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最高裁判決 再婚禁止期間 100日違憲に思う

最高裁判所で10件目の違憲判決が出た。

再婚禁止規定100日超過分である。

そもそもこの訴えは超過分についてフォーカスしたものだったので、今回の判決は妥当だし、大きな意味があると思っている。

が、判決文にも書かれているようにそれは「平成20年の時点」である。

次は法改正。

さあ、国会をウオッチしよう!!
「再婚禁止期間を100日に短縮する」という「わからんちん改正案」を出す政党には、それが「女性に対して新たな差別を産み、固定化する法案」なのだと伝えよう!!
ちなみに、今どき、100日案を出すって「私の思考は1996年の法制審答申で時間が止まっている」と自ら表明しているようなもの。
かなり恥ずかしいことなんです。
そもそも基準となっている300日も、200日も、法務省自体が否定しているだぞー。(って・・・ホントはそうじゃなかったんだよね。否定したのは長勢元法相←ここがミソ)
いずれにせよ、再婚禁止期間は撤廃!
「だって2016年なんだから」
というか・・・本丸はやっぱり772条だね!

「世界」の元原稿を貼ります。

「100日短縮案」は差別の固定化
民法733条「再婚禁止期間」の取り扱いで日本の人権感覚が問われる

第733条
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

 最高裁は今年2月、「選択的夫婦別姓制度」とともに先進国では唯一日本だけ、女性だけに課せられた民法733条「再婚禁止期間」の規定について、15人の裁判官全員による大法廷で審理することを決め、合憲か違憲かを初めて判断する見通しとなった。
 そもそも「女性は離婚後6カ月間は再婚できない」というこの規定は明治時代に作られたもので
① 離婚直後に子供が生まれた子どもの父親が離婚前の夫なのか、再婚後の夫なのか混乱すること
②後夫が妊娠していることを知らずに婚姻すること
を避けるためというのが立法の趣旨である。
 妊娠が起こるメカニズムも、DNAはおろか血液型すら発見されていない時代に議論され、成立した法律だ。
 当時においては、子どもの父親の嫡出が重ならないようにするためには「妊娠自体を避ける」が唯一の道で、そのためには女性を「離婚から半年ほどは別の男性と婚姻させない」こと、つまりは「性交渉をさせない」ことが最も有効、確実だと考えられたのだろう。
 この法律は戦後の民法改正でも変わらぬまま120年が経った。

 私はこの民法733条「再婚禁止期間」には3つの「ジェンダー差別」があると思っている。
 ①女性にのみ課し「婚姻する自由」を奪っていること
 ②立法の趣旨とは違う「懲罰法」として対象外の女性たちへも適用されていること
 ③離婚後、出産した子どもの父の推定が「前夫」か「前夫以外の子」かで出産当日から6カ月を待たず再婚できる女性とできない女性が分かれること
 いずれも、あまりにわかりやすい「ジェンダー差別」であり、今日まで改正されずに来たこと自体が驚きとも言える。
 順次見ていこう。
 ①の「女性にのみ課し「婚姻する自由」を奪っていること」は言わずもがな、である。
 国がこの法律の存続理由としてあげる「嫡出推定が重なった場合子どもの父が定まらず、身分が不安定になる」というのは、事実上の父親を科学的に証明することも可能だし、父の推定が混乱した場合は必ず裁判で審判・判決で解決することが求められていることから、既に説得力を持たない。
 にもかかわらず、この法律が存続していること自体が「他の意図があってのこと」ということになる。
 それを裏付けるのが②「立法の趣旨とは違う「懲罰法」として対象外の女性たちへも適用されていること」だ。
 立法の趣旨に照らして、この規定の対象となる女性たちはどれくらいいるのであろうか。
 離婚数は毎年23〜25万組前後で推移しているが、そのうち父親の推定が重なり調停・裁判をしている件数は約3000組である。
 この数字をもとに計算すると、離婚する夫婦の中で妊娠している人は0.12%〜0.13%程度。前夫の子、もしくは調停・裁判が出来ない人を考慮しても多く見積もって0.2%もいかないだろう。
 99.8%の女性たちは離婚時に妊娠していない、そもそも「対象外」の人々なのだ。
 こうした「対象外」の人々まで再婚を待たなければならない合理的理由はどこにあるのだろう?
 もちろん、ない。
 実はその答えを法務省自身が出している。
 法務省は2007年5月、無戸籍者の存在が社会問題として取り上げられると、民法772条2項のいわゆる「離婚後300日規定」について、「法的離婚後に懐胎した旨の医師の証明書添付場合は、前夫の嫡出の及ばない子との取り扱いをする」との民事局長通達を出した。「300日ルール」が対象外の子どもたちにまで及んでいることを認め、その改善を行ったのだ。
 この通達によれば、離婚後懐胎が証明されればその時点で母が再婚してはならない理由もなくなる。
 法務省は本来、この通達を出すと同時に「再婚禁止期間」についても「離婚時に妊娠をしていないとの医師の証明書があれば対象外」との民事局長通達を出すべきであった。でなければ、相関関係がある二つの法律の整合性も取れず、運用上もバランスが悪いということになる。
 ただ、こうした通達を出せば99.9%以上の女性たちはが再婚禁止期間なしに再婚可能となってしまう。民法733条の存在意義自体が問われることになるから踏み切れないのだ。
 合理的理由がない中で、この規定が依然存在するのは、離婚女性への「ペナルティ」や「行動規制」、つまりは女性への「懲罰法」として機能しているからだ。
「女のくせに離婚したあとすぐに他の男と婚姻するとは節操がない」「少しは反省しろ」という。
 離婚に関しては男女に関わりなく「反省期間を取るべき」という思っている人は少なくない。しかしそれはあくまで各個人が決めることである。人によっては「必要がない」という人も、「3週間で充分だ」という人もいるだろう。もしくは6カ月では足りず「2年必要」という人だったいるかもしれない。婚姻したい相手がいる、いないでも違うだろう。
 法律で一律に、しかも男女の差をつけて決めることではないのだ。

