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中国銀監会の不動産関連利回り保証商品(FIP)規制強化が富裕層向け金融サービス会社、ノアの決算に大きな影響を与えている

一昨日、中国の富裕層向け金融サービス会社、ノア(ティッカー:NOAH)が9月期決算を発表しました。

2010年9月期の決算は次のようなものでした:


売上高:1077万ドル(前年同期比+206%)
EPS:7¢(前年同期比+600%)

(同社は未だIPOして間もないのでリサーチ・カバレッジを始めている証券会社も少なく、コンセンサス予想はありません。)

総ファンド販売高は前年同期比+264%でした。

■ ■ ■

同社の決算は中国の不動産市場で起きていることを垣間見る意味でたいへん貴重なデータ・ポイントを提供しています。


なぜなら同社の主力商品のひとつが不動産関連利回り保証商品(FIP=fixed income products→或る種の不動産担保信託)だからです。

この商品は不動産開発の際の一種のセキュリタイゼーション商品だと思えば良いでしょう。

これは裕福層向け店頭(OTC)商品なので厳格な法規制がこれまで存在しませんでした。

その関係で一体、どのくらいの利回り保証商品が市場に出回っており、その健全性がどうなっているのかを把握することはたいへん難しいです。

ノアはFIPの販売ブローカーの役割を果たしているので、同社の業績を見ればFIPの近況がわかります。

結論を言えばFIPのモメンタムは落ちてきています

同社は10月のIPOロードショウの際、今年(2010年)の商品ミックスとして6割がFIP、4割がPEファンドだとガイダンスしていました。

ところが今回の決算ではPEファンドの売れ行きが前年同期比+903%、一方のFIPの売れ行きが前年同期比+44%にとどまりました。


つまり圧倒的にPEファンドの占める割合が多くなってしまったのです。

このため今期の売上ミックスはFIPが28%、PEファンドが72%と完全に逆転しています。


これには2つの理由が考えられます。

先ず中国銀行業監督管理委員会(銀監会、CBRC)が不動産関連利回り保証商品の規制強化を打ち出したことによります。

次に金利先高観の台頭で富裕層がFIPを敬遠し始めたことが指摘出来ます。


FIPは特定の不動産開発物件について利回りを個人投資家と「握る」構造になっています。つまりクローズド期間である2年間は利回りがロックインされてしまうのです。

だから市中金利自体が上昇するとFIPの魅力は下がってしまうのです。

ノアの顧客はオーナー社長が多く、彼らは金銭に関する嗅覚が鋭いです。

一方、ノアの側でも不動産バブル崩壊を予期し、襲いかかる津波に呑み込まれることから逃げようとする人の如く、全速力でFIP依存体質を改めようとしているのです。

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