[東京 16日 ロイター] - 与党は16日、消費税10%時の軽減税率導入などを柱とする2016年度税制改正大綱を決定した。自民党の宮沢洋一税制調査会長は決定後の会見で、与党間の議論が平行線をたどった軽減税率について「私の頭にあったベストな案とは違う形となった。及第点だが100点満点ではない」と語った。
対象品目で議論が紛糾していた軽減税率は、酒類と外食を除く飲食料品のほか、定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞を対象とすることで決着した。新聞を対象とすることで、必要な財源は約200億円とされる。
宮沢氏は、財源確保については与党の責任と明言した上で、歳入・歳出の両面で対応すると強調。「社会保障に一切手をつけないことになると、歳出面での対応は極めて小さなものにならざるを得ない」と述べ、財源確保に向け、社会保障費の削減に踏み切る可能性も示唆した。
軽減税率をめぐっては、首相官邸の主導で議論が進んだ背景もある。宮沢氏は、税調の権限が低下したのではないかとの指摘に対し、「今回はかなり特殊な例が起こったのだろうと思う」とし、自身の進退については言及を避けた。
16年度税制改正に伴う税収の増減は、平年度ベースで国と地方でそれぞれ200億円の減税となる。
法人実効税率は16年度に29.97%、18年度に29.74%へ段階的に引き下げ、安倍晋三内閣が掲げた「早期の20%台」の前倒し達成を明記。17年4月から導入する自動車購入時に燃費に応じて課税する「環境性能割」では、税収規模を890億円程度とし、210億円程度の実質減税とする方針を盛り込んだ。
(梅川崇)