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- 2011年02月23日 16:39
住宅価格指数の正しい捉え方
前回の記事では、「私たちはもう一度、関心を失いかけている住宅価格の動向に注目する必要がある」と述べましたので、今回は日経新聞の記事を材料にして、住宅価格指数の正しい捉え方について説明したいと思います。
まずは、2月23日と昨年12月1日の2つの新聞記事をご覧ください。
(日経新聞 2011年2月23日 「米住宅価格、12月2.4%下落」より)
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が22日発表した昨年12月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は、主要20都市平均で前年同月比2.4%下落した。マイナスは3カ月連続。アトランタ、デトロイトなど11都市で住宅価格がピークだった2006〜07年以降の最安値を更新した。主要10都市平均でも1.2%の下落と、2カ月連続のマイナス。S&Pは「米経済は回復しているものの、住宅市場は低迷が続く」と分析する。
(日経新聞 2010年12月1日 「米住宅価格指数、伸び率鈍化」より)
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が30日発表した9月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は、主要10都市平均で前年同月比1.6%の上昇にとどまり、伸び率は前月の2.6%から鈍化した。主要20都市平均の上昇率も同0.6%と、今年1月以来の水準まで低下した。
以上の2つの記事を言葉通りに読むと、前者の記事では「住宅価格が下がっている」、後者では「住宅価格は上がっている」と対照的な認識をしてしまいます。しかし、これは新聞の伝え方が間違っているのであって、本当は2つの記事ではいずれも「住宅価格は下がっている」と報じるべきなのです。
2010年1月〜12月の実際の住宅価格指数は以下の通りです。
20都市平均
1月 145.31
2月 144.06
3月 143.34
4月 144.57
5月 146.47
6月 147.99
7月 148.88
8月 148.48
9月 147.24
10月 145.26
11月 143.85
12月 142.42
10都市平均
1月 157.87
2月 156.85
3月 156.22
4月 157.36
5月 159.41
6月 161.06
7月 162.24
8月 161.99
9月 160.98
10月 158.94
11月 157.68
12月 156.26
両指数の推移を見ると、いずれも7月にピークを付けて、8月から下がり続けていることがわかります。ですから、前者の記事では「5カ月連続のマイナス」、後者では「2カ月連続のマイナス」と伝えるのが正しいはずです。
多くの経済メディアでは、何故か、住宅価格指数そのものを取り上げずに、「前年同月比で何%上昇(下落)」という報じ方をしています。特に後者の記事のような場合は、「前年同月比で伸びが鈍化した」という伝え方をするので、実際に住宅価格が下がっているのに、逆に上がっているという誤解を与えているように思われます。
住宅価格指数を「前年同月比」で見ると、「前月比」で見るよりも、トレンドを把握するのが遅くなったり、間違ったりしてしまいます。その意味で、経済メディアのS&Pケース・シラー住宅価格指数の伝え方は間違っています。
住宅に関連する指標は「前月比」でトレンドを掴み、マクロ経済分析に役立てるべきでしょう。
次回は、中国の経済指標が今年に入って信用できなくなってきた点について述べる予定です。
まずは、2月23日と昨年12月1日の2つの新聞記事をご覧ください。
(日経新聞 2011年2月23日 「米住宅価格、12月2.4%下落」より)
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が22日発表した昨年12月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は、主要20都市平均で前年同月比2.4%下落した。マイナスは3カ月連続。アトランタ、デトロイトなど11都市で住宅価格がピークだった2006〜07年以降の最安値を更新した。主要10都市平均でも1.2%の下落と、2カ月連続のマイナス。S&Pは「米経済は回復しているものの、住宅市場は低迷が続く」と分析する。
(日経新聞 2010年12月1日 「米住宅価格指数、伸び率鈍化」より)
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が30日発表した9月の「S&Pケース・シラー住宅価格指数」は、主要10都市平均で前年同月比1.6%の上昇にとどまり、伸び率は前月の2.6%から鈍化した。主要20都市平均の上昇率も同0.6%と、今年1月以来の水準まで低下した。
以上の2つの記事を言葉通りに読むと、前者の記事では「住宅価格が下がっている」、後者では「住宅価格は上がっている」と対照的な認識をしてしまいます。しかし、これは新聞の伝え方が間違っているのであって、本当は2つの記事ではいずれも「住宅価格は下がっている」と報じるべきなのです。
2010年1月〜12月の実際の住宅価格指数は以下の通りです。
20都市平均
1月 145.31
2月 144.06
3月 143.34
4月 144.57
5月 146.47
6月 147.99
7月 148.88
8月 148.48
9月 147.24
10月 145.26
11月 143.85
12月 142.42
10都市平均
1月 157.87
2月 156.85
3月 156.22
4月 157.36
5月 159.41
6月 161.06
7月 162.24
8月 161.99
9月 160.98
10月 158.94
11月 157.68
12月 156.26
両指数の推移を見ると、いずれも7月にピークを付けて、8月から下がり続けていることがわかります。ですから、前者の記事では「5カ月連続のマイナス」、後者では「2カ月連続のマイナス」と伝えるのが正しいはずです。
多くの経済メディアでは、何故か、住宅価格指数そのものを取り上げずに、「前年同月比で何%上昇(下落)」という報じ方をしています。特に後者の記事のような場合は、「前年同月比で伸びが鈍化した」という伝え方をするので、実際に住宅価格が下がっているのに、逆に上がっているという誤解を与えているように思われます。
住宅価格指数を「前年同月比」で見ると、「前月比」で見るよりも、トレンドを把握するのが遅くなったり、間違ったりしてしまいます。その意味で、経済メディアのS&Pケース・シラー住宅価格指数の伝え方は間違っています。
住宅に関連する指標は「前月比」でトレンドを掴み、マクロ経済分析に役立てるべきでしょう。
次回は、中国の経済指標が今年に入って信用できなくなってきた点について述べる予定です。



