記事

まぼろしの「団塊3世」

■団塊ジュニア200万人、今年の赤ちゃん100万人

団塊ジュニアの定義は、狭い意味では70年代前半生まれの第二次ベビーブーム世代、広い意味では団塊世代の子ども世代(70年代後半生まれ)も含めた70年代全般生まれを指すという(https://ja.wikipedia.org/wiki/団塊ジュニア)。

団塊世代ほどではないにしろ、一学年200万人超えの人口ボリュームは、最近の新生児が100万であることを考えると、単純に2倍のボリュームだ(団塊世代は2.5倍の一学年250万人)。

新生児の100万人たちが、団塊ジュニアの200万人を将来は「養って(社会保障的に)」いかなければいけない。いま団塊ジュニアは30代後半になりかけているから、35~40年後には確実にその事態がやってくる。

現在、より高齢化する団塊世代を誰が「養って」いくかということが注目され、正規雇用化できなかった大量の人々を抱える団塊ジュニア世代にそれが可能なのか、あるいは実質数百万人はいると推察される「ニート・ひきこもり・その予備軍である不定期アルバイト層」が60代になった時、その生活を誰がみてどの予算で可能になるのかといったことがよく議論されるが、30数年後にやってくる「そもそも現役世代が少なすぎる」問題に関しては誰もが頭では理解しながらも先送りしている問題だろう。

僕もなんとなく「仕方ないこと」として、その問題は頭の隅っこに置いている。

が、まわりの赤ちゃんたちを見ていると、「この子らが働き盛りになった時、その給料のどれくらいが天引きされるんだろう」と考えたりすると鬱々とした気分になる。

■なぜ団塊3世が誕生しなかったのか

そんな時、「なぜ団塊3世が誕生しなかったのか」という素朴な問いが頭をよぎることが多くなった。

仮に、団塊ジュニアのジュニア、つまりは団塊3世が一学年200万人規模で生まれていれば、現役世代と引退世代が「1対2」ではなく「1対1」の比率になり、団塊ジュニアが受けたグローバリゼーションの荒波(「雇用調整弁」としての非正規雇用4割化)は将来も続くとはいえ、今よりは暗くはないはずだ。

正確には僕にはわからないけれども、今の赤ちゃんが仮に団塊3世として一学年200万人のボリュームであれば、彼女ら彼らが大人になった時、給料から4割も5割も天引きされるまでには至らないだろう。

この素朴な問いは今さら提案しても非現実で役に立たないから誰も言うことはない。僕も、そんな問いを思いつきもしなかった。

が、この「団塊3世が誕生しなかった理由」を考え始めると、案外この15年の日本の若者政策の不十分さに至ることになると、これも最近気づいた。

日本では、「団塊3世誕生の奨励」は社会全体で呼びかけられることはなかった。その代わりに「若者という弱者」が創設され、「ニート支援」という市場と業界が生まれたのではないだろうか。

■日本のグローバル化補完

90年代後半からゼロ年代全般にかけての自民党政権下([https://ja.m.wikipedia.org/wiki/内閣総理大臣の一覧内閣総理大臣の一覧])でとられた政策は、3世を誕生させるための少子化対策は今ほど目立たず、代わりに進んだ事態は、団塊ジュニアの非正規雇用化だった。

グローバル化(生産と販売の海外流出と賃金の世界統一による、「雇用調整弁」の必要性)のターゲットが団塊ジュニアだったと思う。

タラレバはタブーではあるものの、現在一部グローバル企業で試されている正社員の多様化(短時間正社員の創設)と、一部非正規雇用の格上げに15年早く取り組んでいれば、団塊ジュニアの雇用が細々とではあるが保障され、団塊3世のボリュームをつくれたかもしれない(雇用の多様化は今も一部「G/グローバル型企業」にとどまる)。

また、若者支援NPOも、ニート支援という「目の前の人参」のみに食いついたのも悪かった。地域若者サポートステーションをはじめとする様々な施策に国・自治体関係なく取り組み、そこに莫大な予算が注ぎ込まれ、その予算のもと多くのNPOが動いた。

今考えると、その動きは「若者支援」という名のもとの、「日本のグローバル化補完」作業だったのではないだろうか。

一つひとつのNPOは若者たちを正社員化していくために懸命に働いている。が、その結果としてあらわれるのは、元ニート/いまは非正規雇用にやっとなることができた大量の若者たちだ。

彼女ら彼らが、雇用の調整弁として企業を結果として支えている。

■アドボカシー

僕もこの15年間はNPO代表その他の立場で若者の「自立支援」に取り組んできた。そのことに後悔はない。

が、以上のような問題に関する「アドボカシー」が必要だった。問題提起と、「当事者の声の代弁」を意味するこのアドボカシーを同時に進めていれば、啓発がもっともっと活発に行なわれ、問題の根本原因、つまりは「現役世代の少なさ」にぶち当たり、団塊3世の奨励という視点も生まれたと思う。

僕も含めて、当時のNPO代表理事たちはこの 15年の振り返りと自己批判が必要だと思う。★

※Yahoo!ニュースからの転載

あわせて読みたい

「団塊ジュニア」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    田中康夫氏 脱ダム批判受け反論

    田中康夫

  2. 2

    アマゾン火災 責任の一端は日本

    ビデオニュース・ドットコム

  3. 3

    文政権 総選挙で「死に体化」か

    文春オンライン

  4. 4

    ラグビーW杯「日本不利」予想か

    BLOGOS しらべる部

  5. 5

    ZOZO売却でライザップ再建を想起

    大関暁夫

  6. 6

    ユニクロ会長の日本人批判に反論

    自由人

  7. 7

    若者に広がる自己中心主義の復活

    ヒロ

  8. 8

    質問通告遅らす森議員は官僚の敵

    天木直人

  9. 9

    橋下氏 徴用工の個人請求権残る

    文春オンライン

  10. 10

    よしのり氏 安倍首相に期待残す

    小林よしのり

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。