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アメリカが注目する中国の映画製作 国による検閲体制に懸念も 

大山真理 (ロサンゼルス在住フリーライター)

11月4日から11日までの8日間に渡って開催された映画の見本市「アメリカン・フィルム・マーケット(AFM)」。このうち、11月6日から10日までは、資金調達、中国、売り込み、映画製作、映画祭、配給の6つをテーマに、11のカンファレンスが開催された。「毎年、参加者にアンケートを募り、参加者が最も興味のある題材を選択してカンファレンスを行っている」。こう話すのは、AFMを主催するインディペンデント・フィルム&テレビジョン・アライアンス(IFTA)の副社長、ジョナサン・ウルフ(Jonathan Wolf)氏だ。

 なかでも、興味深いのが、AFMで今年初めて取り上げられた中国をテーマにしたカンファレンスで、カンファレンス初日(11月6日)に、2部構成で行われた。

中国で人気の映画はコメディとドラマ

 まず、第1部「中国の映画製作」では、5人のパネリストを迎えて、中国の俳優や製作スタッフ、文化、規制、映画製作や共同製作の現状について、アメリカの映画製作などと比較しながら討論された。まずは、映画プロデューサー、ワング・チャンユン(Wang Tianyun)氏から、中国の映画市場に関する現状が伝えられた。

 「中国には約13億人の人口がいるが、まだ、すべての人たちが映画を鑑賞しているわけではない。このため、中国の映画市場は、中国やアメリカにとってまだ開拓の余地があり、とてもエキサイティングだ」。

 また、中国では年間600本の映画が製作されているが、ハリウッド映画のような優れた大衆エンターテインメントの作品ではないため、著名な映画プロデューサーなどと共に作品を作りたいと話す。つまり、映画プロデューサーや脚本家たちには、大きなビジネスチャンスがあるというわけだ。

 「一度、この分野の作品を完成させると、中国では大ヒット作になる可能性が高い」と続けたのは、VFX(ビジュアル・エフェクツの略)の「ベースメディア」創設者、クリス・ブレンブル(Chris Bremble)氏。その他、「予算管理やスケジュール調整の分野も、中国ではまだ弱く、この分野でもビジネスチャンスがある」と続けたのは、ラインプロデューサー(日々の現場状況や制作状況を把握して、 予算面やスケジュール面などで問題がないかを管理する役割)の、リック・ネイサンソン(Rick Nathanson)氏。

 次に、中国の映画製作の現状について、ブレンブル氏が解説。「中国で最も影響力がある映画分野は、コメディやドラマ。この分野で中国語で脚本が書けると、影響力は大きい」。また、これまで中国では、大作仕掛けの映画製作に欠かせないVFXに20万ドルしか予算を当てなかった。このため、ハリウッド映画に見られるような大仕掛けの映画製作ができなかったが、この5年でVFXに1000万ドル以上の予算を当てるようになった。

 「こうして中国の映画産業では、大作や大仕掛けの映画を作るために激しい競争が見られるようになってきた」

国家新聞出版公電総局のさまざまな条件

 ただし、このような大仕掛けの映画を中国で製作するためには、「中国にある映画製作会社との共同制作が求められる」とブレンブル氏。さらに、中国での映画撮影が数分しか使用されないなど、マイナーなシーンだけでは製作は許可されない、製作前に台本が検査される、主人公の半数は中国人を起用する、製作後には再検討がある。これは、一部だが、このように、中国の政府機関、国家新聞出版公電総局のさまざまな条件をクリアしなければ、中国では映画製作ができない。このため、中国で製作を考える映画プロデューサーは、これらの観点を踏まえて取り組み、製作したい映画がそれらの条件にマッチするかどうかを見極める必要がある。

 このカンファレンスに出席した独立系の映画プロデューサーの女性は、「中国で映画を製作することは今まで考えたこともなかったが、自分のメキシコ系アメリカ人という特性を生かし、メキシコ人と中国人を主役にした作品の共同製作を考えたい」とご満悦。さらに「中国で映画製作する際に条件を設定することは、すばらしいアイデアだ」と絶賛する。「メキシコの映画市場は、すでにアメリカに独占され、メキシコ人でもメキシコで映画製作が難しい状態。だから、自国を守る法案は得策」だと話した。

 中国をテーマにしたカンファレンスの第2部「中国のマーケティング&配給」では、4人のパネリストによる討論が行われた。まず、中国における映画のマーケティングの方法について、「iQIYI.com」の副社長、ヤン・シャンファ(Yang Xianghua)氏から、「中国の映画の宣伝は、コマーシャル料が高額で予算に見合わないため、テレビではめったに行わない」と現状が伝えられた。実際に使用されるのは、タブレット端末やスマートフォンなど、モバイルデバイスやポッドキャスト、ウェブキャスト、インターネットだ。

 また、配給に関しては、「もっぱらWeChat(スマートフォンで、無料通話やチャットが楽しめるコミュニケーションアプリ)やSNSを通じて」だ。「これらでトレーラー(映画の予告編)を配信している」。「ドラゴンゲート・エンターテインメント」のCEO、ウィリアム・フェイファー(William Pfeiffer)氏も、中国では、グループチャットが主流で、これがビジネスの世界でも普及し、ものすごいスピードで情報が拡散されている」と裏付けた。

 また、中国人の傾向として、評判のよい映画はどれほど評判がよいかを見に行くのと同じように、評判の悪い映画は、どれほど評判が悪いかを見に行くと、ディレクターのジアン・ハイヤン(Jiang Haiyang)氏から伝えられた。

 「共同製作に非常に興味を持った。中国と文化交流を行えるような映画を製作すれば、映画鑑賞者が確実に増えるのが、魅力的」。このように話すのは、ヨーロッパの独立系映画プロデューサー。中国の現状を把握するパネリストたちの声は、多くの独立系プロデューサーたちに中国における映画製作を奨励した。

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