 さて、③の「離婚後、出産した子どもの父の推定が「前夫」か「前夫以外の子」かで出産当日から6カ月を待たず再婚できる女性とできない女性が分かれること」だが、これは少々複雑で、説明を要する。
 民法733条の「再婚禁止期間」は1項の「6カ月規定」に焦点が当たっていて、この期間内は何があったとしても再婚できないと思い込んでいる人も多いだろうが、実は2項で「例外規定」を定めていて、6カ月を待たずに婚姻できる場合がある。意外に知られていない規定だが、驚くような差別がここにも存在する。

<民法733条2項>
女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない

 条文をその通り読む。
 例外的に再婚できるケースは「離婚前に(前夫の子と推定される子)を懐胎し」離婚後出産もしくは中絶した場合だ。
 実際、私が受けている無戸籍関連での相談者の中にはそうした例が数多くいる。
 重要なのはこの「離婚前に懐胎し」というところで、「懐胎が離婚後」の場合は、出産しようが中絶しようが適用されない。
 つまりは「前夫の子」と推定される子を産んだあとは「無罪放免」、「その他の男性の子」であれば「刑期」は続くのである。
 それはとりもなおさず女性は離婚後も一定期間「前夫の性的拘束下」にあることを示している。

 この2項の規定がいかに理不尽で過酷か、具体的な例をあげよう。
 静岡県在住のYさんの例である。2015年5月4日に産まれた子は妊娠30週野早産で生まれ、現在新生児特定集中治療室に入院中だ。母は離婚に手間取り、出産後の5月15日に離婚届を提出した。
 もし子どもが予定日に産まれていたら、離婚後出産となって、再婚禁止期間の6ヶ月を待たずに再婚ができ、夫となった事実上の父の嫡出子として戸籍を得ることが可能であった。
 しかし、実際にはそうはならない。
 法務省民事局参事官室にこうしたケースについて確認してみたが、
(A)出産直後11日程であっても、排卵・性交がないとは言えないため前夫の嫡出推定が及ぶ子を妊娠する可能性は排除できない
(B)医師の証明書を提出しても、届け出を受ける役所では判断できない
との二つの理由で「再婚できない」との回答であった。
 出産日から産後11日といったらまだまだ悪露や会陰切開の痛み他で苦しんであろう産婦が、前夫と性交渉をし、排卵が起こり、収縮等も十分出ない子宮に着床することは可能という判断を、我が国の民法はしているのである。
 証明書については、既に無戸籍関連で役所の窓口で判断をしているから、「できない」というのは全く整合性が取れない。
 国民登録である戸籍を所轄する法務省がこれだけの矛盾を疑問を挟まず答弁する段階で、我が国の法務行政は大丈夫であろうかとも思う。

