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自己否定のわしの描き方

すでに来年2月発売の「SAPIO」の『大東亜論』コンテを昨日上げて、担当氏に渡した。
「今までで一番面白かった。物語が新しいステージに入った。」という感想をもらってすごく安堵した。
この担当氏、「今までで一番面白かった」と言うこと自体が僭越だと思っているようで、なかなか繊細な編集者である。
しかし、これだけは年内に見てほしいと思っていた一本だったので、ありがたかった。
これで年内に踏ん切りがつけられて、すっきりした。 

漫画家というのは・・と言うよりも、わしの漫画家人生は常に自己否定の連続だ。
漫画は基本的にはヒット作しか認められない。
本当は大ヒットにならなかった作品にもファンはついていて、後に名作だったと言われて、嬉しかったりするのだが、自分の中のエネルギーがヒット作を欲しがってしまう。 

だが漫画家なんて生涯で一本ヒット作を残して消えていく者がほとんどで、二本出したら確実に中堅、三本出したら大家になると、かつてわしをデビューさせた少年ジャンプの編集長から言われたものだ。 

わしの場合、すでに三本以上のヒット作を出したが、その陰に膨大な不発の作品群がある。
『卑怯者の島』なんて名作と思うのだが、残念ながらその不発の作品群に入ってしまった。
そこで自己否定が始まる。
この作品の完成を熱心に勧めてくれた編集者や近しい人たちには感謝している。
あれはやはり完成させねばならなかった作品であり、わしとしては代表作の一本だ。
だがヒットしなかった作品は自己否定せねばならない。 

自己否定とは、作品自体の否定ではなく、わしの描き方の否定である。

膨大な不発の作品群の数だけ、わしは自己否定を重ねてきた。
人に言われなくても、自己否定の連続で描いているのだ。
なぜダメなのか、なぜヒットしないのか、連載を止めるべきか、まだ可能性があるのか、もう才能が枯れたのか、時代に取り残されたのか、ここが限界か・・とことん自分と作品を客観視して結論を出す。 

自己否定を繰り返すストレスに耐えられるか否か、それが苦痛だと思う日が来たら引退するしかないのだろう。

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