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  • 祇園
  • 2011年09月22日 07:05

FOMC〜オペレーションツイストとMBSの再投資決定

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■経済見通しについて

・労働市場の見通し

前回:
Indicators suggest a deterioration in overall labor market conditions in recent months, and the unemployment rate has moved up.

指標は労働市場の状況が数カ月で総じて悪化していることを示唆しており、失業率は上昇している。

今回:
Recent indicators point to continuing weakness in overall labor market conditions, and the unemployment rate remains elevated.

最近の指標は労働市場全体の状況に弱さが続いていることを示しており、失業率は高止まりしている。

労働市場については"deterioration"(悪化)から"continuing weakness"(弱さが継続している)としており、8月の雇用統計で非農業部門雇用者数が変わらずだったことを受けて弱いという基調となっている。

・家計支出

前回:
Household spending has flattened out

家計支出は横ばいとなった。

今回:
Household spending has been increasing at only a modest pace in recent months despite some recovery in sales of motor vehicles as supply-chain disruptions eased.

自動車販売においてサプライチェーン障害が緩和されたことでいくらか回復しているものの、家計支出は緩やかなペースでの拡大でしかない。

サプライチェーン障害の影響が8月で消え、自動車の購入が伸びたことから消費はやや回復しているとして基調判断を上方修正しているものの、緩やかな回復でしかない、としており、個人消費も弱さがあるというニュアンスであろうと思われる。

一方で、前回の声明文では、
Temporary factors, including the damping effect of higher food and energy prices on consumer purchasing power and spending as well as supply chain disruptions associated with the tragic events in Japan, appear to account for only some of the recent weakness in economic activity.

一時的な要因、すなわち購買力における高い食料やエネルギー価格による減衰効果だけでなく、日本での悲劇的な出来事に関連付けられたサプライチェーン障害というのは、経済活動の最近の弱さの一部しか理由付けられていないように思われる。

といった構造的な米経済の問題に関する文言が省略されている。恐らくはコモディティ高によって引き起こされた購買力の低下やサプライチェーン障害といった要因が大分消えてきたことを示唆しているとみられる。

・インフレ

前回:
Inflation picked up earlier in the year, mainly reflecting higher prices for some commodities and imported goods, as well as the supply chain disruptions. More recently, inflation has moderated as prices of energy and some commodities have declined from their earlier peaks. Longer-term inflation expectations have remained stable.

インフレは今年当初は上向きであり、すなわち主にいくつかのコモディティや輸入品が高騰しただけでなく、サプライチェーン障害を反映している。さらに最近では、インフレはエネルギーやいくつかのコモディティが高値から下落したことでモデレートとなっている。

今回:
Inflation appears to have moderated since earlier in the year as prices of energy and some commodities have declined from their peaks. Longer-term inflation expectations have remained stable.

エネルギーや他のコモディティの価格は高値から下落しており、インフレは年前半からは緩やかになってきている。長期的なインフレ期待は安定したままである。

明確にコモディティ市場がピークを打ったと判断したことから、インフレについてもモデレートなものになっているとの判断となっている。また長期的なインフレ期待は安定しているとしている。これは、9月8日のバーナンキ議長の講演をみると、以下のような指摘がある(Fed "Chairman Ben S. Bernanke The U.S. Economic Outlook"より)。
Longer-term inflation expectations have remained stable according to the indicators we monitor, such as the measure of households' longer-term expectations from the Thompson Reuters/University of Michigan survey, the 10-year inflation projections of professional forecasters, and the five-year-forward measure of inflation compensation derived from yields of inflation-protected Treasury securities. In addition to the stability of longer-term inflation expectations, the substantial amount of resource slack that exists in U.S. labor and product markets should continue to have a moderating influence on inflationary pressures.

我々がモニタリングしている指標、例えばロイター・ミシガン大学消費者信頼感指数における長期間の家計のインフレ期待や、専門家による10年インフレ予測、さらには5年ブレークイーブンインフレ率によると、長期的なインフレ予測は安定している。さらに長期インフレ期待の安定は、米国の労働市場及び生産市場において、かなりの資源のスラックが存在しており、インフレ圧力の影響をモデレートにさせたままとなっている。

つまり、ミシガン大学消費者信頼感指数の5年インフレやBEIといった指標が示すことが、インフレ期待の安定を示しており、その背景には労働市場や生産市場に大きな資源活用のスラック(緩み)が存在しているとしている。現状、5年BEIは低下しているが、昨年の同時期に比べればまだ高い水準である。以下は5年ブレーク・イーブン・インフレ率の推移(出所:Bloomberg)。

リンク先を見る

これを持って現状の市場のインフレ期待は小さいものと判断しており、さらに、仮にこの5年BEIの水準が1.5%を割り込み、1%の水準を目指した動きになると、デフレ懸念が台頭してくる。そうなるとQE3への展開となっていく可能性もあるが、現時点ではCPIのコアが前年比2%とデュアルマンデートに即した水準であり、量的拡大を行ってインフレ期待を押し上げる政策の導入はややハードルが高いように思われる。

さらに、米国経済について、
Moreover, there are significant downside risks to the economic outlook, including strains in global financial markets.

さらに、経済見通しについて、強いダウンサイドリスクがあり、グローバルな金融市場の緊張も含む

とダウンサイドリスクについて強調され、今後金融市場の緊張状態が高まれば、流動性対策なども講じられていくものと思われる。

■参考

・FF金利先物のフォワードカーブ(出所:CME)

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・Fedバランスシート(出所:Cleveland Fed)

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