記事

OECD と ADB の経済見通し、ついでに、日本の景気動向指数をチェックする

昨日、経済協力開発機構 (OECD) から Economic Outlook Interim Assessment が発表され、日本は推計に含まれていませんが、世界経済の順調な景気拡大のシナリオが示されたと私は受け止めています。まず、OECDのリポートから主要先進国の成長率見通しを取りまとめると以下の通りです。実質GDPの前期比年率成長率をパーセント表示しています。

 10Q310Q411Q111Q2
United States2.63.13.1 (+/-1.6)3.4 (+/-1.6)
Germany2.81.53.7 (+/-1.9)2.3 (+/-1.9)
France1.01.43.4 (+/-1.0)2.8 (+/-1.2)
Italy1.30.51.1 (+/-1.4)1.3 (+/-1.6)
UK2.9-1.93.0 (+/-1.2)1.0 (+/-1.3)
Canada1.83.35.2 (+/-1.0)3.8 (+/-1.9)
G7 excl Japan2.32.13.2 (+/-1.4)2.9 (+/-1.6)
Euro 31.91.23.0 (+/-1.5)2.2 (+/-1.6)


世界経済は順調に回復・拡大すると見込まれている一方で、日本経済に対する3月11日の東日本大震災の経済的影響についてはOECDのプレゼン資料のp.17から引用すると以下の通りです。

  • A tragic loss of human life, on a scale even worse than at the time of the Kobe (Great Hanshin) earthquake in January 1995.
  • Destruction of dwellings, infrastructure and private firm fixed capital: 3.3 to 5.2% of annual GDP according to the government's first estimate.
  • Supply-chain disruptions and lasting power shortages.
  • A lesson from Kobe (where physical damage was 2% of GDP): by the final quarter of 1995, real GDP in Hyogo prefecture was 7% above its pre-earthquake level.
  • The impact on GDP growth may range from -0.2 to -0.6 percentage points (quarter-on-quarter) in Q1 2011 and from -0.5 to -1.4 points in Q2 2011 but may turn positive in the second half of the year, as reconstruction gathers pace.
  • The fiscal costs are likely to be larger than for Kobe (when they amounted to 1% of one year's GDP, spread over 6 years).


上から3点が被害の度合いで、人的被害は1995年の阪神淡路大震災より深刻で、インフラと資本ストックのダメージはGDP比で3.3%から5.2%に上るとの我が国政府の試算を紹介し、サプライ・チェーンの崩壊と電力不足により、下の2点の結論が導かれています。すなわち、2011年1-3月期には成長率を▲0.2-0.6%ポイント、また、4-6月期には▲0.5-1.4%ポイント、それぞれ下押しされます。また、財政コストは6年に渡って毎年GDP比1%に上った神戸のケースを上回ると結論しています。妥当な試算であろうと私は受け止めていますが、福島第一原発の事故がどのくらいで終息するのかの見通し次第という気もします。最大の不透明要因です。さらに、今回のOECD経済見通し中間評価では、期間は今年2011年半ばまでをターゲットにしていますので、年後半に本格化する可能性の高い復興需要については out of scope となっているようです。

リンク先を見る

また、今日、アジア開発銀行 (ADB) から Asian Development Outlook 2011: South-South Economic が発表されました。上のグラフは pdf の全文リポートp.19から Table 1.2.1 GDP growth and inflation, developing Asia を引用しています。画像をクリックすると、別タブか別窓でリポートにあるGDP成長率、1人当たりGDP成長率、インフレ率の3ページを抽出したpdfファイルにリンクを張ってあります。2008-09年の Great Recession 以降の特徴のひとつで、先進国の低成長と新興国・途上国の高成長という convergence の一形態と見られなくもない世界経済の動きが観察されますが、この ABD 見通しでも "Twin-track global growth" と表現されており、アジア新興国・途上国は日本を尻目に高成長が見込まれています。他方、日本の震災被害の経済的なインパクトについては、リポートのp.11に "Economic effects of the Tohoku disaster on Japan" と題するコラムが置かれており、OECDの見通しにあるような短期的なインパクトに加えて、"Private consumption and production are now falling but capital-stock rebuilding, largely financed by the government, will exert a positive effect in the longer run." との見通しを明らかにしています。ただし、 "assuming that the nuclear crisis at Fukushima is brought under control" が前提となっています。また、アジア新興国・途上国に主眼を置いている経済見通しですので、かなりの私腹をインフレに割いていますが、かなりの紙幅をインフレに割いていますが、日本経済には直接の関係は小さいので今夜のところは省略します。

画像を見る

最後に、今日の午後、内閣府から2月の景気動向指数が発表されました。上のグラフの通りです。上のパネルはCI一致指数と先行指数、下はDI一致指数です。影をつけた部分は景気後退期です。やっぱり、順調に踊り場を脱し本格的な景気回復軌道に復帰する2月までの動きが確認されます。まったくの過去の数字です。

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    習近平氏が進める「共同富裕」政策 恒大集団の救済に足踏みか

    飯田香織

    09月24日 08:40

  2. 2

    「自民党は嫌いでも、投票するのは自民党」立憲民主党が自民党に勝てない最大の理由

    御田寺圭

    09月23日 08:07

  3. 3

    視聴者が選ぶ最新版「嫌いな芸能人」コロナの影響か新顔多く並ぶ

    SmartFLASH

    09月24日 09:09

  4. 4

    「日本の小売業者は宝の持ち腐れ」アマゾンにあって楽天にない"決定的な違い"

    PRESIDENT Online

    09月24日 12:03

  5. 5

    オウンゴールで支持率下げた菅政権 野党は絶好のチャンスを活かせ

    毒蝮三太夫

    09月24日 08:05

  6. 6

    与党・公明党が選挙直前に「10万円給付」を大々的に発表 与党ならすぐに実行せよ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    09月24日 08:37

  7. 7

    45歳定年なんてホントに実現するの?と思ったときに読む話

    城繁幸

    09月23日 16:12

  8. 8

    中国がTPPに加入申請 対応を誤ればTPPそのものが瓦解するリスク

    ヒロ

    09月24日 11:22

  9. 9

    43歳、年収600万円で「結婚できないのが辛い…」と会社を辞めた男性に励ましの声

    キャリコネニュース

    09月23日 12:17

  10. 10

    中国恒大、23日の利払い実行困難に 米時間で期限迫るも説明なし

    ロイター

    09月24日 10:28

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。