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内容の乏しいTPP関連政策大綱

昨日政府が発表した、「総合的なTPP関連政策大綱」を分析してみました。この大綱は、「TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策、及びTPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標を明らかにするものである」とされています。

さて、その内容はどうか。

まず、TPPの効果を国内経済に直結させると言いますが、並んだ内容を見ると、これまでの成長戦略に書かれていた内容がほとんどです。目新しいものはありません。

また、TPPで自分たちはどうなるんだろうという、中小地場産業の方々への対策も盛り込んだと言いますが、そのほとんどが情報発信や、相談窓口の強化など、これらもこれまでと同様のものが並びます。TPPだからこれがチャンスだ、というところが見えてきません。

さらに、国内の不安を払拭するという点について、これは農業部門を中心とするところですが、これはどうでしょうか。

米については、「国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い取る」としています。海外から無関税での米輸入が増えることに対して、国内米価格が低下するのを抑制するという意図なのでしょうが、これには財政支出が必要になります。備蓄米の買い増しを通じて米価下落を防止することはこれまでもたびたび行われてきましたが、財政的にいつまでも行えるものでもなく、その場しのぎにすぎません。そもそも、「攻めの農業」を標榜していたのではないでしょうか。その点での具体策は見えません。ちぐはぐです。

牛、豚、乳製品などについては、例えば、これまでも使われていた制度、「牛マルキン」、「豚マルキン」を法制化するとされていますが、これらの制度は、これまでも毎年安定的な制度として運営されてきており、法制化したところで何が変わるわけではありません。また、牛・豚マルキンの補てん割合を8割から9割に引き上げるとされています。しかし、この制度は、過去の畜産所得に対して下落してしまったうちの8割を補てんするものなので、毎年畜産所得が低下していく時には(そして近年の傾向はそうであり、TPPでなおその傾向は強まる可能性がありますが)、仮に9割補てんしたとしても、畜産所得は下がり続けるという問題があります。補てん割合の問題ではないのです。TPPで極めて大きな影響を受ける畜産に対する対応としては、全く力不足です。

このように見てみると、今回の対策はTPPへの「総合的な対策」と言うわりにはその内容が乏しく、大きな疑問があります。

これらの点も国会でしっかり追及していく課題となります。

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