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- 2011年03月02日 07:25
バーナンキ議長議会証言〜サブシナリオの提示
2/3Although overall inflation is low, since summer we have seen significant increases in some highly visible prices, including those of gasoline and other commodities. Notably, in the past few weeks, concerns about unrest in the Middle East and North Africa and the possible effects on global oil supplies have led oil and gasoline prices to rise further. More broadly, the increases in commodity prices in recent months have largely reflected rising global demand for raw materials, particularly in some fast-growing emerging market economies, coupled with constraints on global supply in some cases. Commodity prices have risen significantly in terms of all major currencies, suggesting that changes in the foreign exchange value of the dollar are unlikely to have been an important driver of the increases seen in recent months.
全体的なインフレは低いものの、昨年の夏以降いくつか顕著に価格の上昇が強まってきており、ガソリンや他のコモディティを含んでいる。とりわけ、数週間に渡って、中東及び北アフリカへの懸念や、グローバルレベルでの供給への懸念から原油価格はさらに上昇している。さらに、商品価格の上昇は、とりわけ成長が速いエマージングマーケット経済において、世界的に原材料への需要の高まりや供給への懸念も組み合わさっていることが影響している。コモディティ価格はこの期間すべての主要国で著しく上昇していることは、外為市場におけるドルの価格の変化が数カ月における価格の重要なドライバーとなったという可能性が低いことを示唆している。
The rate of pass-through from commodity price increases to broad indexes of U.S. consumer prices has been quite low in recent decades, partly reflecting the relatively small weight of materials inputs in total production costs as well as the stability of longer-term inflation expectations. Currently, the cost pressures from higher commodity prices are also being offset by the stability in unit labor costs. Thus, the most likely outcome is that the recent rise in commodity prices will lead to, at most, a temporary and relatively modest increase in U.S. consumer price inflation--an outlook consistent with the projections of both FOMC participants and most private forecasters. That said, sustained rises in the prices of oil or other commodities would represent a threat both to economic growth and to overall price stability, particularly if they were to cause inflation expectations to become less well anchored. We will continue to monitor these developments closely and are prepared to respond as necessary to best support the ongoing recovery in a context of price stability.
この数十年において、コモディティ価格の上昇から米国の消費者への価格転嫁率は全くもって低く、部分的にすべての生産コストに占める原材料の投入価格のウエイトは相対的に小さく、同時に長期間のインフレ期待の安定を反映したものである。現状、高いコモディティ価格からのコスト圧力は、安定的なユニットレーバーコストによっても相殺されている。従って、最も可能性の高い結果は、コモディティ価格の直近の上昇はほとんど一時的なものであり、米国の消費者物価の緩やかな増加により、(インフレの)見通しはFOMC参加者や多くの民間の予測と一致している。従って、もし、それらがインフレ期待のアンカーを外させるのであれば、原油や他のコモディティの持続的な上昇は経済成長や物価安定にとって脅威となる。我々は緊密にこれらの進展を監視し、価格の上昇に即し、経済回復にとって最大限のサポートが必要ならば、それに対応する準備が取られている。
インフレの見通しについては、しばらくの間低いままであるという従来の見通しを踏襲した。1月のFOMCにおける参加者の見通しとして総合的なインフレ率を1.25-1.75%としていることを繰り返し表明している。インフレについては金融危機以降伸び率が落ちており、(言葉こそ出さなかったものの)ディスインフレの基調となっていることは従来通りの見方である。以下のグラフはPCEデフレータの推移(出所:Fed)。
グラフ1
そして、最近の原油を始めとした商品価格の上昇についての認識は、著しい成長率を記録しているエマージングマーケットを中心に需要が高まっていること、供給への懸念(生産能力や中東・北アフリカ情勢を含む)などから押し上げられており、ドルの減価に伴うものではないと言明した。このあたりはQE2批判としてよく使われる、「Fedのプリンティングマネー及びマネタイゼーションがドルの減価を引き起こし、その結果ドル建てで取引されているコモディティの価格が押し上げられている」というロジックを否定している。あくまでも緩和的な金融政策がコモディティ価格を押し上げたわけではなく、需給のバランスによってプライシングされているに過ぎないとしている。但し、後述するが、「株価などの金融資産上昇がQEのトランスミッションメカニズムとして語られている以上、コモディティの押し上げも同様ではないか?」という疑問を覆すほどの説得性にはやや欠ける部分があり、本日の下院の議会証言でも蒸し返される可能性がある。一方で、コモディティ価格の高騰は一時的なものであり、これまでも価格転嫁はあまり進んではいなかったとしており、今回の高騰に関しても最終製品にまで影響が及ぶとは考えていない。このビューはメインシナリオである。一方で、インフレ期待のアンカーが外れ、コモディティ価格が持続的に上昇する可能性というサブシナリオとしてのビューを提示したのが今回の議会証言における最大のポイントだったのではないかと思われる。



