様におかれましては我が業界に注視のほどを心より宜しくお願い申し上げる次第です。

政府がtotoくじ売上の国立競技場予算への流用を現在の5%から10%に引き上げる予定などという報道が、この年の瀬忙しい中で報じられて何かコメントしないとなぁとか色々気になっている事案はあるのではありますが、とりいそぎ今年のブログ更新はこれにて打ち止め。来年も年明けから良くも悪くも世を騒がせることが必至の賭博関連業界でありますが、本ブログとともに引き続きご注視の程をよろしくお願い申し上げます。

それでは良い年の瀬をお送りください。

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