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  • 祇園
  • 2011年08月06日 00:03

雇用統計ポイント〜反動増か

8月5日に米雇用統計が発表された。以下は各指標である。

非農業部門雇用者数 +117千人
民間部門雇用者数 +154千人
失業率(U-3) 9.1%
週間平均労働時間 34.3h
平均時間あたり賃金 23.13ドル
U-6失業率 16.1%


以下は各指標の推移である(出所:米労働省)

(1)NFPとUnemployment Rate(非農業部門雇用者数(単位:K)と失業率)
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(2)Private Payroll(民間雇用者数(単位:K))
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(3)Wage = Average Hourly Earnings * Average Weekly Hours(週次あたり平均賃金=時間あたり賃金*週間平均労働時間)
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(4)Number Unemployed for 27 Weeks & over(27週以降の失業者数=長期失業者(単位:K))
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(5)Civilian Labor Force(労働人口(単位:K))
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(6)Participation Rate(労働参加率(単位:%))
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以下ポイント

■ESTABLISHMENT SURVEY(事業者調査)

・非農業部門雇用者数は117千人となり、前月の46千人から増加幅は拡大した。また5月は53千人、6月は46千人に上方修正されている。このことから雇用面では5-6月に一時的な落ち込みを示した後、回復してきていることが分かる。民間雇用者数は154千人の増加となり、増加幅は拡大している。このため、ヘッドラインとしてはポジティブサプライズとなった。

・製造業は42千人の増加となった。うち、建設は8千人増加、鉱業・採掘業が10千人増加、製造工業が24千人増加となった。製造工業のうち、耐久財は23千人増加、非耐久財は1千人増加となった。建設業については雇用増となったものの、低い水準にとどまっている。建設稼働率の上昇は鈍いままであることを示唆している。製造工業の耐久財について、輸送用機器が14.4千人の増加と目立っている。このことから、前月に指摘したように東日本大震災の影響によるサプライチェーン障害が回復していることに従い、一時的に採用を見送っていた向きの反動増と捉えることができよう。しかし、足元で受注が落ちているなどしており、製造業の業況は上向きであるとの判断は出来ず、世界的な景気減速の動きと合わせて今後の動向は流動的であろうと思われる。

・サービス業には112千人の増加となっている。7月もサービス業が雇用増を牽引している格好となっている。内訳は卸売が1.7千人増、小売が25.9千人増、輸送・倉庫が1.1千人増、情報が1千人減、金融が4千人減、専門職が34千人増、教育・ヘルスサービスが38千人増、レジャー・飲食が17千人増となっている。小売の大幅増加については恐らく新学期セールスを控えた人員確保とみることもできる。また臨時職(Temporary help services)については増加に転じているものの、0.3千人の増加にとどまっていることから、労働市場の先行性が高い職種の動向のモメンタムが大きく変化したわけではない。

・政府部門については37千人の減少となっている。連邦政府は2.0千人増加、州政府は23千人減少、地方政府は16千人減少となった。州及び地方政府については財政難の状況から人員削減が継続している。先週発表された米4-6月GDPでも-3.4%の伸びとなっているように、確実に財政問題が米成長率にとっての足枷となっている。以下は地方政府の雇用者数の推移である(出所:米労働省)。
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連邦債務上限については与野党の合意がみられ、デフォルトは回避しているものの、今後10年間で1兆ドルの赤字削減に向けて財政支出も抑制していくことから、連邦政府に関しても今後雇用面でマイナスの影響も想定される。

・時間あたり平均賃金は前月から0.4%上昇の23.13ドル、週間平均労働時間は34.3時間となっており、週間あたり賃金は前月から3.43ドル増加の793.36ドルとなった。前年比2.6%上昇となっている。賃金が増加がやや加速したことはポジティブなものと意識され、可処分所得も増加してきていることから、消費のバッファに作用するものと思われる。以下は時間あたり平均賃金の推移(出所:米労働省(YoY/単位:%))。
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■HOUSEHOLD SURVEY(家計調査)

・失業率は9.1(9.092)%となり、前月から0.1ポイント低下した。
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失業率については、(1)労働人口が減少した(-193千人)ことに加え、(2)失業者も減少した(-156千人)ことで、失業率は減少した。就業者(Employed)が38千人減少していることから、7月の失業率低下は、労働人口が低下したという要因が強い。すなわち就業を諦めた人が労働市場から退出した結果ということになる。労働参加率も63.9%となり、過去25年で最低水準を更新した。労働参加率が上向かない、ということは景気回復が幅広い層へ波及していないことを示唆しており、今後の動向も依然として気がかりなところである。

・長期失業者は前月から104千人減少し、6185千人となった。失業者に占める長期失業者の割合は44.4%に低下した。

■7月雇用統計の評価とFedの動向

7月の雇用統計の評価については、ヘッドラインとして非農業部門雇用者数の増加が市場コンセンサスを上回ったことや、賃金が上昇したことはポジティブに捉えられる。特に、東日本大震災の影響によるサプライチェーン障害による影響で5-6月に雇用が停滞していた製造業について、反動増がみられたことはポジティブだったと思われる。また5-6月は殆ど変化がなかった賃金がやや上昇したということもポジティブだったと判断してよい。一方で失業率の低下が雇用増によるものよりも労働参加率の低下に起因したことはネガティブな印象と捉えられる。

今後については、世界的な景気減速から、特に製造業の業況モメンタムが低下してきている。とりわけ受注状況が悪化している指標が出てきていることから、製造業の減速の影響が今後雇用にも出てくることが懸念される。さらに連邦債務問題や欧州ソブリン危機あるいは欧州金融不安の影響によりマーケットの緊張が高まっており、実体経済にスピルオーバーしていくことへのリスクもある。このことから、7月の雇用の内容は堅調なものであったといえるが、これが持続するかどうかについては不透明感が強く、下振れの懸念も意識しておく必要がある。

Fedの動向からすれば、7月の雇用の指標の内容が堅調だったため、追加緩和についての観測はひとまず後退したのではないかと思われる。QE3については、QE2の総括がなされないままでの追加の資産購入は難しいと思われる。すなわちQE2の結果、金融市場が緩和的になり、その結果商品市場にも一部資金が流入しコモディティ価格が押し上げられ、ガソリンなどの価格に反映された。このことから消費者の購買力が低下し、消費マインドの低下を引き起こし、結果として米4-6月GDPにおける個人消費支出は0.1%の伸びに留まった。従って、今後QE3として追加の資産購入を行うのであれば、これらの批判が高まる中で、Fedの説明責任はこれまで以上に高いものが求められる

しかし、欧州金融不安がさらに高まることでマーケットの緊張が一層高まり、流動性に問題が生じるようであれば、緊急の流動性供給策に打って出るか、何らかのアナウンスメントが行われる可能性はある。さらに今後景気減速が進むのであれば、Fedとしても何らかのアクションは求められることになる。可能性としては時間軸政策の強化となるのではないかと思われる。いずれにせよ、来週のFOMCや8月末のジャクソンホールでのバーナンキ議長講演は今後の金融政策を占う上で重要な示唆を行うことになるものと見られる。

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