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特例制度で大幅増?ふるさと納税の勝ち組自治体は、どこなのか? - 村山聡

今年度の確定申告対象となる「ふるさと納税」の期限が迫っています。期限は12月末までですが、自治体によっては、受付を早めに終了することもあるため、寄付を考えている方は、早めに確認されることをおすすめします。

ふるさと納税は住んでいる自治体以外に寄付をすることで、住民税と所得税の控除が受けられる制度ですが、2015年1月から住民税の控除額が2倍になり、また2015年4月から確定申告が不要になるワンストップ特例制度が始まるなど、利便性が高まったことで、大幅な利用の拡大が予想されていました。では実際のところはどうだったのでしょう?

■昨年と比較してどのぐらい増えたのか?

総務省が運営する「ふるさと納税ポータル」サイトには「ふるさと納税に関する現況調査」という統計調査の結果が掲載されています(2015年10月23日公開)。この調査結果によると、2015年4月~9月のふるさと納税の受入額は、約453.6億円です。これは2014年の同期間と比較して約3.9倍となっており、大幅な増加といえるでしょう。

また納税額の増加要因として「返礼品の充実」と約41%の自治体が回答しており、魅力的な返礼品がふるさと納税を増やす効果的な手段であると自治体が考えていることがわかります。

■どの自治体への寄付が多かったのか?

では、どの自治体への寄付が多かったのでしょう。同調査では、自治体すべての納税受入額と件数についても公表しています。

そこで、ふるさと納税の受入額が多いトップ10をピックアップしてみました。

自治体名      納税受入額(千円)
1.都城市(宮崎県) 1,332,936
2.天童市(山形県) 1,222,239
3.飯山市(長野県)  963,807
4.平戸市(長崎県)  943,752
5.米沢市(山形県)  855,938
6.浜田市(島根県)  796,281
7.焼津市(静岡県)  749,781
8.備前市(岡山県)  717,372
9.久留米市(福岡県) 641,218
10.京丹後市(京都府) 614,021
※金額は2015年4月~9月の実績

1位の宮崎県都城市は約13億円、10位の京丹後市でも約6億円となっています。1位の都城市は、宮崎県第二の人口を要する市で、予算規模も2015年度の一般会計予算は約750億円ほどあり、一見、ふるさと納税による増収効果は少なそうに見えます。しかし、予算の内訳に目を向けてみると、予算における自主財源の割合は39.2%で、その額は約290億円しかありません。その内、市税などの税金歳入は約180億円とさらに少なくなり、もし、ふるさと納税の受入額がこのままのペースで推移して、今年度26億円となった場合、税金歳入は約14%増加することになります。

2位の天童市になると、2015年度における市税は、約76億円とさらに少なくなるため、同様に考えると、税金歳入は約30%増加します。このように上位に入るような寄付をふるさと納税により獲得できれば、自治体規模にもよりますが、財政状況にかなりのインパクトをもたらすといえそうです。

■上位自治体の前年実績はどうだったのか?

では、これらの自治体は、前年度から継続的にこれだけの額の寄付を受け入れていたのでしょうか?2014年の実績と比較してみることにしましょう。

自治体名        2014年    2015年    増加額(千円)
1.都城市(宮崎県)   1,085   1,332,936   1,331,851
2.天童市(山形県)  179,810   1,222,239   1,042,429(8)
3.飯山市(長野県)   49,564    963,807    914,243
4.平戸市(長崎県)  373,793    943,752    569,959 (2)
5.米沢市(山形県)    266    855,938    855,672
6.浜田市(島根県)  196,228    796,281    600,053 (6)
7.焼津市(静岡県)    670    749,781    749,111
8.備前市(岡山県)    2,672    717,372    714,700
9.久留米市(福岡県)  14,382    641,218    626,837
10.京丹後市(京都府)  1,688    614,021    612,333
※金額は4月~9月の実績
※()内の数値は、2014年実績の順位