 いずれにせよ「再婚禁止期間」があることによって、子どもが無戸籍になったり、出産の機会を得られない等、新たな家族を築こうとする人々や子どもが不安定な状況に追い込まれるという現実がある。
 同じような規定のあったヨーロッパでも、ドイツでは1998年、フランスでも2004年に廃止。さらに韓国でも05年に廃止されている。
 国連の自由権規約委員会や女子差別撤廃委員会からも、女性に対する差別だとして、廃止するべきと何度も勧告を受けている。
 「女性が輝く社会を目指す」のであれば、即、この法律を廃止するべきだが、悲しいかな、安倍政権の女性政策を批判している民主党が再三の指摘にも関わらず「100日短縮案」を今国会に提出することに決めた。
 その根拠となっているのは1996年の法制審議会の答申だ。
 法制審議会は5年の議論を経て、この再婚禁止期間は現行の「6カ月」から「100日」に短縮するよう答申を出した。つまりは前夫に嫡出推定が及ぶ「離婚後300日以内」と後夫に推定が及ぶ「婚姻から200日以降」、そしてこの「再婚禁止期間は6カ月(約180日)」をやりくりして行くと、「300-(180+200)=380」で、離婚後300日を過ぎても、80日間は子の父は誰にも推定が効かない状況が生まれているという矛盾を解消しようと言うものであった。
 この答申以降、再婚禁止期間はこの100日を軸に考えられ、実際野党からの議員立法で出された改正案は100日とされている。
 しかし前述通り、2007年に法務省がその計算式の根本である300日に対して、実質否定をすることを示している。いわゆる「できちゃった婚」の200日規定についてもずっとそれ以前の昭和15年から実際には夫の嫡出子として届け出ができるよう運用がされてきたことを考えると、もはやどちらの数字も根拠は完全に消滅、それをもとにした「100日」も全く意味を持たない。子どもを救うことにはつながらないからである。
 それでもこの期間を「100日」に短縮することで、この法律における男女差別が解消されるならまだわかる。しかし、それもない。
 むしろ99.9%の対象外の女性たちにとっては何の合理性ないにもかかわらず「婚姻の自由」の侵害を継続することに他ならず、むしろ差別を固定化することになる。
 「100日短縮」の改正案を国会に提出すること自体、その後の議論や動向を踏まえていない不勉強の結果だというのに、「6カ月」を「100日」に短縮したことが「一歩前進」であると言う政党や政治家がいたとしたら、とんだお門違いで、無邪気すぎる。
 しかし、これは我が国の「人権」や「差別問題」が進まない現状の現れでもある。
 これだけわかりやすい差別規定に関してさえも、国会の場で闘うことができる議員がいないのは、本当に悲しいことだ。

 私は13年間にわたり1000組以上の無戸籍で苦しむ子どもたちとその家族を支援して来た。またLGBT・性的マイノリティをはじめ多様な生き方を選択することを法律により阻まれて来た人々の暮らしを見てきた。 
 その中でつくづく感じるのは、誰もが生まれ育つ家庭環境、多かれ少なかれ、良きにつけ悪しきにつけ親の因果から逃れることはできないということだ。
 それぞれが生まれたときに配られる「カード」には明らかな「違い」がある。負荷を背負わなければならない環境に生まれる場合もある。
  だからこそ。
 人間の叡智の結実であるべき「法律」は、この生まれながらにしての差を補い、埋めるためにこそがあるべきなのだ、と思う。
 逆に、その「法律」があることで、人生の選択肢が狭まったり、ましてや、この「再婚禁止期間」のように、「子どものために」との美名のもとで、起こってもいない将来の「不貞の抑止」や「離婚の懲罰」として使われている、しかも一方の性のみが対象という差別規定は即刻廃止しなければならないのである。

 最高裁判断に向けては与野党ともにこの規定に関して何らかの対応を取らざるを得なくなる。
 それはこの国の政党、国会議員の「人権感覚」を計る良い機会だ。
 ただ、それは国民の写し鏡であるからこそ、自分でできうる何らかの行動を起こさなければならない。
 「ジェンダー差別がある再婚禁止期間は撤廃すべし」。

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