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- 2011年03月16日 06:29
FOMC〜インフレ注視だが政策の方向は未知数
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3月15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、
・FF金利の誘導目標を0-0.25%
・償還分の証券の再投資
・2011年の第2四半期末までに6000億ドルの長期国債の買入
このような金融政策について全会一致で現状維持を決めた。金融政策自体については変更を行う可能性はもともと低かっただけにこの点は市場のコンセンサス通りだった。一方でステートメントについてはこれまでのビューを変えてきている。
■インフレの見方に変化
今回のFOMCは中東情勢を踏まえて原油価格が高騰し、他のコモディティ価格も上昇している段階で開催されている。FOMCでもこの情勢を踏まえて、
という現状認識を示した。しかし、長期的なインフレ期待は安定しており、インフレ基調そのものは抑えられているという従来通りの考えを示した。また、将来的なインフレ動向に関わる認識において、
としながらも、一時的なものであると予想している。また、これまで「価格の安定において、資源活用が徐々に高い水準に戻ると予想している」(Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability)が、そのペースについて、「残念ながらその進展は遅い」(progress toward its objectives has been disappointingly slow)という文言が削除されていた。このことは、主観的なキーワードである"disappointingly"を使うくらい現状の資源活用の水準には満足できないという状態からは脱しているという認識である。このことから、デュアル・マンデートに一致する水準にまで物価が上昇しているわけではないが、デフレへのリスクはもはや考慮すべき段階ではなく、さらにディスインフレ的な状態からも脱しつつあるということを示唆しているように思われる。そして、インフレは抑制されているとしながらも、
としており、インフレ期待の進展をモニタリングしていくという文言を加え、将来のインフレ動向については気を配って注視していくという姿勢を示した。声明文の段階でこのような文言が記載されているのはややサプライズで(議事録で示されると考えていた)、Fed内部では将来的なインフレに対する警戒感が高まっているという認識があるものと思われる。これまでは投入コストが上昇していても最終製品への転嫁は限定的であるという認識が支配的だったが、ベージュブックなどで転嫁の動向があるとの報告や、3月のミシガン大学消費者信頼感で消費者のインフレ期待も上向きであることが示されたことから、そういった見方の変更に迫られた可能性もある。当然インフレやインフレ期待の進展によってはQE2'(7月以降はFedのB/Sの水準を維持するために、MBSや国債の償還分を再投資に回す、すなわちPOMOの継続)には移行せず、QE終了後はPOMOを打ち切り漸次的にバランスシートを縮小させていくことも視野に入れているものと思われる。従って、(声明文を読む限りでは)7月以降の政策に関しては緩和方向から遠ざかる可能性も十分あり得る。7月以降の政策の動向についてさらに見極めるには議事録を待つ必要がある。
■景気認識の上方修正
景気認識については一段の上方修正を行った。経済の回復は強固な基盤の上にある(the economic recovery is on a firmer footing)としたのはこれまでの景気回復時における見通しでは最も強いトーンだろう。また、これまでは、消費がや企業の支出が拡大しているが、労働市場の改善させるには不十分である、というトーンであったが、今回は雇用についても徐々に回復しているという見方を示したことからも、景気見通しについてより強気にみているということが伺える。また個人消費についても、高い失業率、収入の緩慢な伸び、低い家計資産、及び信用環境のタイトさ(remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit)から力強さには欠けるようなニュアンスとなっていたが、今回はそのような文言も削除されている。背景には失業率は依然として高いものの9%台を割ってきたことや、個人所得の上昇ピッチがやや速くなったこと、そして信用状況が緩和され、消費者信用が上向きになってきていることを評価しているものと考えられる。
・個人所得の推移(出所:StLouisFed)
グラフ1
・消費者信用残高(リボ)の推移(出所:StLouisFed)
グラフ2
特に昨年12月に消費者信用残高のリボが下げ止まり増加に転じたことで(但し1月は減少)、同月の個人消費の原動力となったことなどから個人消費についても力強く回復しているということを評価したのだろう。但し、足元の消費者信頼感はガソリン価格高騰によって低下していることは踏まえておくべきだろう。
・FF金利の誘導目標を0-0.25%
・償還分の証券の再投資
・2011年の第2四半期末までに6000億ドルの長期国債の買入
このような金融政策について全会一致で現状維持を決めた。金融政策自体については変更を行う可能性はもともと低かっただけにこの点は市場のコンセンサス通りだった。一方でステートメントについてはこれまでのビューを変えてきている。
■インフレの見方に変化
今回のFOMCは中東情勢を踏まえて原油価格が高騰し、他のコモディティ価格も上昇している段階で開催されている。FOMCでもこの情勢を踏まえて、
Commodity prices have risen significantly since the summer, and concerns about global supplies of crude oil have contributed to a sharp run-up in oil prices in recent weeks.
