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政府による「見える買い手」の投入が想像力低下を招く

「見えぬ売り手が不安増幅」(16日付日本経済新聞)

バカバカしくもあり、考えさせられもする記事が掲載されました。

この記事を読んだ第一印象は、株式市場は「見える買い手」に慣れ過ぎてしまったということです。日銀に公的年金、さらには日本郵政など、政府は投資家のために「見える買い手」を用意し、甘やかし続けてきました。

本来「買い手」が見え無いのが当然の金融市場に、政府が「見える買い手」を投入したことで、市場参加者の想像力は低下してしまったようです。

「8月下旬の相場の急落局面では、現物株にまとまった売りを出した投資家が明確に存在した。例えば原油価格の下落で保有株の圧縮を進めたとみられるオイルマネーや、株価変動率(ボラティリティー)の上昇に対応してリスク抑制に動いた米国の機関投資家だ」(同)

尤もらしい指摘のように思えますが、相場が急落した後に「売り手」が明確であったといったところで「時既に遅し」でしかありません。それだけ明確な「売り手」が存在するのに、何故「売り手」が現れることに気付かなかったかの方が問題です。

「だがハイイールド債ファンドの苦境はこれまでもある程度予想できたこと。事前に予見できる出来事にはマーケットはかくも敏感に反応しないものだ」(同)

これも無責任な主張に思えます。ハイイールド債ファンドの苦境が、「これまでもある程度予想できたこと」なのだとしたら、何故、GPIFが10月にハイイールド債の運用を始めるといった際に、警鐘を鳴らさなかったのでしょうか。

さらに問題なのは、運用の専門家を集め、ガバナンスの強化を叫んでいるGPIFが、何故FRBの利上げが確実視されていくタイミングで 「これまでもある程度予想できた」リスクに突っ込んで行ったのかというところです。

知っていて突っ込んで行ったのだとしたら「善管注意義務」に違反する行為といえますし、知らないで突っ込んで行ったのだとしたら、公的年金を無免許で運転するような行為です。「100年安心」を謳う公的年金を預かるGPIFに、国民の大切な年金資金を運用する資格があるかは疑わしいと言わざるを得ません。

重要なことは、株式やFXの売買それ自体は金融ではないということです。

巷では投資をすることで金融リテラシーが上昇するかのようなことが実しやかに言われていますが、金融ではない株式やFX投資をいくら繰り返しても、それだけで金融リテラシーは上昇することはありません。

こうしたことは、世界有数の運用会社に資産運用を委託して来た年金運用の結果を見れば明らかなことです。

「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられていますが、残念ながらこの国の投資に対する考え方は論理的一貫性がなさすぎるように思えます。「貯蓄から投資へ」という資産配分の変更も結構ですが、その前に、資産運用に関する考え方を根本的に見直す必要があるように思えてなりません。

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