記事

成長鈍化のアフリカ 中国経済減速で苦境に - 岡崎研究所

11月1日付フィナンシャルタイムズ紙社説が、中国の経済減速によりアフリカの経済発展が試練に直面している、と論評しています。

金融危機以来最低の成長率

 すなわち、過去15年、「アフリカ台頭」礼讃者はアフリカの目覚ましい発展は単に中国への商品輸出によるものではないかとの批判を否定してきたが、今やその熱狂は厳しい試練に立たされている。IMFはサブサハラ諸国の今年の成長は金融危機前以来最低になり、来年の回復も限られたものになるとの見通しを出した。

 サブサハラ諸国は2000年来の成長の大部分が高い資源価格と安い海外資本によるものだったことを悟りつつある。中国はアフリカの最大の貿易相手国になったが、最近の対中資源輸出の減少がアフリカ経済に打撃を与えている。

 ナイジェリアやアンゴラなどの産油国は最も大きな影響を受けている。IMFは主要8産油国(サブサハラのGDPの半分を占める)の今年の成長率見通しを7%から3.5%に引き下げた。経済の減速は不可避であったが、多くの政府はそれに対処する準備が出来ていない。多額の収入を得ていた10年間の好景気の時代に必要な蓄えをしなかったために今財政上の余裕が不十分で、経済は商品危機(コモディティー・クランチ)に入っている。

 中所得国も同様に問題を抱えている。ガーナの事例は資源の管理を誤ればブームは悪夢になることを示している。同国は2007年に石油を発見、2010年から産油国になったが、石油収入を債務削減、海外での基金設置や生産力強化のための国内投資に回さないで、公務員給与の引き上げ(3倍増)やエネルギー補助金の引き上げに使った。また、海外からの借り入れを増やした。

 海外借り入れを増やしたのはガーナだけではない。いくつかの国がユーロ債を発行した。投資先を探していた安い資金はアフリカに回った。ガーナの海外借り入れ拡大の愚策は、国債残高を増加させ、通貨は急落、今年の夏にはIMF救済を求めざるを得ない結果になった。

 サブサハラ諸国は良い時代に自国経済の多様化、強化を怠った。不安定な商品輸出や資本市場を乗り越えて発展するためには経済環境やインフラの改善が必要だ。しかし、過度に悲観すべきではない。アフリカは大きな可能性を持っており、成長鈍化も他の新興国程ではない。サブサハラが貧困を克服して発展を始めたとの考えは当面楽観にすぎた、と指摘しています。

出典:‘Africa’s rise is stalled by the Chinese slowdown’(Financial Times, November 1, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/2a4f3cbc-7eff-11e5-98fb-5a6d4728f74e.html#axzz3qJwGq1CJ

*   *   *

日本もODAの強化を

 ここ10~15年、アフリカは、種々の課題を抱えつつも、グローバリゼーション(貿易と投資)の波に乗って発展してきました。いくつかの産油国は7、8%の成長を達成していました。最近、一次産品価格の低迷が世界経済に深刻な影響を与えていますが、その中で特にアフリカが中国の経済減速と商品価格の低迷から大きな影響を受けています。

 特に中国の資源輸入減少の影響は大きいです。中国はアフリカに大きなプレゼンスを築き、2009年に中国は米国を追い越し、アフリカの最大の貿易相手国になったと言われます(2014-15年は約2000億ドル)。中国は原油輸入の3分の1をアンゴラやナイジェリアなどから買っています。南アフリカ、シエラレオネ、アンゴラなど約10カ国では総貿易の3割以上が対中貿易になっています。貿易や投資(サブサハラ向けに1800億ドル以上)の拡大に伴い、今や100万人の中国人がアフリカに居ると言われます。中国の貿易や投資によりアフリカは大きな恩恵を受けたことは事実ですが、近年、地場の雇用が少ない、不公正な労働慣行がある、汚職をしているなど、中国批判も出てきています。今や中国経済の減速がアフリカを翻弄しています。社説が指摘するガーナの事例は示唆的です。中国への資源輸出依存が特に高いアンゴラ、ナイジェリア、南アなどがどう対応するか、注目されます。

 しかし、アフリカも引き続きグローバリゼーションを通じて発展していくしかありません。従来アフリカの資金需要を満たしたのは主としてODAでしたが、2007年に対アフリカ資金供給で、民間直接投資総額がODA総額を上回りました。目下の試練を乗り切るために、今ODAの重要性を改めて認識し、それを強化していくべきではないでしょうか。社説が過度に悲観的になることを戒めている点には賛同できます。アフリカは大きな可能性を持っており、いずれ調整を経て、また、新しい前向きな展開が起きるのではないでしょうか。

 日本は、アフリカにおいてODAや民間投資等の分野で有益な役割を果たしてきました。こういう困難な時だからこそ、日本はインフラ整備等にODAを一層強化していくべきだと思います。

 最近、インドもアフリカとの関係強化に乗り出しています。10月26-29日に、第3回インド・アフリカ首脳会議がインドで開催されました。この会議は、日本が1993年に始めたアフリカ開発会議(TICAD)方式です。中国経済の減速を踏まえて、アフリカ側でインドに対する関心が強まっていると言います。同会議でモディ首相は、向こう5年間で100億ドルの対アフリカ譲許信用供与を発表しました。多くの国がアフリカに関心を向けることは歓迎すべきでしょう。

あわせて読みたい

「アフリカ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ブラタモリに失望 忘れられた志

    メディアゴン

  2. 2

    立民議員の官僚叩きに批判が殺到

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  3. 3

    官邸前ハンスト 警官と押し問答

    田中龍作

  4. 4

    任命拒否 学者6名に無礼な菅首相

    メディアゴン

  5. 5

    上野千鶴子氏 任命拒否に危機感

    女性自身

  6. 6

    元民主・細野氏らデマ拡散へ揶揄

    文春オンライン

  7. 7

    日当7万円 公務員と比較したのか

    橋下徹

  8. 8

    机叩き…橋下氏語る菅首相の会食

    ABEMA TIMES

  9. 9

    高級車雨ざらし カーシェア破産

    SmartFLASH

  10. 10

    国に従わず支援求める朝鮮学校

    赤池 まさあき

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。