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裁判員裁判で下された死刑判決が執行 裁判員制度は新たな局面へ

 裁判員裁判によって死刑判決が下された事件で、死刑が執行されました。
法務省が2人の死刑執行 今年6月以来、半年ぶり」(朝日新聞2015年12月18日)
裁判員事件で初の死刑執行 川崎の大家ら3人殺害の津田寿美年死刑囚ら2人 岩城法相が命令」(産経新聞2015年12月18日)
確定判決によると、津田死刑囚は21年5月30日、住んでいた川崎市幸区のアパートで、大家の柴田昭仁さん=当時(73)=と弟の嘉晃さん=同(71)=夫妻の3人を包丁で刺殺した。
 自宅隣室に住む夫妻とアパート大家を殺害した事件ですが、2011(平成23)年6月17日に横浜地裁の裁判員裁判で死刑判決となりました。被告が自ら控訴を取り下げ、死刑が確定していたものです。

 この最高裁の審査を経ていない死刑判決には大いに疑問のあるところであり、裁判員裁判に限らず、一審の死刑判決が破棄され、減刑される事案があることを考えると、自動上訴の仕組みは不可欠です。
裁判員裁判の死刑判決を破棄 高裁の役割を示す

 量刑程度であれば、自らの意思も尊重するということもあってもよいと思いますが、死刑判決に関しては、自ら受け入れてもいいというだけで死刑判決を確定させるわけにはいきません。

 刑罰は、あくまで国家が課す刑罰なのですから、そこには刑罰の選択も含め、特に死刑に関しては誤りがあってはならないのです。

 この事件では高裁の判断も最高裁の判断も経ていない死刑判決が執行されたことになりますが、まさに裁判員の判断が死刑執行に直結しているものです。

 死刑判決に関与した裁判員の感想の中には、死刑が執行されたときはまた別の感情になると思うという趣旨のものもありました。

 今回の執行についても関与した裁判員は早晩、知るところとなります。

 この事件での元裁判員たちの感想が異様に際立っていました。
ますます自信を持つ裁判員?

 カナコロ2011年6月18日付になりますが、「会見に出た6人のうち、5人が「控訴しないでほしい」と語った。」というものです。

 またその裁判員には22歳の大学4年生の裁判員が含まれていましたが、「考え抜いた末の納得の結論」と総括しています。

 何故、控訴しないでほしいという自信にまでつながるのか非常に疑問です。

 被告人は、その後、控訴を自ら取り下げていますが、裁判官が控訴するななどと言ったら大問題です。

 しかし、裁判員はそのような発言をしてもマスコミからも叩かれることはありませんし、言いたい放題の感があります。

 「一方で、極刑を出すことへの精神的負担については6人の意見は分かれた。「死刑は妥当で、今後の生活に影響はない」と50代の会社員男性。しかし、2人は、被告を死に追いやることに「罪悪感がある」と明かした。」(前掲カナコロ)
 さて、実際に執行されたことによって、どのような思いに至ったでしょうか。

 それでも上記大学生は、このような感想も述べています。
「死刑制度が必要という考えに変わりはない。でも死刑求刑の審理は心の負担が重く、裁判員裁判から除いて欲しい」
 裁判員裁判による死刑判決が増加し、他方で、それを上級審で破られる事態になった今、裁判員制度は新たな段階に入ったといえます。

 「市民感情」を元に死刑判決が下され、裁判員裁判の尊重ということで死刑も執行されていくことになれば、これでは生の「感覚」がそのまま刑事裁判に流入することになります。これでは刑事裁判自体の崩壊です。

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