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  • 祇園
  • 2011年09月22日 07:05

FOMC〜オペレーションツイストとMBSの再投資決定

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9月20-21日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、以下のようなことが決まった。

・残存期間3年未満の保有債券を売却し、残存期間6-30年の国債を買い入れる
・FF金利の予測を2013年半ばまでは異例なほど低い水準であることを正当化すると予測
・FF金利を0-0.25%に据え置く
エージェンシー債、エージェンシーが発行するMBSの償還資金でMBSの再投資を行う。

■金融政策について

政策面からすれば、オペレーションツイストが主だったもので、さらにモーゲージ市場をテコ入れするためにMBSやエージェンシー債への再投資が決められた。オペレーションツイストについては、規模が4000億ドルとなっている。これは、NYFedのデータより、9月21日時点でPOMOで購入した証券(米国債)のうち、2012年6月までに残存期間が3年未満の証券が3139億ドルあり、この3/4を売却して長期債の購入資金を確保する。さらにT-Billといった短期債なども合わせると4000億ドル程度の規模は確保できるのだろう

オペレーションツイストの意図はステートメントにもあるように、長期金利を押し下げて広範な金融状況を緩和的にするということであり、その中にはモーゲージ市場も含まれる。ジャクソンホールでのバーナンキ議長の講演で、今の米国の経済の問題の1つには家計のバランスシート調整であると指摘した。恐らくはこういった問題に対し金融政策を通じて手助けするには、Fedのバランスシートの量を増やすという量的緩和のルート(ポートフォリオリバランス効果)ではなく、時間軸政策やオペレーションツイストといった金利ルートにアクセスするのが望ましいといった判断があった可能性がある。同時にモーゲージ市場の状況をサポートするためにMBSやエージェンシー債の再投資が決められている。このことから米国債市場のリアクションはイールドカーブがフラットニングする動きとなった。以下は米東部時間21日17時時点の米国債のイールドカーブ。

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市場は期待通りの動きとなっているが、この政策については、時間軸政策同様、マクロ環境の変化などを受けてボラティリティが大きくなりやすい可能性があることや、そもそも4000億ドル程度の規模で金利を(力づくで)押し下げることが出来るかどうかについては疑問視する見方も多く、効果については定期的に測定することが求められる(ドラめもんさんのエントリでも取り上げられていましたが、日銀の「長期金利の変動をどう理解するか?:マクロ経済モデルを利用した期待短期金利成分とリスクプレミアム成分への分解」というペーパーに1960年代のツイストオペについて政策効果の考察を行っています)。さらに、3年以下の残存期間の債券を売却することで資金を確保しているが、この場合短期債市場に売りプレッシャー(もしくはリバースオペも活用するのか?)を与える事にもなり、時間軸による市場の金利予測の低下で抑え込められるかがポイントとなろう(そもそも短期ゾーンの金利を上げてしまう政策なので、時間軸政策の効果を相殺させるリスクもある)。また、エージェンシー債やMBSの償還再投資についても、過去最低にあるモーゲージ金利を押さえ込むことで、モーゲージのリファイナンスを促進させることで、少しでも家計のバランスシート調整の緩和に手助けしようとする政策意図がある。以下はフレディマックの30年モーゲージ金利の推移(出所:Bloomberg)。

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MBA住宅ローン・リファイナンス指数の推移(出所:Bloomberg)。

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なお、オペレーションツイストで買い入れる債券の構成は以下の通りである(NY Fed "Statement Regarding Maturity Extension Program and Agency Security Reinvestments"より)

Nominal Coupon Securities by Maturity Range*
TIPS**
6 – 8 Years
8 – 10 Years
10 – 20 Years
20 – 30 Years
TIPS 6 – 30 Years
32%
32%
4%
29%
3%

Sales associated with the $400 billion maturity extension program will take place in Treasury securities with remaining maturities of 3 months to 3 years. Roughly three quarters of System Open Market Account (SOMA) holdings of Treasury securities in this maturity range will be sold.

