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米国のIPO市場は病んでいる アラン・パトリコフ

或る米国VC業界の長老の書いた記事が業界関係者の間で話題になっています。

その長老とはアラン・パトリコフです。

彼は「IPO市場の翼はもがれている」と題した論文の中で最近の米国の新規公開市場は小さい野心的な企業が株式を公開しにくい環境になっている事を指摘しています。

新規公開市場が駄目になったひとつの理由としてパトリコフは余りにもキツすぎるSOX法(サルベインズ・オックスレー法)の成立を挙げています。

小さなベンチャー企業の株式公開がどんどん細る一方でM&Aによって買われてゆく企業も後を絶たず、ベンチャー企業の数はどんどん減少しました。

さらに従来存在したブティック型投資銀行が相次いで大手投資銀行に買収され、消滅した関係で、小さいディールでも丁寧にリサーチし、引き受けしてくれる証券会社が無くなってしまったこともパトリコフは指摘しています。

またナスダックのビット・アスクのスプレッドが極めて狭くなってしまったために、IPOした後のその若い企業の株を投資銀行が継続フォローし、売り買いを突き合わせることで生計を立ててゆくことが事実上困難になったことも指摘されています。

或る程度の時価総額の規模を持てない小さなベンチャーは仮に株式を公開しても「ゾンビ銘柄」のような流動性の低い状態に放置され、誰からも顧みられなくなってしまうのです。
その一方でベンチャーやIPOの市場は一握りのピカピカの企業(たとえばFacebookなど)を大手のVCや機関投資家が奪い合うという構図になっており、個人投資家は有望な若い企業の存在に気付いていたとしても蚊帳の外でぜんぜんその投資に参加出来ないという、「持てる者」と「持たざる者」の断絶が広がっているのです。

テクノロジーIPO市場がぜんぜん活性化されていないのでVCとしては早めにM&Aで自分の投資先企業の株を処分しなければいけなくなります。すると「モノ作り」を真面目にやろうとする企業はフォローオン・オファリング(追加公募増資)などで何度も株式市場から資金を調達せねばならず、そのようなビジネス・モデルはそもそも現在の資本市場の置かれている環境にぜんぜんそぐわないので、おのずとその方面のベンチャーへの投資がおろそかになります。

この結果、投資先は例えばソーシャル・ネットワークなどのお手軽で流行になっているテーマばかりを追いかける結果になっているのです。

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