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- 2011年05月07日 00:14
壊れたディールとは?
IPOが上場初日から公募価格を割るケースをbroken deal(=壊れたディール)といいます。
具体的な例で説明しましょう。
木曜日にネットチン(ティッカー:NQ)がNYSEに上場されました。
初値設定は$9.5から$11.5であり、このレンジの上限で値決めされました。
今回公募株数は775万ADSでした。
下は同社株の上場初日(5月5日)の様子です。
リンク先を見る
これを見ると$11.5が実体線の上限になっていることから寄り付きは公募価格と同じ$11.5だったことがわかります。(ローソク足は15分足です)
このように上場初値が値決め価格とおなじ(もしくはそれ以下)だと投資家は「何かおかしいぞ」と思います。
そして早く逃げようとする売り物が殺到するわけです。
通常、値決め価格のところには主幹事がアフターマーケットを買い支えるシンジケート・ビッドと呼ばれる買い指値があります。
しかしシンジケート・ビッドがオーバー・アロットメント・オプション(=公募株数の15%)を超えることは普通ありません。
すると上場直後に公募価格と同じ$11.5の値段で成立した出来高が116万株(=15%)を超えると買い支えが出来なくなり株価が「陥没」するわけです。(もちろん正確にはアフターマーケットでの機関投資家の買い注文もあるので、実際はこれほど単純ではありませんが、今は説明を簡明にするために細かい議論は省きます)
いわゆる「グリーンシュー」とよばれるオーバー・アロットメント・オプションの実際の適用の仕方は機関投資家でも知らない人が多いです。
そこで通常「主幹事の買い支え」と市場では認識されている、グリーンシューの仕組みを説明したいと思います。(ずっと昔に説明しましたが、もう一度説明します)
まず主幹事は売出し目論見書の売出し株数(=この場合は775万株)より15%多い株数を実際に投資家にアロケーション(=渡すこと)します。つまり891万株です。
すると予定より多い分(116万株)は「字余り部分」と言えます。
このように「オーバーシュートして予定株数以上に株を売ってしまってもいいですよ」という暗黙の合意がオーバー・アロットメント・オプションなのです。
するといま「字余り部分」で余計に投資家に売り渡した116万株については「予定株数以上の売り」という意味で主幹事はShort(=ショート)していると理解すれば呑み込みやすいかもしれません。
すると公募価格を割れないように主幹事が$11.5のところで買い指値するシンジケート・ビッドは、もともと主幹事がショートした116万株であることがわかります。
別の言い方をすれば主幹事は自分の資本を投入して相場を買い支えるのではなく、売出し目論見書で許されている「売り過ぎ」の状態をわざと作り、その買い戻し分をシンジケート・ビッドとして場に晒しているだけなのです。
さて、その後このIPOの株価がずっと低迷してひと月くらい経っても公募価格に戻らなければ主幹事は:
最初に「売り過ぎ」で余計に発行した116万株 と
シンジケート・ビッドで買い戻した116万株
を相殺して、そもそもこの116万株の「売り過ぎ」は「起こらなかったのだ」と言うことが出来ます。この場合、「オーバー・アロットメント・オプションは行使されなかった」という表現になります。
別のシナリオでアフターマーケットの株価がスルスル上昇し、主幹事がシンジケート・ビッドで買い戻した分もその後マーケットで公募価格以上の水準で処分できたとすれば上に説明したような相殺の作業はしなくてよいわけですから、主幹事は「売り過ぎ」で出した116万株をそのまま発行したことにしてしまうわけです。
これは「オーバー・アロットメント・オプションが行使された」という表現で後日、ニュース・リリースが出て、その分だけ発行済み株式数が増える計算になるわけです。
さて、個人投資家の立場から公募価格割れのディールに関してわきまえておくべきことは何でしょうか?
