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新時代への過渡期で混迷した本年

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 第3は、経済システムや産業・エネルギーの主役交代で、アメリカ流の行過ぎた新自由・資本主義、投資金融市場至上主義経済に疑問が持たれ、その修正が求められるようになってきたこと。

 第4に、家電やIT産業にとって変わるハードとソフトの牽引産業はまだ見当たらないが、わが国が依然としてアメリカ亜流の収益や効率至上主義、人間を機械的に取り扱い切り捨てる経営を追随しているのに反して、むしろ欧米の方が逆に、従来の日本的なビジネス、すなわち多少は高額でも精密な職人芸の手づくりや、効率追求一辺倒でない家族主義的で心の通う人間性尊重の経営、道徳倫理感と信用重視の経営を評価し、それに見習おうとする風潮が高まり、日本ブームが起きたこと。

 第5は、とりまとめで難渋していたTPP問題が、なんとか基本的合意を見たことだが、これに関しては、大国のエゴへの反発や、太平洋圏だが、その仲間から除外された中国の妨害などから、今後の国内での審議・批准過程での難航が予想される。

 第6は、エネルギー政策面で、各国が将来を展望し、漸次、石油、原子力発電からシェルガスや天然エネルギー重視へと転換し、公害規制の強化を図っているのに対し、わが国は相変わらず目先の対応で原子力発電再開を密かに画策していること。

 第7は、大手建設業者による大型マンションの基礎コンクリート打ち工事に偽装などの不正が発覚したこと。これは氷山一角でしかなく、これを契機に建設業界のみならず、多くの大手業績優良とされた企業まで、その不当な収益確保の手口や多層な下請けと丸投げ構造が明るみに出て、信頼に疑問がもたれるようになったが、この事件は、アベノミクスの背伸び姿勢と、意図的情報操作や演出による景気回復、物価の吊り上げなどを象徴する出来事であったといえよう。

 第8は、マイナンバー制度の施行だが、これは事前の説明や周到な準備不足の拙速導入であったため、出足から印刷・配送が予定より遅れるなどで躓きケチがつき、所轄機関の個人情報セキュリティー管理にまで不信が持たれることとなった。

 第9は、急速な外人観光客の来日数増加と、中国人の爆買い現象である。これは、差し当たっては外貨獲得で結構なことではあろうが、長期安定的な将来の経済発展から見ると、ご当地ドラマがTVで放映されている時期には観光客が殺到してみやげ物が売れ地元に好景気感を抱かせるが、その時機が過ぎると急退潮し、宴の後始末、反動不況の方が深刻になるので要注意であるし、中国人買い物観光客の傍若無人さとマナーの悪さは迷惑千万といえる。

 第10に、明るい事項としては、国産の小型ジェットや本格的旅客機の開発再開が成果を見せ、国際的にも日本の航空機産業が認められるようになったことと、もう一つの希望として、純国産宇宙ロケットの打ち上げ成功率の高さが国際的信頼を得て、衛星の商業打ち上げを受注するに至ったことと、これらを支える中小企業の技術水準の高さが健在であることが確認できたことである。

 以上に縷々申し上げてきた現代の多くの世界的問題、今世紀に入ってからの混迷と争乱の発生とその要因を歴史的に振り返って辿ると、宗教理念の解釈の相違から対立に起因するといえ、古くは、世界の3大宗教であるキリスト教・イスラム教・仏教のうちの、根源を一にするビッグ2、即ちキリスト教徒とイスラム教徒によるユダヤ・民族(Jew~これはキリスト教徒の側からの彼らの蔑称)の聖地エルサレムやヨーロッパ大陸からの放遂に端を発するともいえる根深いものがあるが、ここでは11世紀から13世紀にわたる7回にも及ぶ欧州キリスト教徒の十字軍による、イスラム教徒などの異教徒に占拠されていた聖地奪回攻勢と、それに対抗するイスラム勢力との宗教的対立が発生時点と要因であったとしておくが、それだけに留まらず、それに続く宗教目的の争いにより、現実的な経済的利害関係に変容し、実質的にキリスト教勢力が勝利して、以降繁栄を独占し、世界を主導し植民地支配をしてきたこと、元来一神教で他宗教や他民族の存在を認めようとしない独善的な欧米人のカラード(有色人種)に対する優越、蔑視、差別化意識で行ってきた身勝手で強引な国家や民族の分断、領土や国境の設定などが加わって一段と複雑化し、その巨大さと豊かさの弊害の結果が未だに尾を引いて現在にまで到っているものといえよう。

 彼らは元来、常に広大な豊饒の地を求めて移動し続けながら狩猟や遊牧生活をしてきた騎馬民族やバイキングの末裔であり、従って闘争的、競争好きで、リスクテイクを恐れない投機志向が強い民族である。

