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証券取引監視委員会の東芝の旧経営陣への刑事告訴のニュースに隠れたヘルスケア事業の売却問題

証券取引等監視委員会が東芝の旧経営陣3社長に刑事告発の検討に入ったとする報道がなされてきている。日本を代表する企業がここまで巨額の不正会計を行っていた以上、辞任や課徴金だけの処分では、責任を取ったことにはならないのは言うまでもなく、刑事責任の検討は必要不可欠であると考える。この点については、他の記事においても言及がなされているであろうから別の視点から本事件を見ておきたい。

今回は、不正会計で利益の水増しを行っていたのみならず、今回の事態が明るみに出たことで益々東芝への不信は増大し、業績を改善するために、重要なヘルスケア事業の売却を検討している点についてとりあげたい。

売却の対象と取りざたされている東芝メディカルシステムズこの事業においては、DNA検査装置、医療画像のシステムや電子カルテのインフラを国内の病院等に提供する事業がある。これは何を意味するか。もし買収先が外国企業でかつ個人の情報やプライバシーの保護にあまり関心のない企業であったとすれば、我々のヘルスケア関連のデータがどのように扱われるかその安全の保障が揺らぐ可能性はないのか。

この問題は、かつてパナソニックヘルスケアの売却検討時に問題となったことと同様の問題である(当時のロイターの報道記事)。パナソニックヘルスケアは当時単純に業績ベースで評価した価格をはるかに凌駕する高い評価額が付けられた。患者のデータの再利用に非常に価値があると評価された可能性は否定できない。ヘルスケア事業の売却は、単に私企業の事業部門の売却とだけとらえてよい問題ではないのである。

今回も東芝メディカルシステムズは、カルテや画像診断のシステムを販売しているだけで、患者のデータを蓄積していなかったとしても、保守サービス等も提供しており、この点が本当に第三国の株主が過半数を占めた場合に、適切な情報管理と運用が行われるのかは不明である。万が一このような懸念がある外国企業に売却されても、現行法では個人情報やプライバシーの観点化からこの売却を予防的にに差し止める法的手段を考えるのは難しい。

このようにヘルスケア産業を巻き込んだ不祥事は、医療サービスを利用する一般個人にも影響しうる問題であることにもっと関心を持ってもらいたい。残念ながらこの観点からの報道が全くない。今回は情報の蓄積がないから大丈夫であるとか、保守においては情報に触ることが絶対にないと言い切れる取材がなされたのであれば私も何も言うつもりはありませんが、おそらくそこまで深堀はされていないのではないでしょうか。

皆さんも報道から分かる事情だけではなく何が今の日本で起ころうとしているのかもっと関心をもってもらいたい。この問題は法改正で対応すればよいではないかという議論もあるが、パナソニックヘルスケアの問題が起こった後に行われたはずの今回の個人情報保護法の改正においても直接的にこのような売却を止める法改正は採用とはなっていない。情報法制で個人の利益を守り切ることは難しく、東芝の事件を通じ、コーポレートガバナンスを有効に機能させ、不祥事を未然に防止することがいかに重要か改めて考えさせられる次第である。

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