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いま中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊とおなじくらい重要

いま中東で起こっている一連の民衆蜂起はベルリンの壁崩壊とおなじくらいスケールの大きい歴史的な出来事で、最後にはサウジアラビアやアラブ首長国連合などを巻き込む大きな混乱に発展する可能性があります。

中東諸国の多くは少数支配の非民主主義的な政体です。

ひとりのStrong man、ないしひとつのファミリー(一族)を中心にリーダーシップが形成され、それが国家となっているところが多いのです。

乱暴に言えばこれには2つの起源があります。

中東の砂漠にはベドウィン(遊牧民)の伝統があり、いちばん強いリーダーの回りにクランを形成するのが習わしでした。

つまり砂漠の民は地縁的に結ばれているのではなく遊牧民の掟によって結ばれているということです。

サウジアラビアもクウェートも現在の為政者はそういうファミリーの首長の発展形に過ぎません。

もうひとつの起源はオスマン帝国崩壊、中東における「力の真空(power vacuum )」が出来た時、英国のウインストン・チャーチルらが自分の都合の良い国境線を引き、さらに自分の息のかかったリーダーを据える事で治めようとしたことによります。(これはChurchill’s Follyと呼ばれています)

アメリカやイギリス政府はそれらの国々のリーダーがいかにリーダーとしてふさわしいか?という尺度で傀儡的な政府を置いたのではなく、石油の権益などに関して組みやすい相手かどうか?という尺度でリーダーを選びました。

このため西側諸国が後押しする政府は必ずしも民主主義的ではないし、国民からの草の根の支持が無いのです。

それらの政府はイスラエルやシーア派など仮想敵の存在を国民に常に思い出させることで抑圧された不満をそれらの紋切り型の憎悪の対象に向け、民心をまとめてきたのです。

それらの国々ではユダヤ対アラブ、スンニ派対シーア派などという伝統的な対立の構図の中でおこる事件は日常茶飯事です。だから対応の仕方も慣れているし、「打たれ強い」です。

チュニジア革命を発端とした今回の一連の事件の前に為政者が上手く立ち回れていないのは、今回の各地での蜂起が食品価格の値上がりやデモクラシーを求めての運動であり、これまでの切り口とはぜんぜん違うからに他なりません。

さて、チュニジアやエジプトの政府も専制的ですが、その文脈で言えば圧倒的に専制的な政治をしている国はサウジアラビアであり、ここほど人権が軽視され、ジョージ・オーウェル的な恐怖政治がおこなわれている国は他にありません。

しかもアメリカ政府はそういうサウジアラビア政府を後押ししているわけです。

今回、騒動が起こったチュニジア、エジプト、イエメンは全てアメリカ政府に協力的な政府です。また騒動が起こる寸前になっているヨルダンもアメリカ政府と歴史的に近いです。

つまりアメリカはデモクラシーという観点からは「間違った友好国」とばかり付き合っているわけで、このアメリカ外交の偽善ないしは矛盾が今回は大問題として噴出しているわけです。

警察権力のひ弱なチュニジアはともかく、強権的な警察力を持つエジプトが簡単に崩れたことでサウジアラビアも安閑とはして居られなくなりました。

ジャスミン革命の余波が拡大するのはこれからだと思います。

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