 従って、彼らこそが最も多く現在の世界的な混迷と紛争に関与してきたので、当然その問題処理と改善についても、ノブレスオブリージュを発揮し、その義務を果たし責任を負うべきであり、わが国がそれに口を挟んだり手出しをしたり、そのいずれかに積極的に荷担する義務も、進んでその渦に巻き込まれる必要もない。

 むしろ中立的公正・公平な立場を貫き通し、もし仲介の労を依頼されたら、十分に是非を検討した上で引き受け、その存在価値を世界に示したことが得策であろう。

 それに対して、仏教や儒教の感化や影響を受けて育った本来の日本人は、八百万の神の存在を認め、他宗教の混合習得で、それぞれの良い点を選別的に受け容れ、宇宙の真理を尊重し、自然界の法則に従い、共生・共存・共栄を図る互助・互譲の精神がある、平和と安定が強い農耕民族であった。それが戦後アメリカ流に洗脳されてから、日本の社会秩序が乱れ精神文明の荒廃が加速したともいえる。

 こういった歴史的背景や国際環境の変化があったにもかかわらず、安倍政権では、アメリカ一辺倒のスタンスをさらに強め、アメリカが日本に毎年突きつける、内政干渉とも言うべき政策要望書に盲従し、アメリカとの同調と連携重視で、国家の運営と安全、経済の発展と国際社会での存在誇示をしようと企図し、憲法の解釈を強引に変えてまで安全関連法の改定、集団自衛での自衛隊の海外派兵を可能とし、民衆の多くもまた、その是非を深く考えず、勝ち馬に乗り遅れないことや、体制迎合でそのおこぼれにあずかろうとする愚かさである。

 自主独立国日本としての主体性を積極的に発揮しないばかりか、アメリカとの連携と協同活動を深め、その主導に従い手先となって、軍事的対抗力を強めようとすることに舵を切り変えたことで、世界は日・米一体の政治・外交・軍事・経済とみなすようになり、これまでの平和愛好の良識あるイデオロギー面での中立的な経済大国、純粋なOECD支援・貢献国といった日本のイメージを改めることとなり、折角戦後からこれまでに築いてきたわが国に対する信頼が揺らぎ、今後は警戒され、当然テロ攻撃の対象ともなり、中国、ロシアはもちろん、韓国やその他の東・南アジア、中東アジア諸国との関係も微妙なものとなるであろうから、アメリカに振り回され、都合が悪くなれば見捨てられるという、プラスよりマイナス面の方が多いのではなかろうか。

 歴史的事実からも、アメリカはプライドの高い独善的で狡猾な、情宣謀略を得意とするご都合主義の国であり、自国より上に立とうとする国の存在を嫌い、難癖をつけて叩き、後から巧妙な正義の理由付けをして恥じず、攻撃をされたらその2倍返し以上の報復をする、執念深く、都合が悪くなると冷淡に見限り、切り捨て、変節するエゴな国である。

 わが国はこれまでにも幾度も、脅かされ、煽てられ、その巧妙な戦略的な罠に引きずり込まれ、その挙句に煮え湯を飲まされ、褒め殺されてきたのではないか。

 日本の対米貿易競争力が強まると、日本製品や安いが悪い、安い給料で収益採算外視で外貨稼ぎの輸出をしている、日本人は働き過ぎだなどとケチをつけ、日本の家電製品や自動車を壊したり、突然の為替相場制度やルールの変更、グローバルスタンダードの押し付けをするなどの露骨な日本叩きをし、その対抗力を弱めるために、バブル経済とその破綻を仕掛け、資本取引の自由化を図って、金融の証券化というビッグバンで、安定志向の強い多額の郵便貯金の証券業界への吐き出しを謀り、対米投資を進めて差益のボロ稼ぎ、相手国日本には差損を背負わせ、TPPでも、自国が主食として必要としないコメの増産・輸出拡大を迫るなど、やりたい放題であり、負ける戦いは挑まず、勝てる見込みが立つと、理屈をつけて戦わざるを得ない状況に追い込み、強引に叩き潰すが、利がないとなれば素早く見捨てて手を引くなどといったことを常套手段としてきたのだ。

 だからTPPの貿易交渉なども、弱小国にとっては両派の剣、大国のエゴ丸出しで、幕末の黒船来航・砲艦外交による開港や不平等条約の締結と同じようなもの、集団的自衛といっても、たとえ不利な戦局になっても、最後まで日本のためにアメリカが血を流すといった保証はなく、その盾として利用され、見捨てられるのは明らかである。

 その裏取引の真実を、外交・軍事的秘密として知らされない国民こそが一番不幸、安倍総理一人だけが陰で「クスッ」と笑む「安倍のみくすっ…アベノミクス」で終わるのではなかろうか。

 来年こそは、過去と本年の問題点を反省し、それを改め、将来への正しい筋道をつける良い年となることを願って止まない。

 本年中のご購読ご支援を深謝し、どうぞさらに良い新年をお迎え下さい。

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