最も大事なことは上場初日から公募価格割れを起こすディールに関しては(主幹事がドジで投資家に損をかけたわけだから、我々投資家は配分されたIPO株を後生大事に抱えておく義務は無い)と大口投資家が考えるということです。
だからいきなり公募価格を割れるディールでは売り物が殺到するし、株価はなかなか出直りません。
IPOの初値がぜんぜん期待外れだった場合、脱兎の如く逃げた方が勝ちな理由はここにあります。
具体的な例で説明しましょう。
木曜日にネットチン(ティッカー:NQ)がNYSEに上場されました。
初値設定は$9.5から$11.5であり、このレンジの上限で値決めされました。
今回公募株数は775万ADSでした。
下は同社株の上場初日(5月5日)の様子です。
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これを見ると$11.5が実体線の上限になっていることから寄り付きは公募価格と同じ$11.5だったことがわかります。(ローソク足は15分足です)
このように上場初値が値決め価格とおなじ(もしくはそれ以下)だと投資家は「何かおかしいぞ」と思います。
そして早く逃げようとする売り物が殺到するわけです。
通常、値決め価格のところには主幹事がアフターマーケットを買い支えるシンジケート・ビッドと呼ばれる買い指値があります。
しかしシンジケート・ビッドがオーバー・アロットメント・オプション(=公募株数の15%)を超えることは普通ありません。
すると上場直後に公募価格と同じ$11.5の値段で成立した出来高が116万株(=15%)を超えると買い支えが出来なくなり株価が「陥没」するわけです。(もちろん正確にはアフターマーケットでの機関投資家の買い注文もあるので、実際はこれほど単純ではありませんが、今は説明を簡明にするために細かい議論は省きます)
いわゆる「グリーンシュー」とよばれるオーバー・アロットメント・オプションの実際の適用の仕方は機関投資家でも知らない人が多いです。
そこで通常「主幹事の買い支え」と市場では認識されている、グリーンシューの仕組みを説明したいと思います。(ずっと昔に説明しましたが、もう一度説明します)
まず主幹事は売出し目論見書の売出し株数(=この場合は775万株)より15%多い株数を実際に投資家にアロケーション(=渡すこと)します。つまり891万株です。
すると予定より多い分(116万株)は「字余り部分」と言えます。
このように「オーバーシュートして予定株数以上に株を売ってしまってもいいですよ」という暗黙の合意がオーバー・アロットメント・オプションなのです。
するといま「字余り部分」で余計に投資家に売り渡した116万株については「予定株数以上の売り」という意味で主幹事はShort(=ショート)していると理解すれば呑み込みやすいかもしれません。
すると公募価格を割れないように主幹事が$11.5のところで買い指値するシンジケート・ビッドは、もともと主幹事がショートした116万株であることがわかります。
別の言い方をすれば主幹事は自分の資本を投入して相場を買い支えるのではなく、売出し目論見書で許されている「売り過ぎ」の状態をわざと作り、その買い戻し分をシンジケート・ビッドとして場に晒しているだけなのです。
さて、その後このIPOの株価がずっと低迷してひと月くらい経っても公募価格に戻らなければ主幹事は:
最初に「売り過ぎ」で余計に発行した116万株 と
シンジケート・ビッドで買い戻した116万株
を相殺して、そもそもこの116万株の「売り過ぎ」は「起こらなかったのだ」と言うことが出来ます。この場合、「オーバー・アロットメント・オプションは行使されなかった」という表現になります。
別のシナリオでアフターマーケットの株価がスルスル上昇し、主幹事がシンジケート・ビッドで買い戻した分もその後マーケットで公募価格以上の水準で処分できたとすれば上に説明したような相殺の作業はしなくてよいわけですから、主幹事は「売り過ぎ」で出した116万株をそのまま発行したことにしてしまうわけです。
これは「オーバー・アロットメント・オプションが行使された」という表現で後日、ニュース・リリースが出て、その分だけ発行済み株式数が増える計算になるわけです。
さて、個人投資家の立場から公募価格割れのディールに関してわきまえておくべきことは何でしょうか?
最も大事なことは上場初日から公募価格割れを起こすディールに関しては(主幹事がドジで投資家に損をかけたわけだから、我々投資家は配分されたIPO株を後生大事に抱えておく義務は無い)と大口投資家が考えるということです。
だからいきなり公募価格を割れるディールでは売り物が殺到するし、株価はなかなか出直りません。
IPOの初値がぜんぜん期待外れだった場合、脱兎の如く逃げた方が勝ちな理由はここにあります。



