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3Dプリンタ製自動車が誕生 アリゾナ発ローカル・モーターズ - 土方細秩子 (ジャーナリスト)

3Dプリンターが普及して久しい。立体をプリントアウトできる3Dプリンターは様々な目的で使われているが、米国では車をプリントアウトする、という新しいビジネスが始まり話題となっている。

 アリゾナ州にあるローカル・モーターズ。創立は2007年で、今年11月のSEMAショー(ラスベガス)で3Dカーのプロトタイプ、LM3D SWIMを発表した。この車のデザインがコンペによって決定したのが今年7月、その後わずか4カ月で実際に走行できる車が作り出されたことになる。

マツダロードスターの部品を使用

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ローカル・モーターズHP

 ローカル・モーターズのユニークな点は、まずコミュニティサイトを立ち上げ、マイクロファンディングによる資金を募ったこと。その後もコミュニティサイトで広く一般の意見を取り入れた車作りを行ってきた。デザインコンペもコミュニティ内で募集が行われ、ケビン・ロー氏のデザインが選ばれた。

 ちなみに審査員には米深夜番組のトークショー司会として有名であり、自動車コレクターとしても知られるジェイ・レノ氏も名を連ねた。

 車作りの手法は既存の自動車メーカーとは全く異なり、ダイレクト・デジタル・マニファクチュアリング(DDM)が採用されている。デザインを3D化し、直接大型の3Dプリンターで「プリントアウト」するのだ。

 素材として使われるのはサーモプラスチック素材のメーカー、SABICによって提供されたABSプラスチック8割、カーボンファイバー2割の合成樹脂。プリントアウトによるユニボディのため、プラスチックとはいえ強度は十分だという。

 もちろん車のすべての部分が3Dプリントで作られているわけではない。現在プリントされる部分はおよそ75%だが、将来は90%までをプリントで仕上げるのが目標だという。

 駆動にはガソリンエンジンではなくEVを採用。理由はエンジンに比べモーターで動くEVはコンポーネントが少なく3Dプリント向きであるためだという。プリントできないコンポーネント、たとえばウインドシールド、サイドウインドウ、バックウィンドウ、ヘッドライト、テイルライト、ウィンカー、リフレクト盤、サイドミラー、シート、ストップライト、ハンドル、ヒンジ、ラッチなどは既存のものを使用しているが、面白いのはこのほとんどがマツダ「ミアータ(日本名ロードスター)」から流用されている、という点だ。

 また、通常のEVはシート下部にバッテリーが組み込まれることが多いが、シートはプリントできないためローカル・モーターズではセンターコンソール部分に縦型のバッテリー収納スペースを取り、リチウムイオンバッテリーを搭載する。

 継ぎ目のないボディがプリントで仕上がる、ということは車全体のパーツ数が極端に少ないことを意味する。そのためローカル・モーターズでは「マイクロファクトリー」という方法を採用。これは研究施設、車の製造、販売サービスをすべて1つの工場で行うという手法だ。顧客は実際に車が3Dプリントされる様子を見ながら車のショッピングができる。1つの工場ですべてを補うため、将来は全米にこうしたマイクロファクトリーを建設して現地販売を行う予定だという。

 マイクロファクトリーは「既存の自動車メーカーの工場に比べ、環境へのフットプリント(大気汚染などを含む負荷)は50%以下」と同社は主張する。溶接などのプロセスがなく無駄な素材も出さない、という点で3Dプリントカーはサステイナブルで未来的、というのが同社の主張だ。

販売予定価格は5万3000ドル

 もちろんプロトタイプが完成しても実際の販売にはまだ時間がかかる。まず来年に米政府の安全基準テストに合格し、一般道を走行できる車の販売を確立する必要がある。しかしローカル・モーターズは万全の自信を見せており、早くも来年春には車の予約受付を開始する。実際のデリバリーは2017年になる、という。

 気になる価格だが、販売予定は5万3000ドル。2シーターの小型車としては高額と言えるが、普及すればスケールメリットで価格は下がる、と予想されている。

 また、3Dプリントカーのもうひとつのメリットは「デザインに柔軟性があること」だ。安全面などの問題から当面ベースは変わらないが、ボディパネル部分には若干の変更が可能だ。しかもプリントなのでデザインに自由度が生まれ、顧客の好みに応じた1台ごとに異なるディテールを加えることも可能となる。

 3Dプリントカーが成功するかどうかはまだまだ未知数だ。しかし成功すれば3Dプリントの可能性はさらに広がり、次は3Dプリントハウス、などというものも生まれるかもしれない。

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