コモディティ価格は昨年の夏以降大きく上昇しており、最近数週間では原油のグローバルな供給が石油の価格の鋭角的な押し上げに貢献している。
という現状認識を示した。しかし、長期的なインフレ期待は安定しており、インフレ基調そのものは抑えられているという従来通りの考えを示した。また、将来的なインフレ動向に関わる認識において、
The recent increases in the prices of energy and other commodities are currently putting upward pressure on inflation.
最近のエネルギーやその他のコモディティ価格の上昇はインフレ圧力を上向きにさせている。
としながらも、一時的なものであると予想している。また、これまで「価格の安定において、資源活用が徐々に高い水準に戻ると予想している」(Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability)が、そのペースについて、「残念ながらその進展は遅い」(progress toward its objectives has been disappointingly slow)という文言が削除されていた。このことは、主観的なキーワードである"disappointingly"を使うくらい現状の資源活用の水準には満足できないという状態からは脱しているという認識である。このことから、デュアル・マンデートに一致する水準にまで物価が上昇しているわけではないが、デフレへのリスクはもはや考慮すべき段階ではなく、さらにディスインフレ的な状態からも脱しつつあるということを示唆しているように思われる。そして、インフレは抑制されているとしながらも、
The Committee expects these effects to be transitory, but it will pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations.
委員会はこれらの影響を一時的と予測しているが、インフレやインフレ期待の進展には緊密に注視していくつもりである。
としており、インフレ期待の進展をモニタリングしていくという文言を加え、将来のインフレ動向については気を配って注視していくという姿勢を示した。声明文の段階でこのような文言が記載されているのはややサプライズで(議事録で示されると考えていた)、Fed内部では将来的なインフレに対する警戒感が高まっているという認識があるものと思われる。これまでは投入コストが上昇していても最終製品への転嫁は限定的であるという認識が支配的だったが、ベージュブックなどで転嫁の動向があるとの報告や、3月のミシガン大学消費者信頼感で消費者のインフレ期待も上向きであることが示されたことから、そういった見方の変更に迫られた可能性もある。当然インフレやインフレ期待の進展によってはQE2'(7月以降はFedのB/Sの水準を維持するために、MBSや国債の償還分を再投資に回す、すなわちPOMOの継続)には移行せず、QE終了後はPOMOを打ち切り漸次的にバランスシートを縮小させていくことも視野に入れているものと思われる。従って、(声明文を読む限りでは)7月以降の政策に関しては緩和方向から遠ざかる可能性も十分あり得る。7月以降の政策の動向についてさらに見極めるには議事録を待つ必要がある。
■景気認識の上方修正
景気認識については一段の上方修正を行った。経済の回復は強固な基盤の上にある(the economic recovery is on a firmer footing)としたのはこれまでの景気回復時における見通しでは最も強いトーンだろう。また、これまでは、消費がや企業の支出が拡大しているが、労働市場の改善させるには不十分である、というトーンであったが、今回は雇用についても徐々に回復しているという見方を示したことからも、景気見通しについてより強気にみているということが伺える。また個人消費についても、高い失業率、収入の緩慢な伸び、低い家計資産、及び信用環境のタイトさ(remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit)から力強さには欠けるようなニュアンスとなっていたが、今回はそのような文言も削除されている。背景には失業率は依然として高いものの9%台を割ってきたことや、個人所得の上昇ピッチがやや速くなったこと、そして信用状況が緩和され、消費者信用が上向きになってきていることを評価しているものと考えられる。
・個人所得の推移(出所:StLouisFed)
グラフ1
・消費者信用残高(リボ)の推移(出所:StLouisFed)
グラフ2
特に昨年12月に消費者信用残高のリボが下げ止まり増加に転じたことで(但し1月は減少)、同月の個人消費の原動力となったことなどから個人消費についても力強く回復しているということを評価したのだろう。但し、足元の消費者信頼感はガソリン価格高騰によって低下していることは踏まえておくべきだろう。



