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パリ同時多発テロとロシア旅客機墜落事故でイスラム国に反撃する先進国、空爆でテロは防げるのか?

11月13日、フランスのパリで起きた同時多発テロは、世界を震撼させた。それと前後して、10月31日に起きたエジプトのシナイ半島でのロシア旅客機墜落も、イスラム国(IS)によるテロだったと、ロシアが正式に発表した。そして17日に、フランスとロシアは、シリアにあるイスラム国の拠点を空爆したと発表したのだ。両国は、イスラム国への攻撃をさらに強化し、連携を強めていくとみられている。

テロは無差別殺人であり、許されるものではない。フランスのオランド大統領、ロシアのプーチン大統領とも、テロに屈しない強い態度を取るのは当然だ。ただし、と僕はあえて言いたい。空爆の強化は、決してテロの防止にはならない、と。

シリアの情勢は、混沌としている。プーチン大統領は、シリアのアサド政権を支持している。だから、イスラム国を攻撃するという建前で、反アサド政権をも攻撃しているとされる。対してフランスは、アメリカと同様、アサド政権の転覆を狙っている。だから、反アサド勢力をバックアップしているのだ。

このような先進国の勝手な論理が、これまでいくつの国の運命を狂わせてきたことだろう。かつてイラクは、フセイン大統領による独裁国家だった。だからアメリカは、「有志連合」軍とともにイラクに侵攻して、フセイン政権を倒したのだ。同じように、アメリカがアサド政権の転覆を狙うのは、「独裁」だからだろう。

だが、かつてのイラクは独裁のもとで、曲がりなりにも安定を保っていた。アメリカは「大量破壊兵器がある」などの大義名分のもと、フセイン政権を倒したが、招いたのは「イラクの混乱」だった。そして、イスラム国というテロリスト集団は、この「イラクの混乱」の中で生まれたのだ。

アメリカという国には、その反省がまったくない。いま、アサド政権が倒れれば、イスラム国が力をもつ可能性もある。そもそもいまの中東の混乱は、1916年に、イギリス、フランス、そしてロシアの3国が、「サイクス・ピコ協定」なる密約のもと、勝手に中東の国境を決めてしまったためだ。イスラム国は、この歴史に怒っているのだ。

だが、アメリカはまたも大国の論理で空爆を続けている。ここには、「憎しみの連鎖」しか、生まれないのではないか。

テロ活動はますます激しさを増し、しかも巧妙になっている。もちろん、犯罪は許してはいけない。けれど、ほかの国のありように、そこまで口を出していいのだろうか。ましてや、いまある政権を力をもってして替えようなどということは、決して許されることではないと僕は思う。

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