2014年の実績で1億円以上の寄付を受け入れていたのは、天童市、平戸市、浜田市の3つです。とはいうものの、これらの自治体の受け入れ額も2015年の実績と比較すると、かなり低いと言わざるを得ません。他の7つの自治体については、2014年の実績は、数千万円規模であり、2015年に急激に増加していることが分かります。これらの自治体については、制度の改革に伴い、ふるさと納税を促進させる各種施策が奏功したといえるでしょう。

ふるさと納税制度自体は、2008年の開始ですが、事実上話題となり急激に寄付額が増加したのは2014年からです。その意味では、出遅れた自治体についても、巻き返すチャンスが十分にあると考えられます。

■全体としてはどうだったのか?

これまでは受け入れ額上位の自治体に絞ってみてきましたが、全体としてはどうなのでしょうか。
上位20%、中位60%。下位20%のグループに分け、比較してみました。

        上位20%(358)      中位60%(1072)    下位20%(358) 
2014年  10,325,357(88.7%)    1,298,532(11.2%)    13,532(0.1%)
2015年  40,024,341(88.2%)    5,287,748(11.7%)    42,979(0.1%)
増加率         3.87倍          4.07倍        3.18倍
※単位(千円)

2014年からの寄付の増加率ですが、全体の増加率3.9倍と比較すると、下位グループの増加率が若干低いといえます。また2014年、2015年ともにグループ間の寄付の総額の比率はほとんど変わらず、上位が全体の90%近くを占める結果となっており、いわゆる20対80の法則に近しくなっています。つまり、どのグループも寄付は増加しているのですが、全体のパイが増えたため、差はより開く結果となり、構造的には、上位の自治体に寄付が集中していることになります。

■まとめ

このように全体の金額は、大幅に増加したふるさと納税ですが、一方で問題もあるようです。統計調査にもあるように、寄付を増やすための大きな要因は「返礼品の充実」です。そのため寄付を増やそうと考えた場合、魅力的な返礼品を揃える必要があり、それが返礼品の過剰なサービス合戦に繋がるという問題です。2015年3月には、電子マネーを返礼品とした石川県加賀市が換金性が高いとして、発表後、わずか半年で募集を打ち切りました。これを受けて、2015年4月には総務大臣の通達として、ふるさと納税の返礼品について、適切な対応をするように通達が出される事態になりました。

また返礼するような特産品を持たず、人口の多い都市圏の自治体においては、ワンストップ特例制度の事務処理コストが増加する一方で、税収は減少することになるため、不満の声が上がっても不思議ではありません。

このように問題はあるとしても、財政難に苦しむ自治体にとってはふるさと納税による税収の増額は、魅力的であることに違いはありません。2015年4月~9月の半年で453.6億円だった寄付金額ですが、住民税に限ってみた場合でも、2015年の住民税121,734億円の20%である24346.8億円はふるさと納税の対象であり、453.6億円は、その内の1.8%に過ぎません。仮に10人に一人が、ふるさと納税すると仮定した場合、住民税分だけでも、その規模は約2435億円です。大ブームとなった「妖怪ウオッチ」の商品市場規模が2000億円といわれてることから考えても、その規模の大きさと、拡大余地は、自治体が本腰をいれて取り組むには十分すぎるでしょう。

今後も寄付の増額をめぐって自治体による様々なふるさと納税施策が登場してきそうです。

《参考記事》
■新入社員のうちに覚えておきたい!仮説思考の重要性と重病性(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/44386900-20150421.html
■企業任せでは済まされない?女性活用が進まない理由をデータで考える(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/43516534-20150224.html
■あなたの会社にもいるかもしれない?ビジネスメソッドマニアに気をつけろ!(村山聡 中小企業診断士)
http://sharescafe.net/40838018-20140914.html
■平均値をウソつき呼ばわりするのは、もうそろそろ終わりにしよう。  村山聡
http://sharescafe.net/39363307-20140614.html
■「飲み会は残業代出ますか?」と聞く前に新入社員が心得ておくべきこと 村山聡
http://sharescafe.net/38576145-20140430.ht

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