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【ベイルート発】ISと戦うテロに晒された街の経済的徴兵制

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イスラエルとの戦争(2006年)で破壊されたビル。12日のテロではない。=29日、ベイルート市内 写真:筆者=

 12日、大規模テロがあったダーヒヤ地区に入った。ダーヒヤ地区には高級住宅街とスラムが混在する。

 自爆テロにより約280人もの死傷者を出したのはスラムのあるエリアで、ブルジュ・ブラージュと呼ばれる。

 ここには精強なイスラエル軍が手ひどい敗北を喫してきたヒズボラの本部がある。

 アサド政権と親密な関係にあるヒズボラは、当然のごとくISと敵対する。テロがISの仕業だとする根拠のひとつだ。

 警戒は厳重を極める。ブルジュ・ブラージュの交差点という交差点にはレバノン軍のチェックポイントがあり、兵士が検問にあたる。

 爆破されたビルはビニールシートがかけられていたりして、破壊の凄まじさを外から窺うことはできない。

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シリアで戦死した兵士の写真。きょうはヒズボラから許可が出なかったため、車中からの隠し撮りとなった。=29日、ブルジュ・ブラージュ 写真:筆者=

 街のいたる所にヒズボラの若い兵士の写真が掲げられていた。シリアでISと戦い命を落としたのだという。

 戦死した兵士は殉教者として祀られる。彼らの写真が街に掲げられること自体、紛争地域に行けば当たり前のことなので驚きはしない。

 田中はただ やるせなく なった。シリアのアサド政権がヒズボラに依頼して兵士をシリアに赴かせているのだという。

 レバノンに強い影響力を持っていたアサド政権はヒズボラと親密な関係を保ってきた。ヒズボラはアサド政権の要請を むげに 断ることはできないのである。

 スラム街にあって満足な仕事に就けなかった若者がシリアでISと戦い殉教すれば、死後はヒズボラが家族の生活まで面倒を見てくれる、という。

 究極の経済的徴兵制である。

  ~終わり~

   ◇
パリが襲われる前日の12日、ベイルートで大規模テロがあったにもかかわらず、日本や欧米のメディアが大きく報道することはありませんでした。

メディアは「被害者=フランス」「加害者=アラブ」の構図に持って行こうとしているのでしょうか。

『命の重さに差があっていいはずはない』。義憤に加えて、欧米のメディアがほとんど伝えない理由を探るため、田中はベイルートまで足を伸ばしました。こちらも借金です。ご支援何卒お願い致します。↓

『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により維持されています

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