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日韓合意をどう考えるか

12月28日、日韓両国はソウルで外相会談を開いて、慰安婦問題を決着させることで合意した。隣国との関係が改善されることは良い事だが、果たして手放しで喜べる内容かと問われたら、多くの疑問と不満が残るというのが率直な感想である。

岸田外相と尹外相が「日韓合意」を並んで表明したが、韓国側の都合から、合意文書は無く、記者からの質問も受け付けない異例の形となった。合意内容が正式な文書として残されず、いわば現政府同士の口約束だけで、一体どれだけの効果を将来にわたって期待できるのか心配なのである。

慰安婦問題の決着を目指し、今日まで日本政府は河野洋平官房長官談話や、アジア女性基金の支給などに取り組んで来た。(私はこの形が決していいとは思っていないが)今までも金大中大統領ら多くの韓国首脳が、こうした日本の誠意に対して「未来志向の日韓関係」を約束したが、政権が変わるたびに反故にされ、日本は裏切られ続けて来たのが実際であった。

今回、日本は「責任を痛感」し、元慰安婦を支援する新基金に10億円を拠出するとして、安倍総理の「お詫び」まで添えて発表した。慰安婦といわれる人はもう50人もいない筈、この基金がどう使われるのか分からない。

安倍総理の「子や孫の世代に謝罪し続ける宿命を負わすわけには行かない」という強い思いが、「最終的かつ不可逆的な解決」という合意になったのだが、今までの経緯から見てこの合意がどこまで守られるか、その保証は無い。


そもそも、1965年の日韓請求権協定で慰安婦問題は解決済みなのである。あの時、日本は韓国に5億ドルの経済協力などを行い、賠償問題は「完全かつ最終的」に解決したと明記している。5億ドルといえば当時の韓国の国家予算のほぼ2年分に相当する巨額なもので、朴大統領(現大統領の実父)はこの資金で「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長につなげたのだ。

今回、国の税金から10億円拠出? 新基金は人道支援だと言うが、今後、韓国側が国家賠償だと喧伝、誤解されるおそれもあるのではないか。 


ソウル日本大使館前にある慰安婦像の撤去は韓国政府の努力目標だという。こんな言い訳を鵜呑みにするわけにはいかない。この像は、「韓国挺身隊問題対策協議会」が建てたものだが、公道に無許可で設置された代物だ。各地にも続々と建てられ、今や米国にも増えつつある。不可逆的解決というのなら、韓国政府は今までのように黙認するのではなく、責任を持って撤去させなければならない。


今回の合意はマスコミで一斉に報道されたが、立場によって微妙な相違があった。不思議なことに読売、産経新聞の一面トップの見出しは、「慰安婦」日韓合意、最終的・不可逆的に解決確認」と、文言が全く同じであった。

朝日新聞の一面トップの見出しは、「慰安婦問題日韓合意」までは同じだが、「政府の責任認定・首相お詫び」とわざわざ付け加えていた。

慰安婦問題が政治問題化したのは1990年代初め頃で、要因の一つは吉田清治なる者の証言だった。彼は、「戦時中、韓国済州島で日本兵が女性を強制連行し慰安婦にした」と講演や著書で語り、これを朝日新聞等が報道したことから賠償や謝罪を求める動きになった。

ところが、この発言に歴史家などから疑問が出され、昨年8月、朝日新聞は吉田証言を虚偽だと認めて関係記事を撤回した。朝日新聞は本来なら、その責任を負うべきなのだが、一向に知らん振り、相変わらず自らの責任を糊塗するような内容であった。


ともかく、日韓合意は一応の決着ではあった。安倍政権の努力は評価しつつ、新たな年を迎え、今後韓国がどのように動いて行くのか、冷静に見つめていかなければならないと思っている。

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