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期待外れのECBの追加緩和策

ECBは3日の政策理事会で、追加の緩和策を決定した。主要政策金利であるところのリファイナンス金利は0.05%に据え置き、上限金利の限界貸出金利も0.30%に据え置いたが、下限金利の中銀預金金利をマイナス0.30%に引き下げた。

 昨年9月4日のECB理事会では、主要政策金利に関してはリファイナンス金利を過去最低の0.05%に引き下げ、上限金利の限界貸出金利を0.30%に、下限金利の中銀預金金利をマイナス0.20%に引き下げていた。しかし、今回は中銀預金金利だけを引き下げた。

 昨年9月4日の会見でドラギ総裁は「テクニカルな調整がこれ以上は不可能な下限に到達した」とし、利下げは打ち止めとの考えを示していた。主要政策金利のリファイナンス金利のマイナス化は技術的にも難しいと思われ、中銀預金金利のみの引き下げになったとみられる。

 ECBは購入対象国債の利回りについて、中銀預金金利を下回らないという条件を表明しており、中銀預金金利の引き下げで購入対象は広がることになる。しかし、すでに追加緩和を見越して市場は動いていた。ドイツの2年債利回りは一時マイナス0.4%台に低下していた。このため、引き下げが実施されても現状追認型ということにしかならない。ただし、もし引き下げがないとなれば、市場は先読みしていた分、動揺しかねない。

 そして今回ドラギ総裁は会見で、債券購入の期間を2017年3月まで延長する方針を示し、買い入れる資産の対象に地方債を含めることも明らかにした。また、買い入れた債券が償還された際に、償還金の再投資を実施することも表明した。ただし、毎月600億ユーロの資産を買い入れという規模は現状維持となった。

 今回のECB理事会では、預金金利の引き下げと同時に買入期間の期限延長や、買入資産の範囲拡大と複数の政策をまとめて行うという包括緩和となった。しかし、市場では予想された緩和の必要最低限に止まったとの認識により、今回の追加緩和は期待外れとみなされた。

 今回、ドラギ総裁にとってFRBの利上げにタイミングを合わせる必要がどうしてもあったのかもしれない。ドラギマジックにとってのラストチャンスとの認識が働いたのかもしれない。しかし、マジックを起こせなかったのはドイツやオランダなどの追加緩和反対派に配慮せざるを得なかった面もあったのかもしれないが、市場があまりに過剰な期待をしてしまったことも要因ではなかろうか。

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