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  • 祇園
  • 2011年10月18日 13:25

China View Sep.2011〜7-9月期GDPは鈍化も底堅い

10月18日までに9月分の中国の経済指標が発表された。以下は国家統計局が公表した各指標。M2及び新規融資はPBOC。

・7-9月期GDP 9.1%(YoY)
・鉱工業生産 +13.8%(YoY)
・小売売上 +17.7%(YoY)
・CPI +6.1%(YoY)
・PPI +6.5%(YoY)
・1-7月固定資産投資 24.9%(YoY)
・M2 +13.0(YoY)
・RMB建て新規融資 4700億元


7-9月期のGDPは市場予想の9.3%を下回る9.1%となった。需要サイドからすれば、個人消費は底堅く推移していたものの、輸出や一部投資がスローダウンした影響ではないかと思われる。輸出に関しては人民元高や、欧州のソブリンリスクの動向や金融市場の緊張により、先進国を中心に需要が低下したことが反映されたものと思われる。これを受けて国家統計局では、「中国は不安定さと不確実さに直面」しているという声明を発表した(Bloomberg「中国国家統計局:中国は不安定さと不確実さに直面−声明 」参照)。

鉱工業生産については前年同期比+13.8%となり、前月から伸びが加速した。以下は鉱工業生産の推移である(出所:国家統計局)。
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9月の鉱工業生産について、四輪車は前年比2.5%の伸びであったのに対して、乗用車は前年比9.5%の伸びだった。8月よりも伸び率は鈍化しているが、生産台数は四輪車が1664千台、乗用車が930千台となっており、4月以降で最も高い水準となっている。自動車販売に関しては値引き販売の影響により大きく伸びており、9月の販売は18.7%に加速しており、旺盛な国内需要を反映した格好となっている。海外市場の動向は不確実性が高いものの、国内市場に関しては当面堅調に推移していくことから、生産も底堅く推移していくことが見込まれる。鉄鋼製品についても前年比18.9%の伸びに加速している。このことから、加工組立産業全般の生産動向のモメンタムは5-8月にボトムとなり、ボトムアウトが示唆されている。しかし、海外経済の動向は不確実であり、人民元高の影響も加わることから、不透明感は残る。セメントの生産は15.7%に加速しているが、モメンタムはまだ低下しているものと思われる。

1-9月の都市部固定資産投資は24.9%となり、伸び率が鈍化している。以下は都市部固定資産投資の推移(出所:国家統計局)
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第一次産業は前年比25.5%に加速、第二次産業は前年比26.9%に減速、第三次産業は23.4%に減速した。項目別では、鉄道運輸が前年比-19.0%と、マイナス幅を拡大させている。このことから大規模なインフラ投資が一巡したことによる反動減が続いている。また電気設備・機械についても1-7月に前年比56.0%の伸びからは減速しており、前年比50.0%の伸びとなっている。また、通信や一般設備でも減速傾向が見られる。生産設備投資の減速傾向については、需要の見通しが不確実ということもあるが、金融引き締めの効果が次第に表れてきている可能性も指摘できる。また、不動産投資についても1-9月は前年比32.0%の伸びとなっており、1-5月の34.6%の伸びから比較すれば減速していることから不動産向け融資も抑制されてきているとみることも出来る。一方で鉄鋼や非鉄金属の設備投資は1-9月に加速してきており、旧型設備の更新需要が背景にあるものとみられる。

9月のCPIは6.1%の伸びとなり、インフレはやや減速した。以下は物価指標の推移である(出所:国家統計局)。
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以下はCPIの内訳である。
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減速の要因は、高止まりしているとはいえ、食料品の伸び率が前月と同水準で推移したことが挙げられる。インフレ動向に関しては、国内の食料インフレという事情を抱えており、しばらくは高止まりするものと見られる。しかし、PPIは大きく減速しており、生産財が8月の前年比8.0%の伸びから7.1%の伸びに減速、消費財についても8月の4.8%の伸びから4.6%の伸びに減速している。このあたりは国際商品市況が高値から軟化してきていることや、人民元高も次第に効いてきている可能性もある。今後食料インフレがどの程度落ち着いていくかが中国のインフレ動向を占う上でのキーファクターとなるが、PPIが示すように川上のコスト圧力は緩和されてきていることから、次第にモデレートなものになっていくものと思われる。

9月のマネタリー指標では、M2が前年比13.0%の伸びに減速、人民元建て新規融資も4700億元に減少した。以下はマネタリー指標の推移(出所:PBOC)。
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M2については10年ぶりの低い水準となった。これは過去最大の預金準備率が維持されており、貸出も抑制されてきていることから、引き締め気味の金融政策の効果が表れてきている。インフレについてもピークアウトの兆候がみられることから、当面の金融政策は中立的なものになっていくものと思われる。9月の指標では、7-9月のGDPは鈍化しているものの、生産や消費は相変わらず堅調に推移している一方で、先行きは特に先進国経済の動向が不確実性を増してきていることを踏まえると、リスクバランスは均衡が取れている可能性がある。従って、世界経済の減速傾向が鮮明となり、中国経済にも大きな影響を与える事態となれば、機動的な政策を打つことも可能である。しかし、食料インフレについて、ピークを打っている可能性があるものの、高止まりが継続しているようであれば、インフレの警戒を解くことも難しい。当面は様子を見ながら、景気及び物価のリスクバランスを点検し次の一手へのコンセンサスを形成していくものと思われる。

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