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カフェイン中毒で死亡|再びエナジードリンクについて

低迷気味の清涼飲料の分野で、「活力」をテーマにした新しいジャンルを切り開く商品として、注目されてきたのがエナジードリンクです。炭酸飲料をおいしく飲むだけで、眠気が覚め、心身に活力がよみがえるという効果に、魅せられている人も多いでしょう。
でもその裏側で、配合された高濃度のカフェインによる中毒事故という問題も起き、欧米ではその販売をめぐって大きな議論も展開されています。

幸い、日本では、これまで大きな事故が報じられることもなかったのですが、昨日のニュースで、カフェイン中毒によって男性が死亡していたことが明らかになったと報じられました。
<ニュースから>*****
●20代男性がカフェイン中毒死―眠気覚ましに清涼飲料水を常用 
九州地方で今年、眠気覚ましをうたうカフェイン入り清涼飲料水を頻繁に飲んでいた20代男性がカフェイン中毒で死亡していたことが、福岡大法医学教室の分析で21日までに分かった。胃の内容物にはカフェイン錠剤の可能性がある破片も混じっており、錠剤がどの程度死亡に関与したかは不明だが、同教室は飲料の大量摂取が原因とみている(以下省略)。
共同通信2015年12月21日 09時25分
*****
カフェインは私たちの日常生活に入り込んでいるために、とりたてて危険性を意識することはめったにありません。しかし、コーヒーやお茶に含まれているカフェインの場合と違い、人為的に多量のカフェインを添加した高カフェイン食品となると、過量を超えた摂取に注意を払うことも必要になってきます。

日本で販売されている缶入りのドリンクは、1本当りのカフェイン含有量は130~140㎎ほど、コーヒー2~3杯分と同じ程度ですから、健康な成人なら缶入りドリンクを1本飲んだ程度なら、とくに危険性を意識する量ではないでしょう。
しかし、続けざまに何本も飲んだり、他のカフェイン添加食品やコーヒーなどと合わせて摂った場合や、アルコールと併用した場合などは、危険性が高まるといわれます。また、子どもや妊娠中の女性、病気などで体調のすぐれないときにも、気を付ける必要がありそうです。

私の手元の文献には、カフェイン中毒について、「カフェイン中毒は比較的まれであるが、経口摂取により死亡した14例の平均血中濃度は、183(79~344)μg/mlと報告されている(下記参照①)。」と記載されています。
新聞報道のなかにも、大量に摂取する危険性に触れた記事もありました。
<ニュースから>*****
●<カフェイン中毒死>血中濃度、致死量…短期間に大量摂取か
解剖で男性の血液1ミリリットルから致死濃度(79~567マイクログラム)に当たる182マイクログラムのカフェインを検出した。・・・血中濃度から推定される経口摂取による致死量は3000ミリグラム(3グラム)程度。血中濃度が半分に下がるのは3〜6時間後で、短期間に大量摂取すると頭痛やめまい、吐くなどの中毒症状が表れる。
毎日新聞12月21日(月)22時7分配信
*****
欧米では、エナジードリンクが青少年に普及するにつれて、カフェインの過量摂取による中毒事故が急増し、死亡例も相次いで報告されています。カフェインを過量に摂取すると、頻脈、血圧の上昇、嘔吐、痙攣といった症状に見舞われることがあり、極端な場合には心不全によって死亡に至ることもあるといいます。

昨年秋、世界保健機関(WHO)のヨーロッパ事務所は、エナジードリンクに関する研究結果を発表し、青少年に及ぼす危険性について警告を発しました(下記参照②)。
多くの国では、現在、カフェイン含有量の上限を定める規定を設けていませんが、高カフェイン食品の普及によって少なからぬ健康被害が発生していることを受けて、規制導入の必要性を訴える声も上がり始めています。また、子どもへの販売規制を求める意見もあります。
ハンガリーでは、新たに導入された公衆保健税がエナジードリンクにも課されています。スウェーデンでは、エナジードリンクのうち一定タイプのものの販売は、薬局に限定されています。また英国では、エナジードリンク製品に健康上の注意書きの記載が義務づけられたといいます。

この種の商品が日本で広まり始めたのは、2012年から2013年ころのことだったでしょうか。ちょうどそのころ、米国では、エナジードリンクによるカフェイン中毒が急増して、問題になっていたので、当サイトでも、2013年春ころから何度か関連記事を掲載しました。古い記事ですが、当時米国で問題になっていたトピックを取り上げているので、よろしかったらご参照ください(下記参照③)。

[参照]
①カフェイン中毒について記載のある文献
日本薬学会編『薬毒物試験法と注解2006―分析・毒性・対処法』278頁、東京科学同人2006
②WHOの発表
Energy drinks cause concern for health of young people(14-10-2014)
http://www.euro.who.int/en/health-topics/disease-prevention/nutrition/news/news/2014/10/energy-drinks-cause-concern-for-health-of-young-people
③エナジードリンクに関する過去記事
■エナジードリンクとカフェインの副作用(2013/03/22)
http://33765910.at.webry.info/201303/article_12.html
■エナジー食品|カフェイン入り食品と副作用(2013/04/30)
http://33765910.at.webry.info/201304/article_16.html
■エナジードリンク|米国で高カフェイン食品をめぐる騒動(2013/05/09)
http://33765910.at.webry.info/201305/article_5.html
■米国医師会が声を上げるか|エナジードリンク問題(2013/06/15)
http://33765910.at.webry.info/201306/article_8.html
■米国医師会の決議に業界は反発|エナジードリンク問題(2013/06/20)
http://33765910.at.webry.info/201306/article_11.html

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