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「新聞が真実を書かない理由」花田紀凱編集長×飯島勲 60分対談 - 飯島勲のSMOKING CORNER

内閣参与(特命担当) 飯島 勲

今回は、花田紀凱WiLL編集長との対談である。

花田さんには、産経新聞の連載「花田紀凱の週刊誌ウォッチング」に、私のコラムについて「飯島情報恐るべし」などと、よく取り上げてもらっている。

一度お礼を言わないといけないと思っていたところに今回の対談のお話が来たのだった(笑)。あの連載で何回私がとりあげられているかをプレジデント編集部に数えてもらったら、なんと12回も登場しているという。

「言いたいことを、声を大にしてちゃんと言えるような時代ではなくなった」とよく人から聞いたことがある。そんな時代にあって、メディアがなぜか取り上げないような事実を国民に知らしめていく責任が私にはあるように思っている。

何しろタバコを吸っているだけで批判を受ける時代だ。私が本欄でタバコを吸っている人に「偏見に負けず頑張ろう!」と呼びかけるだけで、なぜかタバコを吸わない人がワーワーと難癖をつけてくる。

日頃お世話になっている花田さんとは、対談という形でしっかり話したことはなかったが、新聞の言論が柔軟性を失い、画一的な方向に向かっているという危機感がヒシヒシと伝わってきた。読者のみなさんは、どう思われることだろう。

なぜ、新聞は政治家をほめないか

──月刊誌「WiLL」の花田紀凱編集長を官邸にお迎えし、「メディアのあり方」について対談を行った。花田氏は、「週刊文春」など数多くの編集長を歴任した伝説の編集者だ。

【飯島勲】私は、政治家ではなく、マスコミ出身でもなく、ましてや官僚出身でもない人間です。小泉純一郎氏の秘書、総理大臣首席秘書官として、今は安倍晋三総理大臣の内閣参与(特命担当)として、45年間、永田町にいただけの人間ではありますが、そんな私の見立てを話したいと思います。マスコミの一番の怖さは、3回同じような内容が報道されると、たとえ内容が事実とまったく違っていても、本当のこととして国民の目にうつってしまう点です。

【花田紀凱】メディアには大きく分けて2つの役目がある。1つは情報の発信、もう1つは情報の分析・批評です。

1988年に「週刊文春」の編集長になりました。以来、僕はいろいろな雑誌をつくってきましたが、日本の新聞の情報は非常に偏っているとずっと思っています。

情報、分析・批評を、雑誌を通して読者に届けたい、いつもそう思って雑誌を編集してきました。

テレビは感性のメディア。情報発信のスピードは速いけれど、情報の分析・批評にはなじまない。分析、批評して考えるヒントを与えられるのは、やはり文字のメディアだと思います。

しかし、新聞が頼りない。例えば、新聞は政治家を絶対にほめません。人間は誰でもほめなきゃ成長しないものです。批判をするのもいいですが、いいことをしたらほめるべき。新聞が時の総理をほめたことは皆無だと思います。日本の新聞は「ほめない、反省しない、謝らない」。

【飯島】政治の世界では「政治部の記者は信用できるが、社会部や週刊誌には気を付けろ」と言われています。政治部にはオフレコが通用するが、ほかではできないということなのですが、これは変な話です。

【花田】週刊誌がよくやる「オフレコを全部ばらす」という記事は、新聞記者からの情報で成り立っています。新聞記者は自分の新聞にはオフレコだから書けないけど、知り合いの週刊誌の記者とかに流して書かせる。

本来はオフレコなしであるべきですね。やむをえない場合もあるとは思いますが、基本的にオフレコはないほうがいい。

【飯島】オフレコは報じないという約束があったとしても、オフレコ部分にも政治家は責任を持つべきだと思うし、そもそも政治家や記者には発言が「オフレコメモ」として出回ってしまう。国民にだけそれが隠されるというのは理解できない。だから、私は「小泉純一郎にオフレコなし」というスタンスを当選1回のときから貫いた。話したことは何でも書いていい、書かれたくないことは言わないと決めてやってきた。総理大臣になっても変えませんでしたね。花田さんはどんな視点で政治記事をつくってこられたのですか?

