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“個を活かす”人口減少時代-多様な人材確保に向けた「介護離職ゼロ」社会 - 土堤内 昭雄

■はじめに

今年10月に発足した第3次安倍内閣のスローガンは、「一億総活躍社会」の実現である。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後に1億人の人口規模を維持し、年齢・性別・障がいの有無などに関わらず、誰もが活躍できる社会を目指している。すべての人が活躍できる社会が、成長と分配の好循環を生み出すことにつながるというのだ。

今年11月には、一億総活躍国民会議が、『一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策』を打ち出した。「希望を生み出す強い経済」として「名目GDP600兆円」、「夢をつむぐ子育て支援」として「希望出生率1.8」、「安心につながる社会保障」として「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、その実現のための緊急対策をまとめている。そこには日本が直面する人口減少に対する強い危機感が窺える。

2014年の日本の出生数は約100万人、死亡数は約127万人、人口の自然減は約27万人にも上る。地方中核市がひとつ消滅するほどの人口減だ。人口減少社会の課題は単に人口の減少にとどまらない。重要なことは、人口構造が現在と相似形で縮小するのではなく、相対的に15歳以上65歳未満の生産年齢人口が大きく減少し、社会的扶養が拡大することだ。いわゆる「騎馬戦型」社会から「肩車型」社会へ移行するのである。

そのため労働力人口の確保が喫緊の課題となるが、少子化対策により出生数を大幅に増やすことが余り期待できないことは日本の人口ピラミッドをみれば明らかである。従って、現有勢力の就業人口を少しでも減らさないことが必要であり、介護・育児・療養などを理由とする離職を食い止めることが極めて重要になってくる。また、離職者を減らす取り組みが、多様な従業員の確保にもつながり、あわせて多様な働き方が生産性の向上をもたらす可能性があるのだ。

将来の労働力人口の減少は、個別企業にとっては人材不足リスクにつながる。企業が多様な人材を確保するには、「介護離職」や「育児離職」を防止する対策が急務だ。「育児離職」を防ぐために「仕事と子育ての両立」を図るワークライフバランスの実現に向けた取り組みは少子化対策として一定の進捗がみられるが、「介護離職」を防ぐための「仕事と介護の両立」を図る取り組みはまだ緒に就いたばかりだ。本稿では、労働力人口や新卒者の離職状況、今後の就業者数の推移を踏まえ、“個を活かす”人口減少時代に求められる多様な人材確保に向けた「介護離職ゼロ」社会の実現について考えてみよう。

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