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医師への心付けの実際について

全く前回の記事の続き、というわけではないですが、よくご質問のメールをいただくことのあるテーマについて取り上げてみようと思います。

今回は、これまた、なかなか聞きにくい内容です。記事にするのも若干躊躇われるものですね。

それは、医師への心付けです。

具体的には、テレビドラマなどでも見かけるように、入院の際や手術の前などに患者さんやそのご家族が、主治医や担当医のチームなどに金銭もしくは商品券などを渡すことです。

「よろしくお願いします」

「ほんの気持ちですので」

というような言葉を添えて、医師に渡るものです。

表だって話されるようなことのないテーマですね。

この心付けについて、実際どうなのか?

という質問に正直にお答えしようと思います。

もちろん、皆さんご存知のように、医師への心付けを推奨しているものはありません。

これは当たり前ですね。

心付けが当然のようになってしまうと、金額の多寡によって診療内容に差が出てしまうというような恐れがあるからです。

要は、金次第で医療の内容が変わってしまう、ということにならないように、というわけです。

ちなみに、これは何も医師だけではなく、看護師など、全ての医療スタッフが心付けを受け取る可能性がありますので、

国公立の病院などでは「医療スタッフへの心付けはお断りしています」というような表記がエレベーターの中などにあることが多いです。

私が勤務したことのある国公立の病院では、いずれもそのような表記がありました。

これが日本の医療の常識です。

心付けは決して推奨されるものではありません。

しかし、一方で、その他多くの私立の病院では特にこういった表記がないことが多いです。

私大の大学病院などでも、心付けをお断りするような表記がある病院は少ないのではないのでしょうか?

それは現実には、心付けというのは、やはりある程度の割合で存在するからです。

そして、それは、頻度は低くなりますが、心付けをお断りするという表記のある国公立の病院でも、同じです。

一時代前と比べて、大分減ってきているのは事実だと思います。

日本の医学界で一番権威のあるとされる大学病院などの施設で、手術前を控えている患者さんであったとしても、2-3割前後程度だろうと思います。

もちろん、治療や手術をする側からしてみれば、

心付けがあろうがなかろうが、失敗することは許されませんし、ベストの治療を行うということには変わりはありません。

ですから、心付けの有無で治療結果がかわってくるということは、決してありません。

心付けを受け取ってもらえないと不安、というような患者さんもいるのですが、その心配は全くありません。

また、次に、医師が心付けを受け取るかどうか、ですが、ポリシーで受け取らない方もいらっしゃいます。

金銭や商品券であれば受け取らず、お菓子などであれば受け取るという医師や、全く受け取らない医師もいます。

ただ、実際には多くの医師は受け取っています。

ただ、手術や治療などを控えている場合、治療前に心付けを渡されるよりは、退院時など無事に治療が終わった後に受け取る方が嬉しいという医師の方が多いように思います。

治療の前には受け取らないという医師もいます。

なんとなく、「これを受け取るんだから絶対に成功させろよ」と言われているような気分になるからでしょう。

いずれにしても成功させなければいけないのは重々分かっているので、そこに更にプレッシャーをかけられるような気分になることを嫌うのかもしれません。

金額に関しては数万円相当というのが最も多いです。

これは患者さん側の背景によります。

これらの心付けは受け取った医師個人が懐に入れる場合もあれば、診療に携わった医師や看護師などのスタッフで分配する場合、

または、大学病院などの組織の場合、日夜下働きをしている若手医師の食費などにあてがわれる場合、など、様々です。

心付けの風習が存在することが良いことだとは思いません。

ただ、この風習がなくならない背景にあるのは、医師も患者も結局は人間だということなのだと思います。

実際の話として、受け取った医師は皆、心付けをありがたいとは思っていると思います。

もちろん、上述したように、治療の前の場合にはプレッシャーを感じることも多いので、なんとも言えませんが、無事に治療が終わったあとであれば、ほとんどの医師がありがたいと感じるでしょう。

表だっては言いませんが、人間である以上、そんなもんです。

だから、というわけではないですが、医師が他の医師に医師同士で自分の手術を依頼するような時は、多くの場合で心付けの受け渡しがあるように思います。

また、治療内容に変わりがでることはないということは当たり前ですが、心付けを受け取った患者の方が印象は強く残るというのも事実です。

さて、今回は心付けの実際について書いてみました。

いろいろ、ご意見あると思いますが、何が正しいとかではなく、実際にどうなのか?ということについて書いてみたつもりです。

ご意見あればお待ちしています。

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