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「朝生」の”爆弾”だった野坂昭如さんの死に思うこと

12月9日、野坂昭如さんが亡くなった。ご存じのかたも多いと思うが、野坂さんと僕とのつきあいは、「朝まで生テレビ!」だ。野坂さんと、そして大島渚さんは、番組の爆弾だった。ふたりが何を言いだすか、いつもヒヤヒヤしていた。その一方、僕は彼らの発言力に期待してもいたのだ。

1945年の敗戦のとき、野坂さんは中学生だった。多感な年頃に敗戦を迎えた野坂さんは、「国に騙された」「権力者はウソをつく」、という意識が非常に強かった。僕の中にも当時、「えらい人はウソをつく」という感情が生まれた。だが、敗戦時に小学生だった僕は、野坂さんほど強烈な意識を持てなかったように思う。野坂さんは発言をし続けた。「国や権力者は信用ならん、それは今も変わらない」その「念」には、すさまじいものがあった。

「KY」という言葉がある。野坂さんはあえて、「俺は空気が読めない」と言い切って、何にも縛られない自由な生き方をした。だからこそ「朝まで生テレビ!」でも、あれだけの発言ができたのだ。天皇制、アメリカ、自衛隊……。あらゆる事に「ノー」と言い続けた。鮮烈に、焼け跡の時代を生き抜いた代表選手だった。

ひとつの時代が終わった、と野坂さんの訃報を聞いて、僕は思った。戦後70年という節目に、しかも、その年の暮れに野坂さんが亡くなったことは、とても象徴的だ。

「朝まで生テレビ!」をひっかき回したもうひとりの人物、大島さんも一昨年、亡くなられてしまった。「戦後」は、今年で終わるのかもしれない、と僕は思う。

そう思うと同時に、僕は強く誓いたいことがある。生き残っている僕は、確かにだらしのない人間ではある。だが、そうではあるのだけれど、ここに僕が生きている限り、まだ「戦後」を終わらせてはいけない、戦争の記憶までをなくしてしまってはいけないのだと。これが僕なりの野坂さんへのお悔やみである。

ご冥福をお祈りいたします。

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