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オウム真理教裁判 裁判員制度の存在意義がない? 東京高裁が下した無罪判決

先般、元オウム信者に対し、一審東京地裁の裁判員裁判の有罪判決を東京高裁が無罪判決を下しました。

 しかし、それに対する筋違いの非難が少なくないのが驚きです。一審判決に関わった元裁判員の感想などは裁判員制度の弊害を象徴するものといえます。
オウム元信者に対する逆転無罪判決 裁判員や被害者の声に違和感

 検察幹部の声も報道されています。
「逃げ得」「びっくり」=逆転無罪に検察幹部-オウム真理教・菊地元信者判決」(時事通信2015年11月27日)

最高検幹部 「難しい判断をした裁判員の判断を覆すのか」
東京地検幹部 「逃走せず、当時起訴されていたら有罪になったのではないか。20年という時間の経過でオウム事件が風化したということか。近視眼的な判決だ。上告しなくてはいけない。」

 検察庁だって、裁判員裁判に対する無罪判決で控訴しています。それにも関わらず「難しい判断をした裁判員の判断を覆すのか」とは言い掛かりそのものです。

 裁判員裁判の判断かどうかではなく、その内容の是非が問われているのですから、裁判員裁判になってから、中身ではなく、このような批判、しかも法曹たる最高検幹部から出るようになったのですから、相当、検察庁も劣化したと言わざるを得ません。

 事件風化というよりは、記憶の風化です。事件の直後だったら有罪だというのであれば、それこそ雰囲気でもって有罪判決を下すに等しく問題です。

 記憶の面でいえば確かに他の教団幹部(井上証人を除く)の証言も、その内容はともかくもっと確かなものだったかもしれません。

 とはいえ、恐ろしいのは当時のオウム憎しだけで捜査、訴追が行われていた当時の状況です。今だからこそ裁判所が冷静な判断をなしえたともいえます。

 元オウム信者の当時の役割などを検証してみても、本来であれば事件当時であっても同じく無罪判決が出なければならない案件といえます。

 裁判員裁判の「行き過ぎ」を無罪判決という形で東京高裁が是正したことは極めて真っ当なことです。

 本来、裁判員制度を推進する立場であろうと、これを非難するのは刑事裁判の役割を全く理解していないということでもあります。

 この若狭勝氏(自民党衆議院議員)の意見をどのように考えるのでしょうか。
最高裁、裁判員制度をやめますか?

裁判員裁判は、法律的な難しい判断を市民に求めるわけではなく、むしろ、市民の素朴な感覚で、犯罪の事実を認定し、市民の常識にかなう、よりよい裁判を実現しようという趣旨で導入されたこと。

 だからこそ、仕事・行事・家事など、市民の時間を犠牲にした制度が実現できているのだと思います。

 今回の高裁判決のように、裁判員の判断が簡単に覆されてしまうようでは、こうした裁判員裁判の制度を台無しにする恐れがあります。
 有罪・無罪が市民感覚で決まる、それが「素朴な感覚」というのは、元検察官である若狭氏の発想はどうかしています。上記検察幹部と同じくらい劣化しています。

 元検察官といっても、この落合洋司氏のこのコメントは極めて真っ当です。
[刑事事件]都庁爆発物事件:元オウム菊地被告、2審で逆転無罪

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