- 2015年12月04日 02:05
「安心して任せられる議員」への不安が止まらない!LGBT差別発言議員、辞職勧告でTwitter閉鎖。ところでライザップ議員は?
議員の資質が話題になるとき、「政治とカネ」や「倫理観」に注目が集まります。近頃は、SNSを活用し情報を発信する議員が増えてきましたが、その発言に対する批判が話題になる機会も増えています。
11月末、海老名市議会議員がTwitterで同性愛に対する差別投稿をし、大きな話題となりました。 それと同時期、国会議員がフィットネスジムの費用を政治資金から支出していたことが明らかになり、各メディアで取り上げられました。
「倫理観」「政治とカネ」の問題は後を絶たず、議員の資質を問題視せざるを得ません。今回は、この2つの事例と選挙結果を振り返ります。
差別ツイート議員、炎上から辞職勧告へ発展
11月29日。神奈川県の海老名市議会副議長・鶴指眞澄氏(71)は同性婚の意識調査結果で賛成が反対を上回ったというNHKニュースに対し、自身のTwitterアカウントで、同性愛者は「生物の根底を変える異常動物」などと表現しながらマスコミ批判のツイートを複数回発信。11月15日の海老名市議会議員選挙で再選し、通算3期目の議員生活が始まってすぐの出来事でした。
問題の発端となったツイートの一部
現在、「LGBT(性的少数者)」を取り巻く環境は大きく変わってきました。東京都渋谷区・世田谷区で同性婚を認めたことが話題となり、各メディアで取り上げられる回数も増えています。ITの大手企業IBMは、11月30日に「同棲パートナー登録制度」を制定し、同性パートナーを持つ社員に対し、特別有給休暇や慶弔見舞などを付与する制度を新設し、2016年1月から実施することを発表しました。
世論がLGBTへの理解を深めようという機運がある中で投稿された差別ツイートに批判が殺到し炎上。同日、鶴指氏は投稿を削除し謝罪しました。
削除されたTwitterアカウント
翌30日には、海老名市議長名で「平成27年11月29日の鶴指議員が登載したツイッターについて」という声明文で厳重注意がなされ、12月3日には市議会本会議に提出された辞職勧告決議案が賛成多数で可決されたと報道されています。
平成27年第4回海老名市議会定例会(12月)議案書
なお昨夜になって鶴指氏の公式サイトはお詫び文を残して閉鎖、Twitterアカウントも削除されたようです。
それでは「問題議員」がなぜ議員になれたのか、鶴指氏の選挙実績を振り返ってみましょう。氏は明治大学政治経済学部を卒業後、三菱東京UFJ銀行に入行。その後2007年の海老名市議会議員選挙では、1,355票を獲得し初当選しました。
2007年 海老名市議会議員選挙 結果の一部
2011年の市議選では1,613票を獲得し当選しました。
2011年 海老名市議会議員選挙 結果の一部
そして、今年11月15日の市議選では1,597票を獲得し3選を果たしました。
2015年 海老名市議会議員選挙 結果の一部
3つの選挙結果を見ると、いずれも当落線上ぎりぎりで当選していることが分かります。2011年の市議選では落選候補との票差はわずか56票でした。 鶴指氏は今年の市議選時のビラに「安心して議員をまかせられる人物です」と記載し、閉鎖前の公式サイトには「住んでいてよかったと、誰もが実感できる海老名市づくりを目指しています」「市民のみなさまの代理人としての自覚と責任を持ち、議員活動を全うしてまいります」と記載していました。市議会の辞職勧告決議には法的拘束力はないとされますが、氏の今後の動向が注目されています。
ライザップ議員、ジムに行くのも政治活動!?
画像を見る 11月28日、民主党の小見山幸治参院議員(53)の資金管理団体が、フィットネスジム「RIZAP(ライザップ)」の利用代金として、昨年3月に75万円を支出していたことが報道されました。発覚のきっかけは、28日に岐阜県選挙管理委員会が公開した「政治資金収支報告書」に記載された内容でした。 28日付朝日新聞によると、秘書の話として「スポーツ振興に役立てるため」と説明し、小見山議員本人が利用したことを認めていますが、税金を個人利用したのではないか? と、ネット上では批判が噴出しました。当初は、この問題に対して「問題ない」としていた小見山議員ですが、12月1日、ブログやSNSで収支報告書を訂正したことを報告し、謝罪しました。
私が昨年通ったスポーツ施設の費用を私の政治資金管理団体から支出していたことについて批判を受けました。
そのことを真摯に受け止め、本日自己資金を政治資金管理団体に充当し、収支報告書を訂正いたしました。
大変申し訳ありませんでした。
— 小見山幸治(よしはる) (@KomiyamaSangiin) 2015, 12月 1
オフィシャルサイトによると、岐阜県自転車競技連盟、岐阜県武術太極拳連盟、岐阜県生涯スポーツ連盟など、各会長などを務める小見山氏は、スポーツ団体とは深い関わりがあるようです。ですがライザップの利用でスポーツ振興に役立てるというのはどういう意味でしょうか。政治資金から支出した75万円は、自己資金を充てたと説明していますが、なぜ自己資金で補填したかの説明もされないままです。
小見山氏は、自民党参院議員だった松田岩夫氏(岐阜県出身)の秘書を25年勤め、2010年の参院選の岐阜選挙区で立候補し、初当選しました。
2010年参議院議員選挙 結果 岐阜選挙区
小見山氏はすでに来夏の参院選の民主党公認内定候補として発表されており、対する自民党は現職の渡辺猛之氏、共産党は新人の高木光弘氏が公認候補として決定しています。岐阜選挙区は定数削減により改選数が現行の2から1に減るため激戦が予想されています。
問われる政治家の倫理観、後を絶たない「政治とカネ」の問題。問題議員の振るまいが注目される度に、有権者の政治家を見る目は一層厳しくならざるを得ません。今一度、公人として有権者の代表であることの意味を問い直す必要があるのではないでしょうか。