【花田】読者が判断する材料として、クレディビリティー(信頼性)は新聞にあるといわれますが、本当でしょうか。先ほども言いましたが、日本の新聞のスタンスは「ほめない、反省しない、謝らない」で一貫しています。だから別のこんな見方もあるのではないかと提示するのが私たち雑誌の役目だと思っています。朝日新聞が憎くて朝日たたきをやっているわけではなくて、日本の新聞の代表として、朝日のこういう点が疑問だということを書いて、読者のヒントにしてもらう。

朝日新聞にあなたの「声」を載せる法

【飯島】マスコミが自民党や安倍内閣がひどいと言うなら、民主党政権との比較で論ずる責務があるはず。

【花田】当然です。

【飯島】ですよね。マスコミは本当に情けないと思う。

【花田】全然ダメですね。

【飯島】もう1つ、マスコミが残念だったのは、安全保障関連法案反対のデモの参加者は主催者発表が12万人で警視庁の発表の3万人とずいぶん違ったこと。なぜ、マスコミは主催者発表を垂れ流すのでしょうか。

【花田】おかしな話ですね。例えば2007年に沖縄で教科書検定反対で11万人集会と沖縄タイムスや琉球新報が見開きの大きな見出しで報じたことがありました。警備会社のテイケイの高花豊会長が、航空写真に升目を書いて人数を数えさせたら2万人以下だったのです。

主催者発表がオーバーな数字だというのは報道する側は知っているのに、新聞社はなぜ主催者発表を鵜呑みにするのか。ヘリもあるし、組織も大きいし、アルバイトでも雇って、計算させればすぐわかるはず。それでも正確な数を出そうとしないのは、なるべく多いほうがいいからではないかと勘ぐりたくなります。

【飯島】人数もそうですが、実際にデモを見た人に聞くと8割以上が高齢者だったようですが、テレビも新聞の写真も若い人しか映さないし、インタビューをしない。

【花田】年配の方はおそらく組合員や、党員の方々でしょう。テレビが映像を切り取るのは仕方がない面もありますが、本当に作為的だと思う。新聞は、毎日毎日「戦争法案だ」と書いてね。それを読まされている朝日の読者は「これは戦争法案なのだ」と信じてしまいます。

【飯島】活字による洗脳に近い。

【花田】平和安全法制の国会論議が始まってから朝日新聞には反対の社説が37回掲載されました。天声人語では25回。一般の人は我々のように何紙も併読しないから、朝日新聞とか東京新聞とかだけ読んでいると、その内容を信じてしまいます。法案成立の日の朝日新聞には、ゼネラルエディターの長典俊さんという方が「一体、自分たちはどこに連れていかれるのか、というどうしようもない不安」と書いていた。多くの国民が疑問や怒り、不安を感じているだろうというのはよくある新聞の書き方なのですが、安保法制が成立したからって、日本人の多くが、ほんとに不安に感じているのか(笑)。

画像を見る

【飯島】徴兵制になるというのはナンセンス。不安なんて感じないですよ。

【花田】朝日新聞の話を続けると、昨年の慰安婦誤報問題への訂正と謝罪を受けて、朝日新聞の読者投稿欄「声」は、これまで朝日新聞と同じような意見しか載せていなかったのですが、最近は5本に1本ぐらいは朝日の主張と対立する意見を載せるようになったのです。

【飯島】いかにも朝日新聞、というような対処ですね。「声」欄の両論併記が誤報問題を防ぐ手段になるとは思えません。

【花田】そうなのです。朝日新聞の読者の多くは、朝日新聞のスタンスに賛同する人が多いでしょうから、もし、誰かが朝日新聞に批判的な投稿をすると、「声」欄に掲載される可能性が非常に高い(笑)。

【飯島】なるほど。誰かが挑戦してみたら面白いかもしれませんね(笑)。

※次回へ続く
月刊誌「WiLL」編集長 花田紀凱
1942年、東京都生まれ。66年に文藝春秋入社。88年「週刊文春」編集長に就任し、実売51万部を76万6000部まで伸ばす。「マルコポーロ」(文藝春秋)、「uno!」(朝日新聞社)、「メンズ・ウォーカー」(角川書店)編集長などを経て、2004年より「WiLL」を創刊し編集長。著書に『編集者!』など。
『ひみつの教養』(プレジデント社)
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[著] 飯島 勲

  これくらいの教養は持ちなさい! 知らないと恥をかく「世界の大問題」。さあ、飯島勲が自ら出題する難問に挑戦して教養を磨こう!

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