なお、4000億のデュレーション長期化プログラムに関連付けて残存期間が3カ月から3年の債券をかわりに売却するが、大まかにSOMAが保有している債券の4/3が売却される。

一方で、今回の会合では、IOER(超過準備付利)の引き下げやガイダンスに経済目標を明示化させることは今回の会合で盛り込まれなかった。恐らく論議はされたものと見られるが、IOERの引き下げは銀行のコスト上昇の可能性やMMFの利回り低下、市場機能の低下など弊害も多いとされる(「米銀にQE3は「重荷」、超過準備増大の負担嫌がる−東短・加藤氏」 参照)。このことから慎重論が出されたものと思われる。一方でガイダンスに経済目標を明示化させることについては、シカゴ連銀エバンス総裁が以下のように語っている(Chicago Fed "The Fed's Dual Mandate Responsibilities and Challenges Facing U.S. Monetary Policy"より)。
The most reasonable interpretation of our maximum employment objective is an unemployment rate near its natural rate, and a fairly conservative estimate of that natural rate is 6%. So, when unemployment stands at 9%, we’re missing on our employment mandate by 3 full percentage points. That’s just as bad as 5% inflation versus a 2% target. So, if 5% inflation would have our, so should 9% unemployment.

我々の最大雇用の目標における最も合理的な説明は失業率を自然失業率に近づけることであり、それはNAIRUのかなり控えめな見積もりである6%である。従って、失業率が9%にあるときに、我々は雇用のマンデートから3%も離れている。これは2%のインフレ目標に対して5%であるのと同じくらい悪いものだ。従って、もし5%のインフレが喫緊の課題であるならば、9%の失業率も同じはずである。

このことから、
This conditionality could be conveyed by stating that we would hold the federal funds rate at extraordinarily low levels until the unemployment rate falls substantially, say from its current level of 9.1% to 7.5% or even 7%, as long as medium-term inflation stayed below 3%.

この結論は、9.1%から7.5%もしくは7%にまで安定的に失業率が低下するのと同時に中期的なインフレが3%以下になるまで、FF金利を異例なほど低水準に据え置くだろう、というのを伝える事ができるだろう。

としており、経済目標として、失業率が7-7.5%程度にまで低下し、インフレも3%以下で落ち着いた水準になるまで、ということをガイダンスで明示化させるということである。しかし、これについては条件付き時間軸の効果をさらに強めることであるが、政策の柔軟性を奪ってしまうという異論も出ていたものと見られる。前回のFOMC議事要旨でも、
One member expressed concern that the use of a specific date in the forward guidance would be seen by the public as an unconditional commitment, and it could undermine Committee credibility if a change in timing subsequently became appropriate. Most members, however, agreed that stating a conditional expectation for the level of the federal funds rate through mid-2013 provided useful guidance to the public, with some noting that such an indication did not remove the Committee's flexibility to adjust the policy rate earlier or later if economic conditions do not evolve as the Committee currently expects.

一人のメンバーはフォワードガイダンスに特定の日付を使うことは人々に無条件のコミットメントとして思われるのではないか、その後タイミングの変化が適切となったときに委員会の信認が損なわれるだろうと懸念を表明した。しかしながら、ほとんどのメンバーは、2013年の半ばまでを通じたFF金利の水準の条件付き期待値の提示は、人々に有用なガイダンスを提供するということで合意し、いくつかの指摘では、そのような提案は、もし経済状況が委員会の想定から外れてしまった場合において、遅かれ早かれ政策の調節の柔軟性を取り除いてはいない、とした。

つまり、こうした条件があることで、仮に政策を転換せざるを得ない状況下で、機動的な政策変更が出来るのかどうかについて疑念を持つ声もFOMCメンバーの中に存在している。こういった疑念を払拭することも今後の議論の課題となっていくものと思われる。

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