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ハイジャック事件の現場、スターたちの知られざる素顔…なべおさみ氏が語る昭和の芸能界

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BLOGOS編集部
勝新太郎、ハナ肇、森繁久彌の付き人を務め、自らも司会業でお茶の間から絶大な支持を受けたなべおさみ氏。「昭和の芸能界」を生き抜き、その裏も表もすべてを知る同氏が、12月17日に「昭和の怪物 裏も表も芸能界」を書き下ろした。本書の中では、昭和の芸能界で活躍したスターたちの素顔やなべ氏が実際に遭遇したハイジャック事件の全貌などが詳細に記されている。発売されたばかりの本書の読みどころをなべ氏自身に語ってもらった。

勝新太郎、森繁久彌、石原裕次郎…スターたちの知られざるエピソード


-今回の著書「昭和の怪物」では、時代を彩ったスターたちの様々なエピソードや昭和という時代に起きた事件の裏側が明かされていますね。その中でも、なべさんご自身が体験された1974年7月のJAL124便ハイジャック事件のエピソードは、非常に驚きました。

なべおさみ氏(以下、なべ):さすがに、「もういいだろう」と思って、ハイジャックされた機内で起きたことを、今回書きました。あれでも「書かないでおこう」と思っていることの方が多いぐらい。だって、同乗していた、とある芸能人が泣きながら「なべさん、どうすんの~」とすがってきたのを「落ち着け、バカ野郎」って殴ったぐらいだから(笑)。

-最終的には、コックピットに立てこもる犯人と戦う覚悟もあったと書かれていますね。

なべ:そこまで決めないとダメですよ。それぐらい追い詰められた状況だった。その時に協力者を機内で募ったんだけど、手を挙げた8人は全員中小企業のおとっつぁん。だから、僕は思ったよ、どんなすごい名刺の肩書きをもらったって大したことないよと。

そういえば、この間、東京の経営者の集まるクラブで講演をしたんだけど、ここの会長は、現職のメガバンクの頭取。そこで講演した後に、僕は「買ってください」って出したばかりの本を並べて待ってたの。60冊持って行ったんだけど、売れたのは6冊ですよ。

僕がそのクラブのトップだったら「なべさん、いくら売れましたか?」「6冊です」「そうか。残り全部僕がもらうから、おいくら?じゃあ、ここに本を送ってくれる」ってしたと思うよ。でも、彼は何にも言わないで出て行った。

その時、正直「大したことねえ男だな」って思ったの。それに比べて、八百屋のオヤジが僕に「なべちゃん、暮れ困っているんだろ?大したことねえけどよ、今日明日の食い扶持になるだろう」って、ポンと渡されたのを見てみたら数十万あったなんてことがある。そういう親父は何人もいるんだよ。

―勝新太郎、森繁久彌、石原裕次郎といった昭和のスターたちの知られざるエピソードも数多く紹介されています。

なべ:「森繁さんってこういう人だったか」と森繁ファンに、勝新太郎を好きだっていう人間には、「ああ、こうなんだ」っていうのを教えてあげたいなと。

森繁を好きじゃない人間が、森繁さんのすごくいい話を読んだって何も思わないでしょ。だからいろんな人間達を出して、自分が好きな人間の新しい発見をしてくれればいいなと思って書いているんですよ。

「講釈師、見てきたような嘘をいい」ってことわざがある。だから、こんなちっぽけな僕の心を震わせたものを、でっかく膨らませて語っているかもしれないし、でっかいものを、ちっちゃく言っているかもしれない。それは読んだ人間が、どう捉えるかですよね。

今回のエッセイではヤクザを書いていないですし、「カタギでない人」ぐらいの文言しか出て来ないですから、何か賞がもらえるかもしれないと期待しています(笑)。

-芸能プロダクションのトップの方々たちのお名前も随所に出てきます。

なべ:この前、田辺昭知さん(田辺エージェンシー社長)に会った時、「ショウちゃん、俺アンタのこと本に書いておいたからね。事前にゲラなんか渡さねえよ」って言ってやりましたよ。何十年も年賀状のやり取りだけだけど、彼とは同い年で、同じように生きてきているからこそ、裏も表もよく分かっている。

田辺社長は、昔はバンドのリーダーをやっていたわけだけど、そんな時代から現在まで続いている奴といえば、堀威夫さん(ホリプロ創業者)だとか渡辺晋さん(渡辺プロダクション創業者)とか田辺さんぐらいですよ。ほとんどはもう現役を退いたり、亡くなったりで次の時代の子供が事務所やっていますよ。

もしくはマネージャーから経営側にまわった周防さん(バーニングプロダクション社長)だとか井澤健さん(イザワオフィス社長)とかですね。芸能界でへなちょこの存在から始めて、現在まで生き残れる人間というのは、そういませんよ。でも、首領と言われているのは、今の音事協(一般社団法人 日本音楽事業者協会 JAME)。音事協から外れたジャニー喜多川さんにしても、やっぱり僕たちと同じような時代を同じように生きてきたわけですから。

-石原裕次郎、勝新太郎、美空ひばりといった面々が水原弘のために声をかけて、パーティーに1000人近い人を集めたといった話が出てきますが、今考えると、当時よくそれがニュースにならなかったなと思います。

なべ:マスコミなんか誰一人呼んでないですから。だって、3分の1ヤクザだもん。ヤクザの方が、金払いがキチッとしているからっていうんで、電話でガンガン呼んでましたから。

パーティーは15分ぐらいで終わっちゃいましたけど、文句なんか一つも出なかったよ。なんの軋轢もなかったんだから。携帯がない時代だから、いなくなったら連絡取れないでしょ。だから後日、みんないろんな形でフォローしたんじゃないんですかね。そのことで裕次郎さんとひばりさんと勝さんと水原弘の4人の仲が壊れちゃったかっていうと、壊れないんだよね。

あんな話は誰も書いたことも無ければ、覚えているやつもいないかもしれない。まともな奴は知らないし。ヤバイ奴ばっかりだからね。お金集めの“華興行”なんだから、あんなことがまかり通ったんですよね。美空ひばりと関係が深かった山口組の田岡一雄さんなんかはこっそり来てたかもしれない。

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