記事

「低収入の街」が次の富裕層を育てている

1/2
行政書士、不動産投資顧問 金森重樹=文

なぜ、貧しい人に囲まれて暮らすとお金持ちになるのか?

以前、ボストン大学社会学教授のジュリエット.B.ショア教授が、アメリカの大企業で正規雇用者として働く人々(中流階級および中流階級上層)を対象にした調査についてお話しました。

その調査では、2つの興味深い傾向が判明しました。

(1)自分より貧しい人に囲まれて生活すれば、どんどん豊かになる(お金が貯まる)。
(2)逆に、自分があこがれていたり、こうなりたいと思っていたりする上位集団に囲まれて生活し、そうした集団に無理してついていこうとすると、貯金はどんどん減る。

今回、私が特に掘り下げてみたいのは、(2)です。

教授によれば、人は誰もが周囲の見えない同調圧力の影響を受けやすいため、コツコツと貯蓄しようと思ってもこの圧力によって消費行動に走ってしまい貯蓄は増えない、ということです。

将来、富裕層になることを目標としたい読者であれば、ちょっと気になる調査分析かもしれません。周囲につられてモノをいっぱい買ってしまう。お金を浪費してしまう。この由々しき問題を解決する方法はないでしょうか。例えば、こんな対策はどうでしょうか。

周囲に自分より経済的な上位集団が多い場合は、引っ越すのです。引っ越す先は、その地域で自分の収入がトップクラスとなるようなエリアです。つまり、あえて「ダウングレード」して住むということです。

どんな町にも山手と下町があるかと思います。そんな中で、下町を選んで住むということも1つの手段かもしれません。こんなふうに考えてみてください。

海外駐在員の方が、物価の安い発展途上国で働く時、本国(日本)の水準で給料をもらっていれば無理なく貯金できるはずです。アジアの国にいくと、運転手付き、メイド付きでも日本に比べて生活コストが安いことが多いです。結果、お金が貯まる。ある意味、会社から「下町」へ引っ越すことを命じられたおかげで、貯金できるのです。

国内転勤でも、同じことが言えます。

東京本社採用の方が、地方転勤で物価が安い地域に赴任した場合、給料は通常、東京の水準で支払われるはずです。地方は光熱費が高いケースがあり、家電製品なども東京より高いことがあるので、地方生活のコストが常に安いとは言い切れませんが、全体的に見ると東京にいるよりも貯金できます。

港区と荒川区「富裕層になる人」が育つ街は?

では、もっと近場、例えば通勤エリア内などでこれと同じ貯金効果を生むことはできないでしょうか?

できます。

東京都民の平均所得*は、トップが港区で932万円、最下位が足立区で319万円です。ただし、これは納税義務者の平均ですので、世帯収入でいくとこれの何割り増しかにはなると思います。

*都総務局行政部区政課「平成26年度市町村税課税状況等の調査」の区の総所得を納税義務者数で割って算出。

同じ東京23区内においても、平均所得には実に3倍の格差があります。

そして、各区の生活関連施設(スーパーなど)の価格相場は平均年収と一定の相関関係があります。食料品の価格相場や、駐車場の10分あたりの額、幼児教室の授業料など何もかもが大幅に違っています。レートが異なるのです。

現在、港区に住む平均的な所得の人には、知らずのうちに消費を増やす方向への圧力がかかっていると想像できます。しかし、前出の教授の論を当てはめると、同区からもっと平均年収の低い他の区へ移り住めば、消費を減らす方向への同調圧力がかかってくるということです。

では、同調圧力とは具体的にどんなものでしょうか。

例えば、引っ越した先の地域で自分の子供だけが高級ブランドの服を着て、“浮いて”しまったら……。学校の級友からいじめを受けるかもしれない、と母親は感じるかもしれません。子供だけでなく、ママ友からの壮絶ないじめの可能性も否定できません。妬み嫉みのたぐいで、あることないこと陰で悪口を言われるかもしれません。そんな危険を察知して、「脱ブランド化」します。同調することで危機回避するわけです。

最初は経済格差にまつわるそうした周囲の反応に当惑することもあるでしょうが、目立つことを避けて周囲の人たちの生活水準に合わせることに抵抗がなくなれば、案外楽なものかもしれません。例えば、住む家はあれこれ物件選びに悩むことなく賃貸に決定、外食は基本ファミレス、車は所有しないか軽自動車という具合に、着るのは◯◯、遊ぶ場所は△△、旅行は□□とダウングレードしていく。

年収932万円だけど、年収319万円生活のでき上がりです。

荒川区なら年収900万で最低500万貯金可能!

ところで、いま人気になっているふるさと納税は、年収932万円で夫婦と子ども1人の家庭なら年間約15万円を納税できます。これにより、「見返り」としてもらえるお米を含むかなりの食料が「無料」で賄えることになります(ちなみに、ふるさと納税3万円で、お米なら60kg入手可能)。

こういった生活を続ければ、年収900万以上の方ならおそらく毎年最低でも500万は貯金できるのではないでしょうか? これが、将来的に目指す複数の「財布」、つまり事業所得、不動産所得、配当所得のベースの〝種銭〟になっていきます。

富裕層への道は、給与所得を増やさずに他の所得を太らせていくことがポイントですが、種銭をつくらなければどの種類の所得もスタートを切ることができません。

資産形成の初期の段階で、自分の収入が周囲より低いのに、見栄や同調圧力などによって分不相応の場所に住むような行為をしていては、大事な種銭を貯められません。これは将来的な資産形成に十分な致命傷を与えるインパクトがあります。

住む場所の見直しは長期にわたる貯蓄への影響が大きいため、思っている以上に重要な検討事項となります。

ただし、この見直しは、その場所に将来ずっと住まなければならないことを意味しません。

不動産所得、配当所得などの運用所得が積みあがってきて、次の場所に移ってもその場所で十分にトップクラスの収入を得ている状況が確認できるのならば、問題はありません。

「自分より上」の人が多くなければ、段階的にアップグレードしていくことは許されるのです。生活を向上させながらストレスをためずに貯蓄額を増加させるという両立が可能になってきます。

最初のダウングレードした家はいずれ引っ越すことを前提とするという意味でも、家を購入するのではなく賃貸にすべきでしょう。住宅投資によって資産を構築する方法についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

あわせて読みたい

「年収」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ドラゴンボールが儲かり続ける訳

    fujipon

  2. 2

    コロナ対策成功は事実 医師指摘

    中村ゆきつぐ

  3. 3

    五輪中止は決定済み? 記事に驚き

    天木直人

  4. 4

    コロナとN国で紅白歌合戦ピンチ

    渡邉裕二

  5. 5

    ひろゆき氏がテラハ問題に言及

    ABEMA TIMES

  6. 6

    上場企業レナウン倒産に業界激震

    大関暁夫

  7. 7

    長嶋茂雄に激怒 元選手語る事件

    幻冬舎plus

  8. 8

    ブルーインパルス飛行批判に落胆

    かさこ

  9. 9

    箕輪氏 セクハラ疑惑で「暴言」

    文春オンライン

  10. 10

    ロイホ大量閉店 コロナの厄介さ

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。